三無主義

 ~ディスパレートな日々~   耶馬英彦

天皇賞春~サトノダイヤモンド

2017年04月29日 | 競馬

◎サトノダイヤモンド
アルバート
シュヴァルグラン
△トーセンバジル
△ディーマジェスティ

 25年前になるが、天皇賞春でトウカイテイオーとメジロマックイーンの2強対決と言われたことがあった。1番人気はトウカイテイオーだったが、結果は1歳年上のメジロマックイーンが勝ち、トウカイテイオーは5着だった。先行馬のメジロマックイーンと差し馬のトウカイテイオーという組み合せは、今回のキタサンブラックサトノダイヤモンドの2強対決に重なるイメージがある。今回も年下のサトノダイヤモンドが1番人気の差し馬ということで、前例に倣えばこちらが負けることになる。前例と違う点は、すでにサトノダイヤモンドが有馬記念で一度キタサンブラックに勝っているということだ。ただしそのときは2キロのハンデがあったことを考えると、内枠に入った先行馬のキタサンブラックが有利なのは間違いない。サトノダイヤモンドはなるべく早めに内に入って前に馬を置きたいだろうから、スタート次第ではいったん後ろに下げることになるかもしれない。大きなハンデだ。絶妙のスタートを切れれば、最初の3コーナーまでに好位につけて、そこからゆっくり内に入れられる。それなら勝負は互角だ。
 後方からの差し馬が勝つ展開なら、先行勢がゴール前で脱落することが予想される。今回はその可能性に賭けてみることにした。即ち、サトノダイヤモンドが勝って、キタサンブラックが4着以下に落ちる展開だ。相手も当然差し馬で、長距離実績1位のアルバート、阪神大賞典でサトノダイヤモンドの2、3着のシュヴァルグラントーセンバジル、実力馬ディーマジェスティの4頭とした。

馬券は◎サトノダイヤモンドを頭の3連単(15-6、7、9、13)12点勝負


映画「無限の住人」

2017年04月29日 | 映画・舞台・コンサート

 映画「無限の住人」を観た。
http://wwws.warnerbros.co.jp/mugen/sp/

 モノクロの出だしはなかなかだったが、そのあとがいけない。可哀想な妹を語る兄の複雑な心情をまったく感じさせない棒読みの台詞。このシーンを観た段階で、この映画はこれまでの木村拓哉の演技から1ミリも抜け出していない、つまりキムタク率100%の作品だと気づいてしまった。
 そうなると興味は他の出演者やストーリーとなる。大勢を相手の殺陣シーンはそこそこの迫力で、その後の山本陽子の八百比丘尼とのやり取りもまあまあ。それから先は豪華な競演陣が次々に登場しては消える展開だったが、どの登場人物も人物造形が浅薄で、それぞれの人生を感じさせるものがない。その中でも一番底の浅い人物が主人公なのだから、これはもう救いようがない。ストーリーも一本調子で何のヒネリもなかった。

 ただ、この映画で気付いたことがひとつ。既にみんな知っていることなのかもしれないが、木村拓哉の台詞は常に本音だということ。
 大人は世の中に様々な価値観があって、どれが正解とも言い難いことを知っている。そして人間同士には人間関係や立場というものがあり、本音を言い合えばいいという訳でもないことを知っている。だから思っていることをそのまま口にするよりも、言葉を選ぶことの方が多い。
 ところがキムタクはひとつの価値観でひとつの台詞。相克する価値観を止揚するための苦悩などまったく見られない。簡単に言うと、哲学がない。つまり子供の台詞なのだ。彼の台詞にどうしても感じてしまう底の浅さは、そこに由来する。木村拓哉という人に哲学があるのかないのかは知らないが、演じる役柄には残念ながら深い思索が認められない。

