フィギュアスケート・世界選手権2018、アイスダンス・フリーダンス(ジャッジスコア)。
<G1>
王詩玥(Shiyue WANG)/柳鑫宇(Xinyu LIU)(中国) SD:61.18(19) FD:89.57(17) 合計:150.75(18)
「Over My Shoulder」「Happy Ending」♪ グレーがかった紫。とても丁寧なツイズルに拍手が起こる。膝に片足立ちでフリーレッグを男性がホールドするリフト、ジャンプして横抱きから首に足をからめるリフト、どれも流れよく決まっていた。
アリサ・アガフォノワ/アルペル・ウチャル(トルコ) SD:60.38(20) FD:88.67(18) 合計:149.05(19)
「Marco Polo」「Cleopatra」「Iron」♪ 黒とゴールドでエジプト風。独特の曲調をユニークな振付で表現。女性を低い位置で支えるステーショナリーリフト、前から担いで背中合わせになるリフト、仰向けになった女性を跨ぐような面白い動作も。
アレクサンドラ・ナザロワ/マクシム・ニキティン(ウクライナ) SD:63.35(16) FD:95.05(15) 合計:158.40(15)
「パイレーツ・オブ・カリビアン」♪ ピンクのドレス、黒ベストに赤いサッシュ。リフトのポジション変化がなんだか凄い 女性をひねるように回したり、股の下をくぐらせたり。どれもストーリー表現の一部になっている。最後のスピニングムーブメントが迫力あった。
顔や手の甲に剣のマークをつけたり、男性もちょっとメイクして映画の人物になりきっている。
カヴィタ・ロレンツ/ヨティ・ポリゾアキス(ドイツ) SD:62.08(17) FD:94.94(16) 合計:157.02(16)
「プライドと偏見」♪ ピンクのドレス、白シャツ。女性を持ち上げてペアのツイストのように1回転させてから、男性が膝を曲げた低い姿勢でホールドするリフトが独特。全体に端正な滑りで、曲によく合っていた。最後のダンスリフトは男性が低い姿勢でその場回転、これもよかった。
シーズンベストに笑顔。
アリソン・リード/サウリウス・アンブルレヴィシウス(リトアニア) SD:61.33(18) FD:86.97(20) 合計:148.30(20)
「天国への階段」レッド・ツェッペリン♪ 黒のスリップドレス、黒の革ジャケ風。全体によくスケートが伸びていた。クリスと兄妹そろって出場のアリソン、フリーも滑れて自己ベスト更新
<G2>
カロラーヌ・スーシス/シェイン・フィーラス(カナダ) SD:64.02(11) FD:95.44(14) 合計:159.46(14)
「I Won't Dance」「Cheek To Cheek」♪ グリーンのドレス、燕尾服。オーソドックスなボールルームダンスを繰り広げる。細かいステップ、クイックステップやフォックストロットを見ているよう。女性の片腕と片足を持って振り回す最後のリフト、わくわく
マリー=ジャド・ローリオ/ロマン・ルギャク(フランス) SD:63.50(14) FD:96.14(13) 合計:159.64(13)
「You Take My Breath Away」クイーン♪ 赤、黒シャツ翻して。女性の腰のところを自分の体から離してホールドしたまま、ローテ―ショナルから低い姿勢のステーショナリーへ移る、得意のリフト。ツイズルもよく合った。最後の上下に振り回すようなリフトが見事。さすがに夫婦だけあって、息がぴったり。
自己ベスト更新にコーチたちも大喜び。
ケイトリン・ハワイエク/ジャン=ルック・ベイカー(アメリカ) SD:63.48(15) FD:101.80(10) 合計:165.28(10)
リスト「愛の夢」♪ ブルーのグラデーション、白シャツ。柔らかな動きからサーキュラーステップ、足を換えるところで膝をつき立ち上がってまた回転するツイズル。膝上に立つリフトでの女性の手の動き、手を取ったりホールドを換えたりするときに、ちょっとした細かい工夫がされている。
