日本人の家族観を否定するような議論が巻き起こっている。結婚そのものに疑問を抱く選択的夫婦別姓などは、まさしくその典型である。マスコミや野党が躍起になって煽っているが、そうした空気に押し流されることは、日本の国柄を根本から突き崩すことなのである▼中村雄二郎は日本人の性格を「感情的自然主義」と評した。その観点から明治以降における我が国の「家族制度」と「天皇制」を問題にしたのだ。とくに中村は『哲学入門』で、憲法学者穂積八束の明治憲法の解釈に言及した。穂積の「祖先教ヲ以テ社会ノ秩序ヲ正フシ祖先ヲ崇拝スルノ教ハ即チ民族ノ宗家タル皇室ヲ奉戴シテ一国一社会ヲ団結スルト云フノ歴史ニ稀ナル法則ヲ数千年間ノ下ニ維持シ得タ」(「祖先教は公法ノ源ナリ」)といった考えは、「感情的自然主義」にほかならないからだ▼文明国でありながら、祖先の霊を崇拝することを我が国の社会構成の基礎にすることは、中村からすれば「『制度』が『自然』に還元され、『法律』が『道徳』に還元されていること、あるいはおのおのが融即敵に、つまりあいまいにまざり合ったものとしてとらえられている」(『哲学入門』)ことであった▼中村は哲学者として、日本の特殊性を取り上げているのだが、西洋的な意味での神が存在しない風土にあっては、自らを律するものが「感情的自然主義」のもとづく「祖先教」なのである。それに背を向ければ、我が国は大混乱に陥るのは必至である。過去から受け継がれてきた価値観を破壊する恐ろしさを、私たちは今こそ立ち止まって考えるときなのである。
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例えば、18世紀の無機化学工業の発達から、さらに有機化学工業の発達へ。ベッセマー法などによる製鉄業の発展へ。そして、大規模な工場で大規模な機械を高速運転する必要から、機械の動力は電力になった。戦後の技術革新の波は、原子力、オートメーション、高分子化学工業の発展をもたらし、そして現在のリーディング産業は、情報通信産業である。
イノベーションに立ち遅れれば、国家は衰退・没落し、企業は倒産・破産し、個人は失業・転落する。かかる競争世界、競争社会を勝ち抜き、生き延びるために、国家は公教育、企業は社内教育、個人は出世競争(受験勉強)にリソースを注いできた。
そして、今日のテクノクラシー的な産業社会は、高等教育と知識階級を大量に必要とする。知識階級とは、テクノロジスト、エンジニア、経営管理者、官僚、学者などである。但し、今日の「テクノクラシー的な産業社会における人文系知識人の社会的立場は、技術系知識人のそれに比べれば、より周辺的で疎外されたものになっている」(A・W・グールドナー)。さらにネット空間の発達が、これまで彼らだけの特殊な既得権益だった「言論空間」を狭めている。
人文系知識人は、この「言論空間」の狭まりにいらだっている。それが、ネット民に対する「反知性主義」の大合唱であり、菅政権による「日本学術会議への任命拒否」という彼らの“ギルド的特権”への介入に対する、「知識階級への宣戦布告だ」(内田 樹)という大仰な反応に現れたのである。
世も末だ!
菅総理も、かつて、2001年に自民党議員有志が選択的別姓の推進を党執行部に求めた際、菅総理も名を連ねていたのである。
なんの事はない。
菅総理は保守の仮面を被った左翼だったのだ!
【 朝日新聞デジタル 首相、選択的夫婦別姓に「政治家として責任がある」
小林豪 2020年11月6日 21時33分
https://www.asahi.com/articles/ASNC66J6QNC6UTFK01F.html
菅義偉首相は6日の参院予算委員会で、かつて選択的夫婦別姓を推進する立場で議員活動をしていたことを認めたうえで、「私は政治家としてそうしたことを申し上げてきたことには責任がある」と述べた。ただ、慎重に検討していく考えも強調した。
共産党の小池晃氏は予算委で、2001年に自民党議員有志が選択的夫婦別姓の推進を党執行部に求めた際、首相や上川陽子法相も名を連ねていたと指摘。首相は06年、読売新聞に「不便さや苦痛を感じている人がいる以上、解決を考えるのは政治の責任だ」とのコメントを寄せていた。
選択的夫婦別姓の導入を主張する小池氏が「政治の責任を言行一致で果たすべきだ」と迫ると、首相は「家族のあり方に深くかかわり、国民の間でさまざまな意見がある。国民の意見を幅広く聞き、国会の動向を注視しながら対応を検討したい」と答弁した。そのうえで、自らの過去の言動をめぐり「責任がある」と締めくくり、委員会室は野党議員らの拍手にわいた。
小池氏は質疑後、記者会見で「(首相は)ああいうふうに言った以上は、前に進めてもらわないといけない。党派を超えて取り組んでいきたい」と語った。(小林豪)
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