漫画「美味しんぼ」の原子力発電に対する表現について、福島県知事が「風評被害だ」と言えば、総理大臣も「根拠のない風評を払拭をしていく」と、まるで何も取材なしで漫画が描かれたかのように上から決め付けて「風評だ」と断じています。
報道を見る限りは、雁屋哲さんはきちんと取材をした上で鼻血の部分を含んだ部分を表現しているように思えます。原発について何が正解なのか、情報がハッキリしていない段階なので、それぞれの人々が自分なりの仮説を発表することは、表現の自由の範囲内だと思います。
それを「風評だ」と非難するということは、まだ原発についての詳細がハッキリしていないにも関わらず雁屋さんの説を間違いだと、根拠もなしに決め付けていることに他なりません。このようなことが行われて、そしてマスコミも出版社も政府の圧力に屈して出版や報道をやめることになれば、それは戦前の暗黒社会への回帰に直結します。非常に不安です。
昨年末に公示された秘密保護法が施行されたら、「安倍総理はバカ」と書いただけで、国家の特定秘密を公開した罪で逮捕されそうな気がします。今回の雁屋さんの件も、特定秘密保護法の施行後に逮捕されることになるかもしれません。「物言えば唇寒し」ではなくて「物言えば逮捕される秋の風」という社会になってしまいそうです。そんなことになったらこの世は闇です。日本はおしまいです。
なのに、そんな社会を目指している安倍内閣に高い支持率を与える国民。自らの自由を権力の前に投げ出すことがこれほど好きな国民も珍しいのではないでしょうか。