陽炎や聴けば聞こゆる風の音 一煌
雨あがり波間の上に春の虹
津波訓練警報宙返りする初燕 薪
フライパン捨てに出ようか朧の夜
囀りを耳もとで聞く目覚かな 遊石
木蓮のつぼみに誰も眼もくれん
春風と三分あるけばスーパーなの 章子
花冷やもの思ふ日の文机
大空に包まれて山笑いおり 炎火
土中より一斉に春福島や
静けさの戻りし町や花は葉に 稱子
白蓮の散りゆく時のスローモーション
柏餅求め行くこの坂が好き 洋子
誰か来て筍菩薩掘りてほし
ガレージのシャッター潜る初燕 歩智
寄りそうで寄らぬ流れの花筏
初燕会議の窓へ白き腹 豊春
花五ミリ白青確とあさしらげ
蜘蛛の子も隠れる春雷軒を借り 余白
桜とは咲いて散っても無窮かな
あやふやなきのめとこのめ木の芽和 雲水
朧夜に探すおもろい朧の句