フィギュアスケート・世界選手権2018、男子ショートプログラム(ジャッジスコア)。
<G1>
スラヴィク・ハイラペティアン(アルメニア) SP:68.18(23)
「夜のストレンジャー」フランク・シナトラ🎵 白シャツにほどいた赤タイ。緊張の第1滑走だが、きれいなトリプルアクセルを決める。ルッツはステップアウトしたが、後半サルコウ・トウ3-3は安定。シナトラのムーディーなボーカルを楽しみながら表現できていた。
ブレンダン・ケリー(オーストラリア) SP:74.99(19)
「Everybody Wants To Rule The World」♪ ブルーのシャツ。コンビネーション予定の4回転トウループは単独になり、4回転サルコウを3回転ルッツに変えて3回転トウループをつける。トリプルアクセルは軽くステップアウト。
実績はけっこうあるんだけど、ちょっと今回は滑走順が早くなってしまった。姿勢はよくてスケートも伸びるので、フリーに期待
ハヴィエル・ラヤ(スペイン) SP:50.00(37)
「Pure Imagination」ジェイミー・カラム♪ 黒、一部レース。フェルナンデスが出場しないので、スペインからただ一人出場。渋いピアノとボーカルにのってトリプルアクセルに挑むが転倒。フリップでステップアウトして単独に、ルッツも転倒してコンビネーションなしになってしまった。
雰囲気のある身のこなしで、見ていて素敵なんだけど。
ブラク・デミルボガ(トルコ) SP:65.43(28)
「Another Love」♪ 黒にゴールドのストーン。トリプルアクセルを下り、ルッツ・トウ3-3も軽やか。細身の体で要素をきっちりこなしていく。フリップは下りてすぐ振付のジャンプを見せた。終わって両手でガッツポーズ。
21歳と若いので、これから伸びてきそう。自己ベスト更新に笑顔
曹志禕(Chih-I TSAO)(台湾) SP:64.06(30)
「Je Suis Malade」♪ グレー系のグラデーション。かがみこんだポーズから始まり、トリプルアクセルを跳んだが転倒。フリップ・トウ3-3は幅がある大きいジャンプ。キャメルスピンの姿勢がきれいに保てている。終盤3回転ルッツが決まると会場が沸いた。
<G2>
フィリップ・ハリス(イギリス) SP:68.59(22)
「Dig Down」ミューズ♪ 黒。トリプルアクセルをきれいに決め、フリップ・トウ3-3は手をついたが根性で転倒は免れる。後半のルッツがきれいに入り、盛り上がっていく曲調に合わせて力強くステップ。キャメル姿勢で背中で手を組み、そのままシット姿勢になるスピンでフィニッシュ。
あまり見たことがなかった選手だけど、28歳のベテラン。ちょっと面白い。自己ベストに近い点が出た。
ロマン・ポンサール(フランス) SP:79.55(16)
「King Arthur」♪ 黒、袖はベージュ。国別対抗戦で日本のファンにはおなじみになった選手、ようやく世界選手権に出てきた。4回転トウループ、やや傾いたが着氷。トリプルアクセルはスムーズにイーグルまでつなげる。後半ルッツ・トウ3-3をまとめた。
リンクいっぱいに使うイーグルや、柔らかな身のこなしのステップ、けっこうイケメンだし なかなか見ていて楽しい。コーチにラファエル・アルトゥニアン氏がついている。自己ベスト大幅更新。
ヴァルター・ヴィルタネン(フィンランド) SP:55.49(35)
「我が心のジョージア」♪ 黒シャツに白ベスト。医師として働く30歳。4回転トウループに挑んで転倒したが、スピンは丁寧にレベルを取っていく。ゆったりしたボーカルに合わせて、大きくエッジにのっていくステップ。ルッツ・トウ3-3頑張ったが手をついたのは転倒扱いになるか?と思ったが大丈夫。アクセルがダブルなので、コンビネーションは決めたかったところ。
10代、20代前半の選手が多い競技で、こういう選手の出場は貴重。
ジュリアン・ジージエ・イー(マレーシア) SP:72.43(21)
「To Build A Home」♪ 白シャツ。しっとりした曲で、トリプルアクセルを深く膝を折ってこらえる。ルッツはあまり助走もなく、さらっと跳べた。フリップ・トウ3-3、しっかり膝を折った姿勢のシットスピン。ステップはリンクに模様を書いていくように、大きく滑れている。曲の世界観に開場が浸った。
キム・ジンソ(韓国) SP:60.72(33)