ただ2人の世界に、会場も浸っていた。シブタニ兄妹の欠場で与えられたチャンスに、いい演技ができてよかった。
ナタリア・カリゼク/マクシム・スポディリエフ(ポーランド) SD:63.70(13) FD:87.76(19) 合計:151.46(17)
「Young and Beautiful」「Swing Break」「No Dignity」「Maple Leaf Rag」♪ ブルーのドレス、ブルーのジャケット。「グレート・ギャツビー」の曲で、その時代の世界観で踊る。股くぐりからすぐツイズルに入ったり、軽快な動きと同時にきれいなエッジを見せている。
得点表示までに時間がかかり、シーズンベストよりかなり低い得点。ジャッジスコアを見ると、2つのリフトが無効になっている。
ツイズルの後にコレオ・スピニンング・ムーブメントをする予定だったが、女性の足が浮いてしまってローテーショナルリフトと見做され、2つ目のローテーショナルリフトとして無効に。ストレートラインリフトとして申告したリフトは、4つ目なのでコレオ・ダンスリフトと認定され、その後のリフトは余分なリフトとして無効に。
さらに、余分な要素を行ったとして、2点の減点。これは厳しい
オリヴィア・スマート/アドリア・ディアス(スペイン) SD:63.73(12) FD:98.32(12) 合計:162.05(12)
「It's A Man's Man's Man's World」♪ 白ドレス、黒ジャケ。いきなり背中に逆立ち姿勢のリフト。洗練された動きで見ていて心地よい。要素がすごく目立つわけではないが、表現と一体化している証拠かも。
自己ベスト更新に声をあげて喜ぶ。
<G3>
村元哉中/クリス・リード SD:65.65(10) FD:98.73(11) 合計:164.38(11)
「ラスト・エンペラー」「戦場のメリークリスマス」♪ ピンクと緑、グレー。きれいに合わせたツイズルから、しっとりとステップ。スピンを終えて衣装に花が咲き、肩口から腰、また肩口まで持ち上げるステーショナリーリフト。空高く飛び立ちそうなストレートラインリフト。
手拍子に後押しされながらクライマックスに向かうステップ。おんぶのような姿勢からくるんと回転して降りてきてフィニッシュ。
力を出しきってすぐに立ち上がれないクリス。頑張った 自己ベスト更新もトップに立てず、10位以内は難しくなった。でもその日が近いことは信じられる。
シャルレーヌ・ギニャール/マルコ・ファブリ(イタリア) SD:71.15(9) FD:107.29(9) 合計:178.44(9)
「エクソジェネシス交響曲第3部」ミューズ🎵 グレー、紺。地元の大声援の中、乱れのない滑り。横抱きで体から離してホールドするリフトや、肩口をぐるっと一周しながらポジションを変えていくリフト。地元でのシーズンベストに感激。
アレクサンドラ・ステパノワ/イワン・ブキン(ロシア) SD:74.50(7) FD:109.51(7) 合計:184.01(7)
「愛の夢」♪ ピンクベージュ、同色のシャツ。得意のシット姿勢ツイズルで会場が沸く。スピンでは男性のフリーレッグの上に女性のフリーレッグを乗せる姿勢も。英語ボーカルが入る曲で、ハワイエク/ベイカーとはまた違ったタイプの、スピーディーな「愛の夢」を見せた。
パイパー・ギルス/ポール・ポワリエ(カナダ) SD:74.51(6) FD:111.59(6) 合計:186.10(6)
ジェームズ・ボンド・メドレー♪ ライトグリーン、黒タキシード。動きの一つ一つが洒脱でカッコいい。ピストルを構えてツイズル、互い違いになってクリムキンイーグル。女性の片足を男性の肩に載せるリフトは、女性が一度体を倒してからまた自分で起き上がる。最後のリフトは片腕と片足を持って回転始めたが、女性が足を男性の足にからめて回転。すごいホールド!
