TPPに賛成しているのは、民主党政権、財界、官界、マスコミということになるが、そこで共通しているのは、「日本もアメリカのような国にならなくては、世界に後れを取る」というグローバリズムである。だからこそ、菅直人前首相のなどは「平成の開国」をぶちあげたのだろう。しかし、そのアメリカで今、経済格差に抗議するデモが日増しに激しくなっている。深刻なほころびが出てきているのに、どうしてそれを問題にしないのだろう。共和党のブッシュ大統領の時代に、ネオコンと呼ばれたグループが主導権を握っていた。思想的指導者の一人に、アービン・クリストルがいた。彼は元トロッキストで、「世界革命の夢をもう一度」ということで、グローバリズムに転向したのだった。アメリカの大統領に民主党のオバマが就任したことで、ネオコンが一掃されたと思っていたら、そうではなかったようだ。元世界革命論者とリベラル派は、理想主義ということでは共通しており、あらゆる規制を排除した世界を夢見るのも、世界革命を夢見るのも、たいした差はない。いつの世も、下手な理想主義を説かれるほど迷惑なことはない。かつて世界中を徘徊していた共産主義も、今世界中に混乱をもたらしているグローバリズムも、どちらも教条的であり、人騒がせなイデオロギーなのである。
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