フィギュアスケート・世界選手権2018、女子ショートプログラム(ジャッジスコア)。
<G1>
ダシャ・グルム(スロベニア) SP:52.43(22)
「Blucobalto」「Sax」♪ 紫、アシンメトリーのスカート。しっとり系の曲で丁寧にフリップ、トウ・トウ3-2を決める。後半アップテンポの曲になると、隣国スロベニアの代表、ヨーロッパ選手権ではおなじみの選手を観客も手拍子で後押し。
全体に奇をてらわないオーソドックスな感じ、ほぼノーミスで笑顔のフィニッシュ。自己ベストに迫るシーズンベスト。
キム・ハヌル(韓国) SP:60.14(14)
「ピアノ・レッスン」♪ 白と茶のツートン。スピードにのってルッツ・トウ3-3を決め、後半ループ、イーグルからダブルアクセルと安定。フライングシットスピンに入るジャンプも高さがあり、レイバックからヘアカッター、ビールマンと各姿勢をしっかり見せるスピンも回転が速い。
コロコロした体格だけどバネも柔らかさもある。会心の演技
李香凝(Xiangning LI)(中国) SP:50.06(26)
「ニュー・シネマ・パラダイス」♪ ブルーのグラデーション。冒頭のフリップ・トウ3-2は決まったが、後半ルッツで転倒。ダブルアクセルはスムーズ。
前よりスケーティングが洗練されてきている。李子君が引退を決めた今、中国女子を1人で背負う自覚が出てきたかな。
ナターシャ・マッケイ(イギリス) SP:45.89(32)
「ロクサーヌのタンゴ」♪ 赤と黒。ループ・トウ3-2、サルコウ、ダブルアクセルとジャンプを最初から固めて跳んでしまい、後半は激しく動くステップで魅了。今のシステムで点を稼ぐには有利ではないが、力を出し切ることを優先してノーミス。
ただ得点は伸びず、、、回転不足とコンビネーションスピンでV(基本姿勢3つが揃わない)判定があった。
エリザベッタ・レッカルディ(イタリア) SP:51.13(23)
「Je suis malade」♪ グレーのスリップドレス。地元の大歓声に送られて、まずフリップを決める。細長い腕を大きく使って、ドラマチックに表現していく。サルコウ・トウ3-3は少しステップアウトしたが、ダブルアクセルはうまく決めた。
シット姿勢からフリーレッグをキャッチして即キャメル姿勢のスピンもよかった。
<G2>
ヴィヴェカ・リンドフォース(フィンランド) SP:60.18(13)
「オペラ座の怪人」より「Wishing You Were Somehow Here Again」♪ 黒、肩先はレース。トウ・トウ3-3を下り、しっとりとスピン。クリスティーヌの雰囲気を十分に出すステップ。後半加点のつくルッツが跳べたのは大きい。ビールマンでさらに大きく体を反らせると迫力が出た。
五輪最終予選で出場枠を獲得したのに、自身はオリンピックに出られなかったが、ここでいい演技ができてよかった
アンゲリーナ・クフヴァルスカ(ラトビア) SP:35.78(37)
「Sway」♪ 黒。トウ・トウ3-2はまあ大丈夫だったが、サルコウで転倒、アクセルでステップアウト。オリンピックには他の選手(ディアナ・ニキティナ)が出ていたので、今季は怪我などがあったのかな。
アリサ・ストマキナ(オーストリア) SP:48.71(30)
「I Put a Spell On You」♪ 濃紫。両手上げルッツはよかったが、両手上げトウ・片手上げトウ3-2、ダブルアクセルは着氷がやや詰まった感じで、GOEはわずかにマイナスとなった。レイバックスピンもビールマン姿勢でややふらついてしまった。全体としては悪くなく、ISU自己ベストは更新。
ラーキン・オーストマン(カナダ) SP:50.17(25)
「Mein Herr」♪ 黒。ループ・トウ3-2は決まり、フリップで転倒したが、ダブルアクセルは音とうまく合わせて着氷。大柄な体格で妖艶に、曲の緩急をうまく使ってリズミカルに踊った。
オリンピックではフリーに進めなかったが、、、今回も
イザドラ・ウィリアムズ(ブラジル) SP:42.16(35)