以前はパイパーがこれでもか!とアピールする所作が多かったが、このプログラムは自然に入り込んでいる。何か、一皮むけた感じ。
ティファニー・ザゴルスキー/ジョナサン・ゲレイロ(ロシア) SD:72.45(8) FD:107.97(8) 合計:180.42(8)
「エクソジェネシス交響曲第3部」ミューズ🎵 グレー。コレオスピン、ステーショナリーリフトから入る構成。前から背中に飛び乗って逆さ姿勢のリフトはアクロバティック。全体としては音楽と一体化していてよかった。
<G4>
アナ・カッペリーニ/ルカ・ラノッテ(イタリア) SD:77.46(4) FD:114.62(3) 合計:192.08(4)
「ライフ・イズ・ビューティフル」♪ クリーム色、同色シャツとサスペンダー。会場の声援が凄い。女性の足を腕に引っ掛けて逆さまにホールドするステーショナリーリフトから。膝の上に立つリフトで女性の姿が彫像のように決まる。
映画のストーリーをちょっとした所作をつないで演じていく。最後まで目が離せない、素晴らしいプログラム。
終わって少し涙ぐむ。自己ベスト更新にさらにこみあげる涙。
マディソン・チョック/エヴァン・ベイツ(アメリカ) SD:75.66(5) FD:111.62(5) 合計:187.28(5)
「イマジン」ジョン・レノン♪ 濃いブルー、薄いブルー。女性が男性の足に足を絡めるステーショナリーリフト、肩にかついだ姿勢から横に抱えるローテ―ショナルリフトなど。地元カップルの直後で入りづらかったかもしれないが、かまわず自分たちの世界を作ってみせた。
ガブリエラ・パパダキス/ギョーム・シゼロン(フランス) SD:83.73(1) FD:123.47(1) 合計:207.20(1)
ベートーヴェン「月光」♪ 紺、ベージュ。誰も真似できないような美しいツイズルから始まって、ただ見とれるばかり 流れの中ですっと要素に入っていくので、ちょっとびっくりする。ステーショナリーリフトからコンビネーションスピンにつながるところなんか、あれ?と思う間もない。
何も言うことない。自己ベスト更新で勝利を確信。
ケイトリン・ウィーヴァー/アンドルー・ポジェ(カナダ) SD:78.31(3) FD:114.04(4) 合計:192.35(3)
「Je Suis Malade」♪ 赤のスリップドレス、グレーのシャツ。定番になった曲で、ミスのない演技。男性キャメルで女性が中間姿勢のスピンは意外と難しそう。女性がレイバック姿勢でエッジをホールド、そのまま持ち上げてのリフト。男性の膝上に立つストレートラインリフトで、力強いポーズ。
終わった瞬間、ケイトリンは「何が起こったの?」という顔。最高の演技ができた。
マディソン・ハベル/ザカリー・ドナヒュー(アメリカ) SD:80.42(2) FD:116.22(2) 合計:196.64(2)
「Across the Sky」「Caught Out in the Rain」♪ グレーがかった紫、黒ジャケ。ぴったり重なるツイズル、男性の前に乗り出す姿勢のリフト。ちょっとした間の取り方が粋で大人の表現。パワーと洗練が両立するプログラム。
結果、優勝は大差をつけてパパダキス/シゼロン、2位ハベル/ドナヒューは初の表彰台、3位ウィーヴァー/ポジェが3年ぶりのメダル。地元イタリアのカッペリーニ/ラノッテは0.27点の僅差で4位。5位チョック/ベイツ、6位ギルス/ポワリエ。7位と8位はステパノワ/ブキン、ザゴルスキー/ゲレイロとロシア勢。9位ギニャール/ファブリは初の1桁順位、10位に初出場のハワイエク/ベイカー。
村元/リードは11位。大健闘
来季枠は、アメリカ・カナダ・イタリアが3枠。フランス・ロシアが2枠。ロシアはまた3枠獲得できなかった。
エキシビションで今シーズンが(だいたい)終わる。楽しもう