 この作品も例外ではなく、主人公の造形にも台詞にも奥行きがないから、作品自体も立体感に欠けるものになってしまった。思い切って台詞を極端に削ってしまえば底の浅さは露呈しなかっただろう。観客が勝手に主人公の心情や苦悩を想像するからだ。昭和の映画はよくこの手法を使っていた。しかしそれには役者の無言の演技力が要求される。キムタクにそれを求めるのは酷しい。
 キムタクだけでなく他の登場人物も説明過多で類型化されていて、本来は演技が達者な筈の脇役陣だが、演じる役柄が平面的で、マンガならそれでいいのかもしれないが、映画としては実写の特性を生かせず、非常に残念だった。
 演出にも問題があったということで、強ちキムタクだけに原因があるとは言えないが、ここ数年観た映画の中で最も不出来の作品だったのは間違いないところだ。


映画「LION」(邦題「ライオン 25年目のただいま」)

2017年04月28日 | 映画・舞台・コンサート

 映画「LION」(邦題「ライオン 25年目のただいま」)を観た。
http://gaga.ne.jp/lion/

 ♪あーだから今夜だけは~♪で始まる「心の旅」という歌がある。チューリップというバンドが歌っていた。何故か映画の途中でその歌を思い出した。
 映画のタイトルや作品紹介からだと、ありがちなロードムービーのような、あるいはGoogleアースをはじめとしたIT技術の紹介みたいな映画かと先入観を抱く人もいるかもしれない。
 しかし、さにあらず。作品を観ていくと、抱いていた先入観とのギャップが新しい感動を呼ぶ。これは、厳しい環境の中でも失われなかった愛の物語なのだ。
 テーマはさらに人類の歴史にまで及ぶ。無自覚に産み出されるインドの子供たち。様々な理由で孤児となる彼らは時に幼児性愛の対象として人身売買され、多くは救われずに死んでゆく。インドだけではない。世界中のどこでも、同じことが起きている。今我々は子供を生むべきなのか。
 人類のすべての不幸をその細い肩に背負って涙を流すニコル・キッドマンの演技は本当に素晴らしい。
 主演のデヴ・パテルは「奇蹟がくれた数式」で天才数学者のラマヌジャンという難しい役を見事に演じていたが、本作品でも微妙な立場で育った子供の感情を上手く表情にしていて、幸福に秘められた悲しみの心に、感情移入せずにはいられない。
 ルーニー・マーラは「ドラゴンタトゥーの女」が印象的だが、「キャロル」では名女優のケイト・ブランシェットに見劣りしない堂々とした演技に魅了された。この作品では悩む主人公に寄り添う、思慮深くて愛情に溢れる女性を好演。
 現実の空間の移動も勿論旅に違いないが、心の中での移動も旅だ。そして、生まれてきてから今までの時間の経過も、やはり旅なのだ。言い古された決まり文句ではあるが、さもない日常を生きる我々には、人が皆旅人であり人生は旅そのものだという言葉に心を揺さぶられるものがある。
 見ている最中に涙を流すことはないが、見終わってから思い出すひとつひとつのシーンに、言い知れぬ感動を覚える。この映画を観たことをいつまでも大切にしたいと思わせるような、味わい深い見事な作品である。


映画「I,Daniel Blake」(邦題「わたしは、ダニエル・ブレイク」)

2017年04月23日 | 映画・舞台・コンサート

映画「I,Daniel Break」(邦題「わたしは、ダニエル・ブレイク」)を観た。
http://danielblake.jp/

 高校生の頃、民主主義の実体について議論したことがあった。ひねくれていた私は、民主主義でも専制政治でも何でも、政治は圧力関係と裏取引だと主張した。アドバイザーで参加していた教師は、そういう見方をしていたら永久に政治はよくならないことになる、そうではなくて、民主主義政治とは手続きなんだと言った。行政でも立法でも司法でも、民主主義は国民主権という基本の考え方によって、国民が不利を受けないように手続きを規定している、それが憲法なんだという説明だった。教師に相応しい理想主義的な考え方で、年齢を経ても前向きな考え方が出来るその教師に感心したことを覚えている。
 しかし現実は、高校生の私が主張し、いみじくも教師が指摘したように、政治は圧力関係と裏取引に終始していて、世界全体を見渡しても、永久に政治はよくならないように見える。政治家は常に新しい法規(法律、条令、規則、施行令など)を作るが、必ずしもすべての法規が憲法の精神に則っているとは限らない。しかも現代の政治家はほぼ御神輿で、法規の詳細を作成するのは役人だ。憲法に反しても役人の利益を優先する法規を作るようになるのは必然である。