「ハレルヤ」♪ 藤色。2大会連続五輪出場を果たしている。冒頭のルッツがパンク、ループでステップアウトしてコンビネーションにできず イーグルからのダブルアクセルは大丈夫。
丁寧に滑っていたが、ジャンプのミスは痛かった。
<G3>
ゲルリ・リナメ(エストニア) SP:45.14(34)
「Young and Beautiful」♪ 黒。ルッツ・トウ3-2をさらっと決め、ループは少しこらえた。曲がアップテンポになってノリのいいステップだったが、レベルはあまり取れず。全体に安定感はあった。
アンネ・リーネ・ヤッシェム(ノルウェー) SP:45.25(33)
「Angel By The Wings」♪ 紫。ループ・トウ3-2、フリップとややこらえながら下りる。キャリアが長いだけあって、ステップには円熟味が感じられた。転倒や大きなミスなく終えてほっとした笑顔。
アントニナ・ドゥビニナ(セルビア) SP:41.40(36)
「Tango Princess」♪ ライトブルー。サルコウ・トウ3-2を下りたが、詰まり気味のせいかGOEは少しマイナス。フリップは手をついてしまった。キャメルスピンで少しトラベリング、粗削りというわけではないが、詰めが甘いのかも。
面立ちはちょっとソツコワに似てる
エイミー・リン(台湾) SP:49.31(28)
「Snake Women」♪ 赤系。今季はなかなかいい演技ができていなかったが…。トウ・トウ3-3で手をついたが踏ん張り、サルコウ、ダブルアクセルと下りる。ヨーロッパの選手たちに比べると表現はあっさりしていてアピール弱いが、今日はできることはやりきれた感じ。
エルズビエタ・クロパ(リトアニア) SP:46.53(31)
「I Put a Spell On You」♪ 濃紺。172㎝の長身で大きく体を伸ばして着氷したトウ・トウ3-3は雄大 一方フリップで転倒、ミスは目立ってしまう。ちゃんと頭を残しながらターンしているのは、ヨーロッパの選手らしい。
<G4>
カイラニ・クレイン(オーストラリア) SP:56.90(20)
「Dream a Little Dream of Me」「One Day」♪ ピンク、白手袋。にっこり笑顔で滑り出し、フリップをきれいに下りて振付につなげる。コンビネーションはループ・ループ3-3を予定していたが、ループ・トウ3-2でまとめ、ダブルアクセルは片手上げで決めた。
アップテンポになった瞬間にがらっとムードを変えて弾けるステップ。本人も楽しみながら、会場も笑顔にしてくれた。納得の得点とフリー進出にほっと一息。
エリシュカ・ブレジノワ(チェコ) SP:58.37(18)
「アダージョ」♪ 水色。高さはそれほどないが素早い回転でトウ・トウ3-3を決め、ルッツはややこらえたがうまく着氷。難しい姿勢のキャメルスピン、よく体が動いているステップ。スケートがよく滑っている。
ノーミスに本人も感激 自己ベスト更新にフリー進出
アレクシア・パガニーニ(スイス) SP:57.86(19)
「ロミオとジュリエット」より「Forbidden Love」♪ 藤色、袖は白。元はアメリカの選手だが、著名な作曲家と同じ姓、イタリア系とあって拍手大きい。トウ・トウ3-3、ループとスムーズに決めて波にのった。全体に姿勢がきちんとしていて、所作がきれい。
自己ベストとフリー進出で笑顔がはじけた
アニタ・オストルンド(スウェーデン) SP:48.99(29)
「カルメン・ファンタジー」♪ 赤に黒など。冒頭のフリップで転倒、後半のトウ・トウ3-3でこらえたかと思ったが結局転倒になってしまい ターンからのダブルアクセルは決めた。
オリンピックでフリーに進めなかったが、ここでも進めず。ヘルゲション姉妹が引退したスウェーデンを、これから引っ張っていけるか。
ブレイディ・テネル(アメリカ) SP:68.76(7)
「Taegukigi(映画「ブラザーフッド」)」♪ 赤に黒などのストーン。ルッツ・トウ3-3をきっちり決めると、ステップの一部のようにさりげなく跳んだループに高いGOEがついた。手足をきゅっと伸ばして端正な姿勢を保っているので、どこから見てもきれい、スピンのI字姿勢もまっすぐ。大きなイーグルからダブルアクセル、壮大な曲調とマッチした。
