この4月から改正(?)省エネ法が施行されて、私の会社でも対応に追われています。ポイントは2つで、ひとつはガスと電気の使用量を前年よりも1パーセント減らすこと、もうひとつは書類を作成して提出することです。
実務を担当する者にとって煩わしいのは、経済産業省だけでなく東京都にも書類提出や報告をしなければならないことで、東京都の決まりでは、経済産業省に対しては必要のない水道の使用量も報告しなければなりません。経済産業省と東京都の両方に対応するのは大変に手間がかかるので、どうせ同じ内容を報告するのですから、先方で情報を共有してくれればいいことです。そのためにシステムを変更しなければならないのなら、お金をかけて変更すればいいでしょう。訳のわからない東京オリンピック誘致に何百億円もかけるよりは余程有効な投資です。
さて、無駄な仕事を都民に押しつけて働いた気になっているスットコドッコイの都庁職員は、企業から報告書を提出させて「指導」するつもりのようです。経済産業省も同様に「指導」するつもりのようですから、企業としては両方に対応することになり、同じことを二度もしなければなりません。何故こんな無駄なことをするのか意味がわかりません。
東京都は都知事も都知事なら職員も職員で、やらなくてもいいことばかりやっています。都議会は民主党が多数派なのですから、早いところ事業仕分けを実施して都庁の余計な仕事と余計な職員を削減して欲しいものです。
実は報告書の提出先は経済産業省と都庁だけではありません。
かつて小池百合子という無駄な人が大臣を務めていた環境省からも、温室効果ガスの排出に係わる報告書を提出するように求められています。
しかし提出先は環境省ではなく、各企業の所管の省庁です。しかも環境省はヘルプデスクを三菱総研に丸投げしています。環境省は一体何をするのでしょうか。
鳩山さんが25パーセント削減という大風呂敷をひろげた温室効果ガス対策ですが、官僚に丸投げしたおかげで民間企業は大迷惑を被っています。環境関連企業はガスや電気の使用量を計測する装置や、複数拠点の使用量を合算して原油換算し、報告書に仕立てるASPのシステムなどをいち早く開発して、抜け目なく売り込んできます。こうした目先の利益を小賢しく稼ぐのも結構ですし、そういうツールを使って日々の省エネに取り組むのも結構なのですが、人類全体の利益を鑑みたとき、どこかピント外れの動きではないかという印象が拭えません。
たしかに省エネをして地球の温暖化を遅らせるのは意味のあることかもしれません。二酸化炭素が本当に温暖化の原因なのかについては議論があるようですが、ここ数世紀の急速な発展が温暖化の速度を速めているのは間違いのないところでしょう。言わば人類の歩みそのものが地球の温暖化の根本的な原因なのです。誰もが気づいている筈なのに、誰もそのことに言及しません。モバイルなどのIT技術に代表される科学文明の発展による恩恵を誰も否定できないからです。
仏教では五体倒置という礼拝があります。身体を目の前の地面に投げ出し、その分だけ前に進み、聖地を目指します。五体倒置を実践する修行僧はIT技術を必要としません。自動車も列車も要りません。日本に暮らす私たちからみれば不便窮まりないように思えますが、実はそうでもないと思います。物質的な充実は必ずしも精神的な充実と一致しないからです。美味しいものを食べたからといって精神的な充実が得られる訳ではありません。満足感や充足感はありますが、それは一過性で、精神の充実と程遠いものです。
むしろ仏教では、なるべくものを食べないようにすすめています。身が細くなればなるほど、ますます頭が冴えると教えているのです。
地球温暖化は聖書にある最後の審判、仏教でいう末法の時代が到来した現れなのかもしれません。省エネ法などの小手先の誤魔化しではなく、人類全体のありようそのものを考え直すべきではないでしょうか。