一韶の俳句ブログ

俳句を詠うのは自然・私・家族・夢や希望・社会など。読む時はどんな解釈が浮かぶか読み手の経験や生活によって様々

1198   廃校に遺るオルガン啄木忌   温子

2014年04月13日 | 

4月13日は、歌人石川啄木の忌日。東京小石川久堅町にて肺結核のため死去。妻、父、友人の若山牧水に看取られている。享年26才。

死後発表された啄木の日記には、浅草に通い娼妓と遊んだ件が赤裸々に描写されているという。金田一春彦によると「彼の借金のほとんどはそうした遊興に費やされ、それが為の貧困だった」そうである。当時の春彦は、その様子をみて幼心に「石川啄木は石川五右衛門の子孫ではないか」と疑ったことがあったという。

つまり、泥沼から美しい蓮の花が咲くように、「借金魔」「金にだらしない男」「社会的に無能力な男」と言われた啄木が「珠玉の短歌」を作ったのである。24歳の時、第一歌集『一握の砂』を出版。死後、第二歌集『悲しき玩具』出版。

尚、啄木の短歌に越谷逹之助が作曲した「初恋」をお聞きください。

〇砂山の 砂に腹這い 初恋の いたみを遠く おもひ出づる日

 

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1197    うららかや呆けず元気にいじめあう   靖

2014年04月11日 | 

  いつも楽しくブログを読ませていただいてます。同年代の皆さん(勝手に思ってます)の句は、共有する感性があって心地よいものです。と言っても、句を読んで「あ!そうか」と気がつく私は、将棋でたとえれば何手も遅れてますが。

  今回メールしましたのは、我が家のパソコンが老体で怪しくなってまして、年末から句会報が来なかったものですから、どうしたものかと心配してましたところ、3月号が到着しましたので安心した次第でして。

今年もまた楽しませていただきます。こちらは2人とも元気でいじめあっております。

  

ゼンマイ(薇)

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1196   桃の木を植えて偲べり犬供養

2014年04月10日 | 

 ある日突然やって来て15年。死期を悟ったのか、ある日忽然といなくなってしまった、我が家の犬のモモ。

 亡くなったら、庭の片隅に埋葬して、桃の木を植えようと思っていたが、いくら探してもみつからないので、そのままにしておいた。

 しかし、いくらなんでもそれではモモが可哀想だと思い、やはり計画通り桃の木を買ってきて、遺体のないまま植えた。これが、けじめと言うものだろう。あれから早、半年経っていた。

オオイヌフグリ

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1195   流れ藻を置きゆく春の忘れ潮   喜久

2014年04月09日 | 

 海には満ち潮と引き潮がある。満ち潮の時に磯を覆っていた海水が、引き潮になると引いてゆく。すっかり引き潮になった時、磯の窪みに水溜りのように海水が残っている。それが忘れ潮である。潮の忘れもの、という意味であろう。
 魚や蟹、海老などが取り残されたりする。海藻、木片、ヤシの実などは良いが、最近は缶やビン、ペットボトルなども・・・・・困った時代になったものである

「ペットボトルを置きゆく春の忘れ潮」が、時代をとらえた悲しい現実なのである。

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1194   お迎えは今か今かと花の冷え

2014年04月08日 | 

 桜の木が沢山植えてあるから、学校が大嫌いだった。「貴様と俺とは」で始まる「同期の桜」という戦争礼賛の軍歌も大嫌いだ。「見事散りましょ国の為」とか、「桜=靖国神社」というイメージが私には有る。とどめを刺されたのは、妻が亡くなる朝、桜の開花宣言があった。(あるブログより)

 つまり、世の中には、桜が咲くと嬉しくない人もいる。桜を愛でるのは結構だが、花見でどんちゃん騒ぎをするのは、遠慮しておこう。

丹那断層

昭和5年の北伊豆地震でおよそ2メートルほど

溝が矢印の方向にずれた

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1193   湯の町の人気のなさに亀鳴けり   遊石

2014年04月07日 | 

 春の季語である「亀鳴く」であるが、実際は声帯が無く鳴かないそうである。では、何故季語になったかといえば、鎌倉時代の歌人・藤原為家の和歌

河越しのをちの田中の夕闇に何ぞと聞けば亀ぞ鳴くなる  

が元となり、その後鳴かない亀が鳴くことになったようである。尚、鳴かない動物を鳴かせているのに、「蚯蚓鳴く(秋)」がある。

 さて、この句の「人気」は「にんき」とも「ひとけ」とも読めるが、にんきもなくひとけもなかった、と両方に掛けるのが良いのではないだろうか。作者が、そんな侘しい湯の町に、何故亀を鳴かせたのか・・・・・