「Moon Night」♪ 黒。曲は「月光」のアレンジらしい。オリンピックには出られなかったが、ここは頑張りたい。ルッツ・トウ3-3、膝を深く折って着氷。アクセルが1回転に ループは大丈夫だった。小柄で重心が低く、氷をきちんとつかむ滑り。ステップはレベル4が取れたが、、、
<G3>
イゴール・レズニチェンコ(ポーランド) SP:51.70(36)
「Give Me Love」♪ 黒系。4回転トウループ頑張ったが大きくステップアウト、アクセルは変な形に開いたダブルになってしまう。フリップが2回転になって、トウループを3回転にしたかったが2回転にとどまり、大きく点を失った。
全体に地味な感じで もう少し盛り上がりやすい曲で見てみたい。
友野一希 SP:82.61(11)
サラサーテ「ツィゴイネルワイゼン」♪ 紫に金の刺繍。会場に一斉に日の丸が咲く。音の鳴り始めから友野ワールドに引き込む大きな動き、4回転サルコウ下りた フリップ・トウ3-3余裕、躍動するステップに入ると手拍子が後押しする。大きなジャンプで入るフライングキャメル、終盤にトリプルアクセル、決まった
スピンを終えてフィニッシュポーズを決めると、ガッツポーズのあとちょっと嬉し涙。自己ベストも更新して笑顔になった。
アブザル・ラキムガリエフ(カザフスタン) SP:61.19(32)
「ラスト・エンペラー」「Night Fight」♪ 赤のVネック、黒で縁取り。デニス・テン欠場でカザフスタンからただ一人の出場。トリプルアクセルがきれいに決まり、3回転ループも入る。なのにトウループが単独になってしまい 4回転を跳ぼうとした? 大きすぎてコントロールできなかった感じ。
次第に速くなるパーカッションでリズミカルなステップはなかなか良かった。
ニコラス・ヴルドリャク(クロアチア) SP:59.74(34)
「Black Cat, White Cat」♪ 白シャツ、ブルーと黒のベスト。冒頭の3回転ルッツは単独になり、トリプルアクセルは沈み込んでステップアウト、なんとか転倒はせず。後半フリップに3回転トウループをつけることができた。
クロアチアの民族音楽らしき曲で、お祭りみたいな雰囲気のステップ。でも本人はアメリカ生まれ
この時点で1位の友野一希はフリー進出決定。
ドノヴァン・カリーヨ(メキシコ) SP:68.13(24)
「Capone」♪ 白シャツ、黒ストライプのベストに赤いタイ。世界ジュニアから連戦。軽やかな身のこなしで、ルッツ・トウ3-3、ダブルアクセルと決める。スピンの姿勢に細かい工夫があり、つなぎの動きでの表情が豊か。何より笑顔が可愛い
後半両手上げルッツを決め、元気いっぱいにコミカルなポーズも交えたステップで、完全に観客を虜にした ベスト更新にガッツポーズ。
<G4>
ラリー・ルポロヴェル(アゼルバイジャン) SP:61.82(31)
「Earned It」♪ 黒とシルバー。今季はジュニア最後のシーズンで、かけもちしていた。ジャンプに苦労することが多いが、今日はルッツ・トウ3-3、フリップ、ターンからのダブルアクセルとしっかり決められた。
ロッカバラードは彼のキャラクターに合っている。シーズンベストが出せた。
パウル・フェンツ(ドイツ) SP:82.49(12)
「Wonderwall」ポール・アンカ♪ ピンクのシャツ、サスペンダー。トウ・トウ4-3決まった! 4回転からのコンビネーションは今日この選手が初めて。トリプルアクセルも入って、指差しポーズもはまる。3回転ルッツはオーバーターンしたが大きなミスにはならず。
回転し始めてすぐ靴の甲をつかむキャメルスピン、コンビネーションスピンの中にも面白い姿勢があった。自己ベスト更新に喜ぶ
ステファン・ウォーカー(スイス) SP:65.79(27)
「イオ・チ・サロ」アンドレア・ボチェッリ♪ 紺のタートルネック。細長い手足を大きく伸ばしながら滑る。トリプルアクセル転倒したが、ルッツ・トウ3-3、後半3回転ループは決まった。
両手でエッジを持ち上げる難しい姿勢のキャメルスピン、曲が速くなるパートで情熱的に演じるステップ。フリーまで進めるか。
イヴァン・パフロフ(ウクライナ) SP:64.18(29)
「Mr.&Mrs.スミス」♪ 黒シャツにストーンが光る。世界ジュニアでは8位。トリプルアクセル、あとちょっとで立てそうだったが、転倒。フリップ・トウ3-3、後半ルッツは問題なし。来季から完全シニアに上がるが、年々安定感が増しているので期待したい。
キーガン・メッシング(カナダ) SP:93.00(3)