 第二次大戦後のイギリスでは、有名な「ゆりかごから墓場まで」という福祉政策を実施し、その後深刻な財政難に陥った。サッチャーが登場して福祉を大幅に削減したが、医療関係者の大量流出を招いただけだった。現在に至るも、いまだにその状況から抜け出していない。イギリス国民は日本よりももっと病苦と貧困の苦痛に喘いでいるのだ。
 本作品はそういう状況下で生きる庶民の現実を具体的に描いている。福祉予算を切り詰めるために、給付の手続きを複雑にし、縦割りにした結果、主人公ダニエル・ブレイクは二つの給付手続きの狭間に陥って、万事窮してしまう。日本でいえば、身体を壊して仕事が出来なくなった人が、傷病手当の給付を受けようとして認められず、では失業給付を受けようとしても求職活動が不十分として認められない状況だ。
 不成文憲法の国イギリスでは、国家の舵取りに関わる重要法案以外は違憲立法の審査はない。福祉の実施に関わる細則は、役人のやりたい放題となる。
 福祉予算がないから給付のハードルを高くして給付が受けられないようにしている割に、福祉の役所は役人で溢れ、必要とは思われない警備員まで常駐させている。予算の原資は税金であり、もともと国民から役人が預かっているだけなのだが、どの国の役人も、税金を預かり金と思わず、自分たちの金だと勘違いしている。
 日本でも、小田原市の役人が「生活保護なめんな」とプリントされたジャンパーで保護申請者を10年間に亘って威圧していた事態が今年になって発覚したばかりだ。当然氷山の一角であり、全国で同じようなことが行なわれているのは火を見るよりも明らかである。役人はもともと国民の税金を預かっているだけなのに、それを給付してやるという尊大な態度を崩さない。給付を受ける側は、人間としての尊厳を蹂躙され、自信を失い、やがて生きる希望も失う。そんなことをしている役人には、きちんと給料が支払われる。同じ国民の税金からだ。税金で雇われた警備員が福祉事務所から無辜のダニエル・ブレイクを追い出す。大声を上げる体力もなければネットで訴えるスキルもなく、反対運動を始めるカネもコネもない。主人公は無力感に打ちひしがれる。
 しかし大抵の役人は、悪意ではなく法規に忠実であろうとして四角四面になり、結果として国民を苦しめているだけだ。そうならないようにするのが政治家で、政治家を選ぶのは有権者だ。巡り巡って国民を苦しめているのは国民自身であると考えれば、政治というものの救いようのなさに絶望感を覚える。

 主人公ダニエル・ブレイクを演じた役者はこの映画で初めて見たが、静かな怒りの表現と、出逢った母子に対する思いやりの表情はなかなかのもので、この主人公がまったくの善人で、しかし屈しない意志の持主であることを十分に観客に伝えていた。母親役のヘイリー・スクワイアーズは、子供を産んで微妙に崩れた身体の線と母としての強さ、女としての弱さをきわどく演じていて好感が持てた。ディラン役の子役が非常に達者で、不遇の生活環境で精神の成長に歪みが生じた子供を繊細に表現していた。この子役の感性は大したもので、うまくいけば個性派の俳優になれるだろう。

 感情移入し過ぎて役人が大嫌いになるのは言うに及ばず、憎悪や殺意さえ抱きかねない凄い映画である。カンヌでパルムドールを受賞したのも納得だ。こういう映画がちゃんと評価を得ているところに、まだ民主主義国としての救いがあるのかもしれない。


