春の季語である「亀鳴く」であるが、実際は声帯が無く鳴かないそうである。では、何故季語になったかといえば、鎌倉時代の歌人・藤原為家の和歌
河越しのをちの田中の夕闇に何ぞと聞けば亀ぞ鳴くなる
が元となり、その後鳴かない亀が鳴くことになったようである。尚、鳴かない動物を鳴かせているのに、「蚯蚓鳴く(秋)」がある。
さて、この句の「人気」は「にんき」とも「ひとけ」とも読めるが、にんきもなくひとけもなかった、と両方に掛けるのが良いのではないだろうか。作者が、そんな侘しい湯の町に、何故亀を鳴かせたのか・・・・・