「雨に唄えば」♪ ブルーのシャツ、グレーのベスト。笑顔で滑り出し、回転の速いトウ・トウ4-3が決まると会場が沸く。トリプルアクセルも難なく決め、音にぴたりと合わせたバタフライもカッコいい。大きなイーグルでは両手で傘を持ってるポーズ、ステップは雨の中を踊っているように楽しげ 観客も思わず手拍子。
後半3回転ルッツは下りてすぐホップ、スピンの回転の速さにも観客のため息がもれる。ノーミスで終えてガッツポーズしながら一周した。
キス&クライではお約束のカウボーイハット。自己ベスト大幅更新に立ち上がって喜んだ。
<G5>
ミハル・ブレジナ(チェコ) SP:78.01(17)
「鼓童」♪ 黒にストーンで龍を描く。4回転サルコウ、しっかり回ったが傾いて転倒。トリプルアクセルは高さがあった。後半3回転フリップに2回転トウループをつけてリカバリー。
太鼓が奏でるリズムと観客の手拍子で盛り上げていくステップ、このプログラムは彼らしい。
モリス・クヴィエラシヴィリ(ジョージア) SP:67.01(26)
「Feeling Good」マイケル・ブーブレ🎵 グレーのジャケット風。女子のチャンピオンを次々送り出す、エテリ・トゥトベリゼのチームにいる選手。トリプルアクセルは傾いてステップアウト、4回転サルコウ転倒、4回転トウループも転倒でコンビネーションにできず。
長身を伸びやかに使って動くとなかなか見栄えはいいんだけど、今日は“Feeling good"という気分になれなかったか。
マッテオ・リッツォ(イタリア) SP:77.43(18)
「帰れソレントへ」イル・ヴォーロ♪ 白シャツに赤いタイ。地元の期待を一身に集めて登場。世界ジュニアでは銅メダルに輝いている。
高さと余裕のあるトリプルアクセルを決め、フリップはオーバーターンしたので単独に。3回転ルッツに3回転トウループをつけたのは偉い。母国開催の世界選手権で母国の曲で、全身で歌うステップは、観客の心に深く残ったことだろう。高速両足スピンでフィニッシュすると顔を覆って感激。
アレクサンデル・マヨロフ(スウェーデン) SP:82.71(10)
「Bang Bang」♪ 濃紺。回転の速い4回転トウループを下り、トリプルアクセルも膝を柔らかく使って着氷。フリップ・トウ3-3も入った。細かくユニークな動きのステップは、独特な曲の雰囲気をよく表現してエネルギッシュ。終わって手ごたえを感じた顔
ナム・ニュエン(カナダ) SP:67.79(25)
「虹の彼方に」♪ 薄い生地のライトブルー。4回転サルコウを下りたがコンビネーションにはせず。4回転トウループ転倒でコンビネーションなしになってしまった。トリプルアクセルも転倒したのが痛い
ブライアン・オーサー氏の元を離れてから、なかなか安定した演技ができていない感じ。フリー進出が厳しくなった。
<G6>
ダニエル・サモヒン(イスラエル) SP:72.78(20)
「L'Immensita」イル・ヴォーロ♪ 黒シャツ。トウ・トウ4-3をうまく下りていい滑り出しかと思ったら、4回転サルコウ転倒、トリプルアクセルも派手に転倒 しかし引きずらずにがんがん行くステップ、キャメルスピンで少しふらついても気にしない。明るいキャラが一番の長所 転倒のほかにタイムオーバーもあった模様。
ヴィンセント・ジョウ(アメリカ) SP:96.78(3)
「Chasing Cars」♪ グレーのシャツ。今日はどれだけ跳べるか? ルッツ・トウ(両手上げ)4-3、きゅるきゅるっと決まった! 4回転フリップも軸が細い トリプルアクセルも問題なし。まだジャンプの前後にあれこれ入れる余裕はないが、ジャンプそのものはしっかり跳べている。
懸命にストイックに表現していくステップ、若者らしくていい。自己ベストを12点も更新
マックス・アーロン(アメリカ) SP:79.78(15)
「レ・ミゼラブル」♪ グレーの濃淡。少し無精ひげで男くさく。4回転サルコウは着氷で傾いて手をついたので単独に、3回転ルッツに3回転トウループをつけてリカバリー。トリプルアクセルは少しステップアウト。
キャメルスピンがなんか普通と思ったら、レベル2だった。上位を狙うにはやや勿体ない取りこぼし
デニス・ヴァシリエフス(ラトビア) SP:84.25(9)
プッチーニ「Recondita Armonia」♪ 白ブラウスに黒ベスト。優雅な所作、美しい姿勢、伸びやかなスケーティング、4回転こそないが、これぞスケート ルッツ・トウ3-3、トリプルアクセルも余裕を持って、3回転フリップは下りてから余韻を残すような流れ。