レース結果~皐月賞

2017年04月16日 | 競馬

皐月賞の結果
1着アルアイン    無印
2着ペルシアンナイト 無印
3着ダンビュライト  無印

私の印
◎ファンディーナ   7着
〇スワーヴリチャード 6着
▲サトノアレス     11
★アウトライアーズ   12着 

 馬券は1~3着がすべて無印でハズレ。かすりもしなかった。
 高速馬場で、速い流れでも前が止まらない展開。ファンディーナにとっては絶好の展開だったが、直線半ばで馬群に呑まれてしまった。完全に脚が上ってしまった印象で、ダービーに向かって暗雲が立ち込めた形だ。人気も落とすだろうが、ここでの経験は無駄ではなく、ダービーも引き続きこの馬を買いたいと思う。10着までが0秒5差の範囲にいた大混戦のレース。着順に関係なく巻き返しが可能だろう。スワーヴリチャードはスタートから福永騎手が結構出していったが、共同通信杯のように好位につけることができなかった。しかし直線は伸びているのでそれほど悲観する内容ではない。サトノアレスは出遅れがすべて。最速の末脚を繰り出すも、前が止まらない展開ではどうにもならなかった。アウトライアーズは後方4番手から、直線もいいところなし。もしかしたらマイル向きなのかもしれない。
 勝ったアルアインは終始好位で展開。ファンディーナが仕掛けたすぐ後から仕掛けて抜け出した。内をするすると伸びたのがデムーロ騎手のペルシアンナイト。この馬のスピードは一枚抜けていて、ハイペースを楽々追走して脚をためていた。アルアインにクビ差交わされてしまったが、この世代のトップクラスであるのは間違いない。ダンビュライトファンディーナの外につけて、一緒に抜け出す形。バテていなかった分、上位に来れた。休み明けのレイデオロが後方3番手の位置から5着に突っ込んできているのは特筆もの。この馬もダービーでは侮れない存在になりそうだ。

 次は天皇賞だ。G1馬が相次いで敗退している今年のG1だが、大阪杯はキタサンブラックが1番人気で勝利した。サトノダイヤモンドとの一騎討ちが楽しみだ。 


映画「La fille inconnue」(邦題「午後8時の訪問者」)

2017年04月16日 | 映画・舞台・コンサート

映画「La fille inconnue」(邦題「午後8時の訪問者」)を観た。
http://www.bitters.co.jp/pm8/index.html

 久しく観なかった、本格的なミステリーである。これがアメリカ映画だったら万能のスーパーヒーローが派手なドンパチを繰り広げるところだが、フランス映画にはそんなリアリティのない人物は登場しない。
 主人公の設定は非常にニュートラルだ。人生に特にこだわりはないが、医者としての責任感とモラルは人一倍である。診療所の受付は午後7時までで、1時間以上過ぎた8時5分にそのドアベルが鳴る。出ようとした研修医を思わず止めてしまった主人公を、翌日警察が訪問する。
 物語はそこから急流のように進んでいく。医師として真面目に職務に取り組むからこそ、尚更少女の死に責任を感じる。そして行動をはじめる。思考し、勘を研ぎ澄まし、気になることをひとつずつ確実に当たっていく。主人公は知らず知らずに事件の真相に迫っていくが、日常は変わらない。多くの患者の主治医として昼夜を分かたず繁忙な生活をしながら、少女の死に真摯に向き合いつづける。

 フランス語の「Au revoir」(さよなら、失礼します、じゃあね、またね、元気でね、etc・・・)がこれほど多用される映画はそうたくさんはないだろう。様々な「Au revoir」に、登場人物それぞれの思いが籠められる。主人公が別れ際に言う「Au revoir」は、相手と状況によってまったく違ったニュアンスになっていて、演じたアデル・エネルはひとつひとつを見事に使い分けている。
 医師としては、研修医に唯一注意した、自分の感情をコントロールしなければならないという教訓を、自ら実践しているように見える。これほど自制心のある女性はそうはいないだろう。芯の強さに裏打ちされる自制心だ。その強さがどこから来るのかは映画ではわからない。描きようがないから描かないのだ。
 おそらくこの映画は、描くべきシーンだけを描いているのだろう。日本酒の大吟醸のように、素材を削りに削っていて、無駄なシーンはひとつもない。ひとつでも見逃がしたら、観客は真実に辿り着けなくなる。暗いミステリーだが、まさにミステリーのお手本のような作品で、ディテールのすべてが真相に繋がっている。監督と主演女優の渾身の仕事がうかがわれる傑作である。

