政治が期待を裏切るようなことがあれば、それを打開するには究極的な手段に頼らざるを得ない。非常事態になれば今の日本では手の打ちようがないのである。北一輝の『日本改造法案大綱』は過去の書物ではないのである。三島由紀夫が待望したのも、北の理論を拠り所としたのである▼「国民の天皇」において北は「天皇ハ全日本国民ト共ニ国家改造ノ根基ヲ定メンガタメニ天皇大権ノ発動ニヨリテ三年間憲法ヲ停止シ両院ヲ解散シ全国ニ戒厳令ヲ布ク」と書いている。危機的状況下にあっては、敏速な対応が迫られるのである。北はその注でも「権力ガ非常ノ場合有害ナル言論マタハ投票ヲ無視シ得ルハ論ナシ。イカナル憲法ヲモ議会ヲモ絶対視スルハ英米ノ教権的『デモクラシー』ノ直訳ナリ」と述べるとともに、ロシア革命でレーニンが機関銃で妨害勢力を排除したことに触れ「『クーデター』ヲ保守的権力者ノ所為ト考ウルハハナハダシキ俗見ナリ」と喝破したのである▼現在の憲法下で日本国内が内乱の危機に瀕するようなことになれば、超法規的な行動を選択する以外にないのである。自衛隊はアメリカ軍に組み込まれてしまっており、国軍としての体裁をなしてはない。それでもなお日本を救うのは自衛隊だけなのである。このままでは日本の国家は解体され、国民は流浪の民となりかねない。三島由紀夫が死んで見せたのは、まさしく今の世を予言していたのである。あくまでもそれは我慢を重ねた上での決起でなければならないが、その覚悟が自衛隊にあるかどうかで、日本の将来は決定するのである。北一輝の書はまだ色褪せてはいないのだから。
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