神様がくれた休日 (ホッとしたい時間)


神様がくれた素晴らしい人生(yottin blog)

シルティジョンの放浪記(1)

2016年07月24日 07時32分18秒 | フーテンの寅ねこ わんにゃん

中越地震.中越沖地震で被害を被ったのは人間だけでなかった

多くの犬や猫も家や飼い主を失った

パニックになって帰る家を見失ったり、交通事故に遭ったり

そんな風になって放浪生活になってしまった犬が保護された

保護とは言え一時預かりの施設の狭い檻に入れられて飼い主が探しに来るか

新しい飼い主に引き取られるか、それがだめだと待っているのは「殺処分」という」死刑

 

ある迷子の中型犬シぇルティ(シェットランドシープドッグ)がそこに保護された

シェットランドシープドッグの原形は英国スコットランドの牧羊犬である

知らない人はコリー犬と間違える、頭部は上半身はまさにコリーそっくりだが

中型犬で足と胴の比率は足長のコリーより短足だ

 

佐伯亮子が2匹目の犬をほしいと言って、この施設を訪れたのは4月の末

亮子は10年前に40代の夫を亡くして以来、ペットのパグ犬が唯一の慰めだった

その犬も年取ってきたので次の犬に目を向けたのだった

友達の工藤夏子も同伴した

そして、このシルティを資格審査の上、引き取ることが決まった

帰りの車の中で、ずっと夏子がこの犬を抱いてきた

年齢はすでに5~7歳くらいになっていた、地震を体験したのせいか臆病だった

 

1ヶ月ほど経って亮子が訪ねて来て、困った顔で夏子に言った

今までいた犬と相性が悪くて、とても2匹同時に飼うことが出来なくなったので

もらってもらえないかとというのだ

夏子の家には犬はいなかったし、夫婦共に犬を飼った経験があり犬好きだ

夏子は簡単に承諾して家に連れてきた「ジョン」と名付けた

英国犬には相応しい名前だ

とにかく何かに怯えたような表情、大人しくて吠えることもなく飼いやすさはあった

しかし3日後、油断していた

玄関のドアを開けた途端、今までの行動からは想像できない素早さで

「さっと」外に逃げ出して、行方がわからなくなった

エサと寝床を玄関前に置いて、帰って来ると信じて待った

 

夜中にエサを食べる物音がして(帰ってきた)と喜んで玄関先を窓から見た

えさを食べていたのは、イタチか何かの黄金色の中型生物だった

                                      つづく