 少女の姉の台詞で「妹は未成年」と訳していたが、「未成年」では13歳位から19歳まで、観客が受け取るイメージの幅があり過ぎる。姉はフランス語で「Dix-huit ans」と発音していたので、「妹は18歳」と訳したほうがよかったかもしれない。


皐月賞~ファンディーナ

2017年04月16日 | 競馬

◎ファンディーナ
〇スワーヴリチャード
▲サトノアレス
★アウトライアーズ

 牝馬ながら圧倒的なパフォーマンスを続けているファンディーナが本命。年明けのデビューで既に3戦を消化しているところから、体力の消耗が心配されるが、大型馬で素質だけで走っていた面があり、これまでの3戦はトレーニング代わりと考えれば、本番のここでのフルパフォーマンスを期待する。
 強敵は共同通信杯勝ちのスワーヴリチャード。先行馬の後ろにつけて最速の上がりタイムでフィニッシュするという完璧なレース運びだった。共同通信杯はここ数年、主力のローテーションになっていることもあり、ファンディーナ逆転はこの馬だろう。
 弥生賞とスプリングステークスでは低調だった弥生賞組よりもスプリングS組を上位に取る。1、2番人気だったサトノアレスアウトライアーズの2頭。サトノアレスは休み明けで出遅れての4着。直線では盛り返しており、叩き2戦目のここはもっと上の着順が期待できる。アウトライアーズも休み明けで2着。勝ち馬のウインブライトにはひいらぎ賞で勝っており、今度は負けないだろう。鞍上は絶好調の田辺騎手で一発の可能性もある。

 弥生賞馬のカデナは460キロとやや小柄で、多頭数のレースで揉まれた場合が心配なのと、弥生賞自体が低調なレースだったことから、ここでは狙いづらい。無敗ではあるが、今年1度も走っていないレイデオロ、マイルの前走が強過ぎたペルシアンナイト、ローテーションが変則で大敗もあるアダムバローズ、スプリングSがやや恵まれた感があるウインブライトなど、気になる馬が沢山いて、非常に絞りづらいレースだが、思い切って上記4頭に賭ける。

 馬券は4頭まで絞ったので3連単ボックス(2、6、8、13)の24点勝負。 


映画「Moonlight」

2017年04月11日 | 映画・舞台・コンサート

映画「Moonlight」を観た。
http://moonlight-movie.jp/sp/

 言わずと知れたアカデミー賞作品賞受賞作である。落ち着いたストーリー展開といい、月や波の美しい映像といい、心を騒めかせることなく鑑賞できる作品である。同級生に虐められる子供が貧しい田舎道を逃げていく、なかなかの出だしだ。
 しかし途中から、ひとりの登場人物の最期がどうしても気になりはじめ、いつそれが明かされるのかと思いながら観ることになった。多分多くの人が同じ思いをするのではなかろうか。その人物の最期が作品に大きな影響を与えたのではないかと思えるだけに、肝心の最期のシーンがなかったことが大変残念である。
「黒人は世界中のどこにでもいる」という台詞は、とても含蓄のある言葉だ。世界中で差別がある、世界中に仲間がいる、お前はひとりじゃない、しかし世界中で仲間から虐められている黒人がいる、世界中にヤク中の黒人がいる・・・・希望的な言葉でもあり、厭世的な、絶望的な言葉でもある。
 この台詞が本当のところどういう意味なのか、語られず仕舞いで当の台詞の主がスクリーンから消えてしまうのである。観客にとっては消化不良のまま、映画が終わってしまう。映画としては、恵まれない環境で成長する黒人男性の幼年期から青年期までのありようをリアルに描いているいい作品なのだが、依然として心残りがある。
 実はそれ以外にも、端折られているのではないかと思えるシーンがいくつかある。こうなると興味は、肝心のシーンが本当は撮影したのに編集で意図的に省いたのか、それとも最初からそのシーンを撮るつもりがなかったのかということになる。
 いまだにKKK(クー・クラックス・クラン)が大手を振って明るい場所でも堂々と活動する国の映画だけに、何があっても不思議ではない。穿った見方をすれば、そういった状況も踏まえてのアカデミー賞作品賞だったのかもしれない。


