あした浜辺をさまよえば 昔の人をぞおもわるる・・・・・この歌は母の十八番の一つで、よく歌いました。そして、第一回の人麻呂の楽浪の志賀の大宮を思い起こさせ、琵琶湖周航歌を歌う若者へとつながっていきます。
朝浜辺をさまよえば 昔のことをぞ しのばるる 風の音よ雲の様よ 寄する波も貝の色も 夕べ浜辺をもとおれば 昔の人をぞ しのばるる よする波よ返す波よ 月の色も星の影も
三番の歌詞もあるらしいけれど、私の記憶はここまで、音を伸ばしながら半音上げたり下げたり・・・・・そこにいろいろな連想が浮かぶ美しいウタです。
あしたはまべを さまよえば むかしのことをぞ しのばるる かぜのおとよくものさまよ よするなみもかいのいろも ゆうべはまべを もとおれば むかしのひとをぞ しのばるる よするなみよかえすなみよ つきのいろもほしのかげも
昔のこと昔の人をしのぶことによって、私達は『昔を今に』生きることができると思います。これが和歌の世界で言う本歌取り・・・・・私達は重複した時間を生きることができるというわけです。