終わってガッツポーズ、オリンピックで出したベストに迫る点が出た。
<G5>
ロリーヌ・ルカヴリエ(フランス) SP:59.79(15)
「おもいでの夏(Summer of ’42)」♪ ピンク。ピアノの調べにのって、トウ・トウ3-3、ルッツが決まる。レベルも取りながら見せ方に工夫があるスピンは、プログラムを引き立てる。ちょっとした表情もよかった。
オリンピックにはマエ=ベレニス・メイテが出ていたが、ロリーヌもここでいい演技ができて何より
ニコル・ショット(ドイツ) SP:61.84(12)
「ネッラ・ファンタジア」♪ 薄いブルーと濃いブルー。あまり助走を取らずにさっと跳んだフリップ、トウ・トウ3-3は少しこらえた。丁寧ながら力強さのあるステップでレベル4獲得。ダブルアクセルからレイバックスピンといい流れで終わり、余韻を残した。自己ベスト更新
ロエナ・ヘンドリクス(ベルギー) SP:64.07(10)
「Frozen」マドンナ♪ 黒。最初に両手上げルッツ・トウ3-3に挑み、なんとか下りる。一つ一つの姿勢がピッピッとクリアに変わるコンビネーションスピン。イーグルからダブルアクセル、片手上げフリップと決まった。ビールマン姿勢でも回転が速いスピンはGOEも高評価。
終わって嬉しそうな笑顔。自己ベスト大幅更新に嬉しい悲鳴
スタニスラワ・コンスタンティノワ(ロシア) SP:59.19(16)
「Corazon Espinado」「I Like It Like That」♪ 赤。ロシア勢で最初に登場。ラテンのリズムにのって、ダブルアクセルから。ルッツ・トウ3-3でこらえきれず転倒したが、片手上げフリップはしっかり決めた。
エレキの音によく合わせるステップは伸びやかで気持ちいい。ビールマンは靴の甲とエッジを持つ独特のホールド。
あまり得点が伸びなかったが、回転不足を3つ取られていた。
イヴェット・トート(ハンガリー) SP:50.63(24)
「Back in Black」「Thunderstruck」♪ 黒ベストにパンツ。トウ・トウ3-3はセカンドでフリーレッグを少しついてしまった。ルッツは少し傾いたが頑張る。ロックなナンバー、小柄な体を目いっぱい動かしてパワフルになステップ。ダブルアクセルはステップアウトして手をついた。
終わってちょっと顔をしかめる。得点が出ると場内歓声が、、、イタリアのレッカルディ選手のフリー進出決定。本人はどうなるか。
*結局、後の選手の得点が伸びなかったため、フリー進出が決まった。
<G6>
ガブリエル・デールマン(カナダ) SP:71.61(6)
ビゼー「カルメン」より「ハバネラ」♪ 黒系、スカートは赤。さすがにこのグループ、いきなりトウ・トウ3-3でGOE満点の2.1 ルッツ、ダブルアクセル問題なし。全体に堂々としていて、見応えがあった。
ニコル・ライチョヴァー(スロバキア) SP:49.87(27)
「Une page d'amour」♪ ワインカラー。3-3予定のループ・トウは3-2でまとめる。ルッツは「跳んだ瞬間に軸が傾いてしまいました」(解説・荒川静香さん)、転倒。ステップの途中で何かに引っかかって転倒、こちらのほうが痛かった。レイバックスピンでビールマンをしないので、これもあまりレベルが上がらない。
終わって頭に手をやって悔しそうな顔。
チェ・ダビン(韓国) SP:55.30(21)
「愛のイエントル」より「Papa Can You Hear Me」♪ ライムグリーンと白。落ち着いてルッツ・トウ3-3を決め、きれいな姿勢のスピンを続ける。袖口が広がっている衣装で、腕の動きが引き立つ。後半のフリップは「高さがあまりなかったが大丈夫か」と解説・荒川静香さん。体の動きはいつもと変わらずきれいだった。
回転不足3つとは、ちょっと厳しい
エリザベット・トゥルシンバエワ(カザフスタン) SP:62.38(11)
