梅雨空や拡声器から尋ね人 炎火
走り梅雨隈なく箱根八里かな
黒砂に黒い穴ぼこ潮干狩 薪
忍術が書いてあります落し文
主もどる庭の金魚が騒ぎ出す 美部
潮干狩り瓦礫のシリアに続く瑠璃
潮干狩おむつの中も外も濡れ 海人
夏きざすテニスコートに白の映え
並び見しそれだけの事遠花火 洋子
来ぬ人を待つ愉しみの鯉幟
初夏や若きたなこに子の生まれ 稱子
囀りや一期一会の佳き宴
軽鴨の向う新居はビオトープ 歩智
殿様蛙羽織袴で登城
ツバメらは唾液と泥で巣をつくる 余白
琵琶の実が朝日に映える馬込かな
さえずりや仏細目に笑みたまふ 貞次
一爆の音のたしかな夏立てり
海霧ふかき船さらはれし如く消ゆ 佳津
発刊の俳句手にする五月かな
薫風や術後給ふも縁かな 沙会
世界中離脱騒ぎや雨蛙
空と海藍色の帯夏近し 鞠
夏近し空を独占鳶一羽
潔ぎよし切子ガラスに心太 さくら
梅青しやたらに猫の出るテレビ
老鶯や箱根神社の杜の中 イヨ
富士を背に芦の湖静か初夏の風
やりとげた湖畔マラソン五月晴れ 貴美
へとへとにテニスして来しサングラス 雲水
山国に生れし男の潮干狩
キンシバイ(金糸梅)