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1192 お花見と料理とコンサート

2014年04月06日 | 催しのお知らせ

旬菜料理 壺中庵

お花見と料理とコンサート

 

日時  4月10日(木)、11日(金) 12時~

会費 5,000円(料理&コンサート)

フルート 佐藤るみ子、ピアノ 中村幸子、譲原純子

演目 さくらさくら、荒城の月、愛の賛歌 他

 

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1191   春嵐フランケンシュタインの影   炎火

2014年04月06日 | 

 1818年、イギリス人女性メアリー・シェリーは、世界で初めてとされるSF小説「フランケンシュタイン」を出版する。

 スイスの名家出身の青年フランケンシュタイン博士は、生命の謎を解き明かし自在に操ろうという野心にとりつかれる。そして、狂気すらはらんだ研究の末、『理想の人間』の設計図を完成させる。そして自ら墓を暴き、人間の死体を手に入れ、それをつなぎ合わせていたが、ある嵐の夜に突然雷が落ちて、実験制作中の死体に、予想外の命が吹き込まれてしまう。

 さて、小説では「怪物が生まれたのは11月の夜」とあるから、季語は「冬の雷」「冬嵐」「虎落笛」など冬の季語が相応しいかもしれない。

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1190   孫よりも曽孫可愛いや四月馬鹿   正栄

2014年04月04日 | 

 長生きすると少しは良いことがあるだろうが、曾孫(ひまご)ができるなんていうのもその一つかもしれない。どう見たって、子育てや教育の責任は、全くと言って良いほどなさそうだからだ。玄孫(やしゃご)となったら、一体どうなるのだろう。更に可愛さが増すのだろうか。

 それにしても、私は玄孫、曾孫どころか孫の顔さえ当分先の気配である。但し、そのお陰で爺臭く老け込まないで済んでいるのかもしれない。(勿論、気持ちの問題のことですがね・・・・)

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1189    第211回  3月 岩戸句会  

2014年04月02日 | 岩戸句会

緊急の連絡先は春の空        洋子

すみれ咲くきらりはらりと雨乗せて

 

春夕日まだ歩けますありがとう    遊石

山笑う春夏秋冬生ビール

 

隠れ宿全室灯り山笑う        豊春  

水温む綿飴の雲象となる

 

陽炎や子ら笑いあい縺れあい     薪

フランスパン夫が焦がしむ西行忌

 

引く汐にきらきら光るさくら貝    一煌

ひとひらの花に酔ひたる酒一合

 

春嵐フランケンシュタインの影    炎火

献立のいの一番にふきのとう

 

月は満ち花いまだなし西行忌     歩智

乾杯は友ありてこそ花だより

 

揺れうごく今日の心に春の風     章子

入日いま山近づけて桜かな

 

白蝶が潮見坂道上り行く       余白

白梅と白木蓮の競い合い

 

触れもして芳しきかな御所の梅    稱子

春荒れの烟るがごとし箱根山

 

桃の木を植えて偲べり犬供養     雲水

帰したくなき友帰り西行忌

 

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1188   隠れ宿全室灯り山笑う   豊春

2014年04月01日 | 

 登山の帰りに偶然見つけた山の中の湯治場のような、静かな知る人ぞ知る温泉宿。ガイドブックにもインターネットにも載っていない小さな宿。昔を思い出して女房を連れて久しぶりに行ってみた。

 ところが、鄙びた隠れ宿のはずが、今ではおしゃれな温泉宿に変貌。山深い静けさと掛け流しの露天風呂はそのままであったが・・・・桜も満開で、宿も満館。確かに作者は、山に笑われていると感じたことだろう。「山笑う」は、以下の、臥遊録から来ているそうである。

春山淡冶(たんや)にして 笑うが如く→山笑う

夏山蒼翠(そうすい)として 滴たるが如し→山滴る

秋山明浄(めいじょう)にして 粧うが如く→山装う

冬山惨淡(さんたん)として 睡るが如し→山眠る

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