久しぶりにぶろぐを更新。今回の魚はスズキ目・アジ科・ヨロイアジ属のリュウキュウヨロイアジ。リュウキュウヨロイアジは、「琉球」という名前がついているが、日本では沖縄だけで見られる魚というわけでなく、相模湾以南の太平洋岸や日本海岸にも分布している。
この魚の特徴は眼の前が若干膨らんでいること。この特徴により近縁のヨロイアジと見分けることができる。ヨロイアジの頭部はもっとストレートな形状をしているので区別は容易である。なお、魚類学を少しかじっている方にはご存知かもしれないが、このリュウキュウヨロイアジをふくむ「ヨロイアジ属」の中には複数の属が含まれるとされており、再検討がすすめられている。確かにナンヨウカイワリやクロヒラアジなどの種類と本種はかなり違った見た目をしている。
リュウキュウヨロイアジにそっくりなものにヒシカイワリという魚がいる。ヒシカイワリは西太平洋に生息しており、日本では鹿児島県の笠沙からのみ見つかっていたようだが、最近長崎のたくじーさんに写真を見せて頂き、この熱帯性のアジ科魚類が長崎県周辺の海域にもいる可能性が高くなった(無効分散であろうが)。ただ日本で採集されているヒシカイワリは皆幼魚であり、口が大きく幼魚よりも体高低めの異様な姿の成魚はまだ採集されていないようだ。
リュウキュウヨロイアジとヒシカイワリの違いは顎の形状と、鰓耙の数である。リュウキュウヨロイアジとは下顎の形状が若干違っている。また鰓耙の数も異なり、「日本産魚類検索」によればリュウキュウヨロイアジの鰓耙数は上が6~11、下が14~17であるのに対し、ヒシカイワリの鰓耙数は上が23~29、下が51~61と極めて多い。なおヒシカイワリは幼魚や若魚では鰭が長くのびているが成魚では短くなってしまうようである。これはイトヒキアジなどと共通の特徴である。
左がリュウキュウヨロイアジ
アジ科の魚は刺身で美味しいことはよく知られている。しかし10年前にリュウキュウヨロイアジを食したときは「イマイチ」と感じられた。今回はどうか?
今回食したリュウキュウヨロイアジは刺身で美味であった。前回食べてイマイチだった個体は今回の個体よりもやや大きめであった。確証は一切ないのだが大きい魚ほど大味になってしまうのかもしれない。
今回の個体は前回のクロアジモドキ同様に出川公平さんに送っていただきました。ありがとうございました。
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