レース結果~桜花賞

2017年04月09日 | 競馬

桜花賞の結果
1着レーヌミノル    無印
2着リスグラシュー   無印
3着ソウルスターリング ◎

私の印
◎ソウルスターリング 3着
〇ミスエルテ      11着
▲ミスパンテール    16着
△ジューヌエコール  9着
△ライジングリーズン 8着
△アエロリット    5着

 馬券はあっと驚くソウルスターリングの3着でハズレ。 
 レースはカワキタエンカが他を離して逃げて前半が46秒5、後半が48秒0と、やはり稍重の影響か、時計がかかっている。先行馬の後ろにつけたレーヌミノルが最速の上がりタイムで完勝した。前に行った馬が最速の上がりをされては、ソウルスターリングは手も足も出なかった。レーヌミノルはダイワメジャー産駒で割と馬力のある血統だから、こういう馬場がよかったのだろう。
 ソウルスターリングは馬場が不向きだったということもあるかもしれないが、一流馬は馬場を選ばない。デビューから4戦、完璧なレースぶりを見せていたものの、まだまだ未完成で一流ではなかったということだ。今後の変わり身に期待する。
 リスグラシューは堅実駆けで、ここもきっちりと馬券圏内を確保。武豊はこのあたりそつがない。2着馬と3着馬がチューリップ賞の3着と1着だった訳で、結果としては順当だといえるかもしれない。
 アドマイヤミヤビはスタート後から行きっぷりが悪く、よほど渋った馬場が嫌いなのだろう。3戦連続で33秒台の上がりを記録しているように、パンパンの良馬場限定の馬のようだ。

 さて来週は皐月賞だ。弥生賞が1000m通過63秒2の超スローで低調なレースだっただけに、スプリングステークス勝ちのウインブライトか共同通信杯勝ちのスワーヴリチャードが有力。もしかしたらフラワーカップ圧勝のファンディーナが1番人気の可能性もある。サトノアレスが大型馬の叩き2戦目でG1馬の底力を見せるかもしれない。楽しみである。 


桜花賞~ソウルスターリング

2017年04月09日 | 競馬

◎ソウルスターリング
〇ミスエルテ
▲ミスパンテール
△ジューヌエコール
△ライジングリーズン
△アエロリット
 

 本命は素直にソウルスターリング。土曜日の阪神コースは重馬場だったが、阪神牝馬ステークスのレースの上がりが35秒0で勝ち時計が1分34秒3。去年の桜花賞よりも0秒9かかっているが、4コーナー8番手から差し切ったミッキークイーンの上がりが34秒0なら、6馬身差からの差しも決まると考えていい。先行馬のすぐ後ろにつけるソウルスターリングなら2馬身以上離して勝つことが予想される。
 2番人気はデムーロ騎手のアドマイヤミヤビだが、今日の阪神牝馬ステークスで乗ったクイーンズリングが3コーナー手前で強引にハナを奪う乗り方をしていた。結果はブービーの15着。年明けから絶好調が続いていただけに、やや調子が下降気味なのかもしれない。アドマイヤミヤビでもデムーロのことだからソウルスターリングを負かしに行くレースをするだろう。すると無理が祟って馬群に沈むケースが考えられる。断然人気の2着は薄目というし、ここは消しで勝負だ。
 2番手に評価したのはミスエルテソウルスターリングと同じフランケル産駒。休み明けだが、牡馬相手の朝日杯で馬群に揉まれながら最後は伸びてきた脚を買う。
 チューリップ賞2着のミスパンテールが3番手。キャリア2戦だが、7か月の休み明けの重賞で2着するのは相当な能力と仕上がりの順調さがうかがえる。
 デビューから3連勝だったがその後の2戦で人気を落としたジューヌエコール。巻き返しがあって不思議ではないし、馬場に重さが残るようだとさらに出番がある。あとは1600mを4戦して3勝のクロフネ産駒ライジングリーズン、同じくサンデーサイレンス系の母にクロフネをかけたアエロリット

 馬券は◎ソウルスターリングを頭の3連単(14-1、2、4、12、16)20点勝負。