アリアと一体となるステップ、膝を曲げたイーグルは雄大に、独特のポジションのシットスピンは高速! 観客の心をつかんだプログラム。
田中刑事 SP:80.17(14)
「Memories」ゲイリー・ムーア♪ 黒。エレキの調べにのって4回転サルコウ、決まった フリップ・トウ3-3は下りてすぐターンの振付、きれいに流れていく。しかしアクセルがダブルに
スピンはしっかりレベルを取り、ステップでの体の動きは良かった。切ないメロディの曲とよく合っていたと思う。
ミーシャ・ジー(ウズベキスタン) SP:86.01(8)
「アヴェ・マリア」♪ ベージュ系、胸に模様。右手を震わせるような振付から、トリプルアクセルをスムーズに。以前は回転不足を取られることもあったが、今は回り過ぎないように抑えているくらい。ルッツ・トウ3-3、3回転フリップと安定している。
足換えで逆回転するキャメルスピン、緩急をつけながら次第に激しさを増すドラマチックなステップ。コンビネーションスピンのポジションの変え方が素早く、ポジション一つ一つで曲を表現している。
終わって天を仰いで手を合わせる。さらに自己ベストを更新した。
素晴らしいプログラムをありがとう、ミーシャ
<G7>
ミハイル・コリヤダ(ロシア) SP:100.08(2)
「ピアノ協奏曲23番」「タンゴ」♪ 濃紺から白。トウ・トウ4-3、3回転ルッツ、トリプルアクセルとどれも鮮やかに決まった。全体に動きが滑らかで、タンゴに合わせるステップも見ていて心地よい。終わって「よし!」という感じで声が出た。
アレクセイ・ビチェンコ(イスラエル) SP:90.99(7)
「Hava Nagila」(ユダヤ民謡)♪ クリーム色のシャツ、薄茶のベスト。トリプルアクセルの高さと幅、見事。4回転トウループ、ルッツ・トウ3-3も決まって絶好調 細かく素早い動きで熱狂に誘うステップ。30歳とは思えない若々しさ
自己ベスト更新の90点台!
ネイサン・チェン(アメリカ) SP:101.94(1)
「Nemesis」♪ 濃紺、左袖だけ白のぴったりした衣装。少しスピードを抑えた感じで慎重に、ルッツ・トウ4-3を着氷(GOEが少しマイナス)。4回転ルッツ、トリプルアクセルときっちりと決める。
切れのいい動きで、きびきびとモダンダンスのようなステップを見せる。今日は力を出しきれた。
ドミトリ・アリエフ(ロシア) SP:82.15(13)
ハチャトゥリアン「仮面舞踏会」♪ 臙脂の軍服風。顔の前に手をかざして、仮面をはずすような仕草から。3-3予定のルッツ・トウを4-3にして成功 ところが4回転トウループが3回転トウループになってしまい、繰り返しで無効0点に トリプルアクセルはややこらえたが下りた。ただ回転不足で…
舞踏会で踊っているような所作が美しいステップはレベル4を獲得したが、痛いミスが出てしまった。
金博洋(Boyang JIN)(中国) SP:95.85(4)
「グリーン・デスティニー」♪ 黒、襟の内側に赤がのぞく。ルッツ・トウ4-3、当たり前のように決める。4回転トウループはフェンスに近づき過ぎて、フリーレッグを曲げてぶつかるのを防いだ。トリプルアクセルも迫力。
スピンでもレベル4を揃え、カンフーのような動きを交えたステップもしっかりこなした。最後まできりっとしたいい表情。
100点に届かなかったのは、4回転トウループの回転不足が響いたようだ。
宇野昌磨 SP:94.26(5)
ヴィヴァルディ「四季」より「冬」♪ 紫とシルバーで羽のように。右足の甲に痛みがあるということで、4回転はトウループ1本にしたが、これはきれいに決めた。3回転サルコウでターンが入ってしまい、トウループは2回転に。イーグルからのトリプルアクセルはしっかり下りてイーグルにつなげた。
ステップも今日は少し抑え気味に見えた。つなぎで一瞬躓きかけるシーンもあり それでも会場の手拍子に後押しされて、スピンまでやりきった。
結果、トップに立ったのはネイサン・チェン、2位にコリヤダと100点越え。3位ジョウ、4位金博洋、宇野が5位。6位メッシングまではフリー最終グループ。
ベテランのビチェンコも90点台にのせたが、それでも7位。おそらく最後の世界選手権になるミーシャ・ジーが8位、ヴァシリエフス9位、オリンピック出場資格がありながら国の連盟の方針で出場できなかったマヨロフが10位。
友野一希11位、田中刑事14位となったが、2人のうちどちらかが10位以内に入り、宇野が3位以内に入れれば、3枠確保できるんだけど・・・
フリーは土曜。3人とも頑張って~~~