「カルメン・ファンタジー」♪ 臙脂色。相変わらず針金のように細い体だが、ルッツ・トウ(両手上げ)3-3をびしっと決めてきた。フリップ、ダブルアクセルも下りる。生き生きとよく動くステップが、バイオリンの音とよく合ってとてもよかった
コーチのブライアン・オーサー氏がリンクサイドで大喜び
長洲未来(アメリカ) SP:65.21(9)
ショパン「夜想曲第20番」♪ 胸から袖がレースの臙脂。アクセルはダブルで確実に決めてきた。フリップ・トウ3-3は「セカンドがぎりぎり」と解説・荒川静香さん。ループはきれいだった。
キャメルのキャッチフット姿勢からそのままシット姿勢に移るスピン、鮮やか。長くヘアカッターを見せてからビールマンスピン、これも見せどころ。
トウループがダウングレードだったか・・・
マライア・ベル(アメリカ) SP:59.15(17)
「シカゴ」♪ シルバー。冒頭ルッツ・トウが3-1になってしまい しかしスピンで落ち着いて、フリップは傾いたがこらえ、ダブルアクセルはスムーズ。チャールストンのリズムで軽快に踊るステップはとても楽しい。
終わってふっと息を吐いて、もっとできるのに~という気持ちが見えた。
<G7>
樋口新葉 SP:65.89(8)
「ジプシー・ダンス」♪ 上から白青赤に金を散りばめる。ダブルアクセルから入り、きびきびとスピンをこなす。ルッツ・トウ3-3で惜しい転倒 フリップはよかった。ロンバルディアトロフィーでの素晴らしい演技を記憶している観客、激しさを増していくステップでは手拍子。
カロリーナ・コストナー SP:80.27(1)
「Ne me quitte pas」♪ 暗紅色。ただそこにいるだけで美しい。ただ滑っていくだけで美しい。
フリップ・トウ3-3を決め、ループ、ダブルアクセルと流れの中で決める。一歩でぐーんと伸びるので、カメラが追いかけるのに大変 スピンの姿勢の一つ一つ、つなぎの中での所作、音楽と共にあって、滑り全体で歌っていた。
スタンディングオーベーションの中、感極まった表情で終わる。そして自己ベスト更新
アリーナ・ザギトワ SP:79.51(2)
「ブラック・スワン」♪ 白グレー黒。今日も動きのキレはよく、きびきびしたステップ。ルッツ・ループ3-3はちょっと傾いてこらえた着氷に。両手上げフリップ、高く足を上げてターンを入れてからのダブルアクセルはいつも通り。
要素と要素の間でまったく休んでいない。ゆったりと見せるコストナーとは真逆の表現。コストナーと同レベルのPCSはもらえなかった。
マリア・ソツコワ SP:71.80(5)
チャイコフスキー「白鳥の歌」♪ ピンク。ルッツ・トウ3-3、フリップ、ダブルアクセルと今日も全部片手上げで決めてきた。しっかりエッジワークで見せるステップは、フィギュアスケートの醍醐味の一つ。
ケイトリン・オズモンド SP:72.73(4)
「パリの空の下」「ミロール」エディット・ピアフ♪ 濃紺、同色のスカーフと手袋。フリップ・トウ3-3を決め、ルッツもこらえたが、後半のダブルアクセルで手をついてしまう珍しいミス。しかしスピンから振付の流れ、スケーティングの伸びと体の動きのバランスがいいステップ、代表作となりそうなプログラムを滑り切った。
宮原知子 SP:74.36(3)
「サユリ」♪ ピンク。「がんばれ!」と声がかかる中、いつものようにコーチとおでこをくっつけて出ていった。ルッツ・トウ3-3を慎重に下り、びしっとした姿勢のキャメルスピン。ループは「ステップから直ちに跳んでいてよかった」と解説・荒川静香さん。ステップに入るところのフリーレッグの動き、和風の音と所作を合わせつつ、伸びやかなスケートのステップは、ザ・日本を感じさせる。
レイバック、サイドウェイズ、ビールマンとため息の出るスピンでフィニッシュ。回転不足を1つ取られたが、それでもこのスコアを出せた。
結果、地元イタリアのコストナーがトップに立ち、ザギトワが2位、宮原が3位につけた。4位オズモンド、5位ソツコワ、6位デールマン。8位の樋口、フリーで1つでも上を狙ってほしい。
このあとはペア・ショートプログラム、須崎海羽/木原龍一は11番滑走、日本時間で朝4時ごろの予定。ベストを出せばフリーに進めると信じて、頑張れ~~~