一韶の俳句ブログ

俳句を詠うのは自然・私・家族・夢や希望・社会など。読む時はどんな解釈が浮かぶか読み手の経験や生活によって様々

1367   木枯や目を赤くして竈犬

2014年11月12日 | 

(こがらしや めをあかくして かまどいぬ)

 「竈猫かまどねこ」という冬の季語があるが、「竈犬」という季語はない。しかし、我が家の犬「デン」は、毎日薪ストーブに張り付き、目が充血するほどである。つまり、犬も猫同様、暖かいところが大好きなのだ。

1911年にできたという「雪」という唱歌の2番

雪やこんこ あられやこんこ

降っても降っても まだ降りやまぬ

犬は喜び 庭かけまわり

猫はこたつで丸くなる

という歌詞に、私たちは100年以上も騙されてきたのである。

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1366   小春日やのんびり進む飛行船

2014年11月10日 | 

 先日、テニスコートから見上げた飛行船は宣伝目的らしく、せいぜい時速4,5キロでゆっくりと進んでいた。かすかにブーンというヘリコプターの音を小さくしたような、間の抜けたエンジン音が聞こえた。

 調べてみると、最新型のツェッペリン型飛行船は、全長75mもあって200馬力×3基のエンジンで最高時速125kmも出るという。ジェット機に地位を奪われて久しいが、一度乗ってみたいものである。

クロガネモチ(黒鉄黐)

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1365   菊花展父の涙を見てしまう    れい子

2014年11月07日 | 

 菊は、春の桜に対して秋を象徴する花であり、鎌倉時代に後鳥羽上皇が、天皇家の家紋としたそうである。

  菊花展と言えば、大河ドラマの武将に見立てた菊人形を思い出すが、市長賞など様々な賞があって、出来栄えを競い合う。

 さてこの句、お父さんはどんな男の涙を見せたのだろうか。初めて賞をもらった、初めて最高賞をもらった、くらいが平凡だがありそうな話。勿論、亡き人を思い出しての涙かもしれないし、昔のことを思い出したのかもしれない。

 ところで、今日は立冬。暦の上では今日から冬だが、伊豆では朝でも気温が10度以上あって、とても冬とは言えない。

 

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1364   吾子のごと愛で育みて菊の晴   つとむ

2014年11月06日 | 

(あこのごと めではぐくみて きくのはれ)

 昨日、小田原城址公園の菊花展を見てきました。菊には、大菊、厚物、管物、古典菊(嵯峨菊、伊勢菊、江戸菊、美濃菊、丁字菊)スプレー菊などがあって、それはそれは見事でした。

各所の小屋の柱に、俳句の短冊が掛けてあったので、9句ほど書き留めてきました。 

菊花展父の涙を見てしまう    れい子

やぁやほっほ今年の臙脂小菊かな 雄二

菊花展人は匂いを持ち帰る    昌夫

旧姓は菊川来世お菊蟲      和子

かたわらに母の歩める菊日和   照子

咲き誇る黄菊白菊だるま菊    和彦

城を背に歴女となりし野菊かな  典代

高々と城をかかげて菊花展    忠山 

〇臙脂(えんじ)は、中国の紅花の産地である「燕支山」にちなみ名付けられ、本来は紅花染めの色。

〇お菊蟲は、皿屋敷伝説などで有名なお菊が蟲になったとされる妖怪。

〇歴女(れきじょ)は、歴史好きあるいは歴史通の女性を指す造語 

尚、小田原城菊花展は、11月16日まで開催されています。

 

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1363   黄落や楔打ち込む年輪に

2014年11月05日 | 

(こうらくや くさびうちこむ ねんりんに)

斧での薪割りは、10年ほどやっただろうか。例えば、長さ50センチ、直径60センチの薪で更に節でもあると、とても斧だけでは割り切れない。楔と大型ハンマーが必要になる。楔も一本では抜けなくなった時に困るので、もう一本必要。

 そんな重労働から解放してくれたのが、薪割機。斧割り一日が、1時間足らずでで終わってしまう。

したがって今は   黄落や斧も楔も錆びついて

クロガネモチ(黒鉄黐)

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1362   瓜確と揉んで十九の長き膝   白泉

2014年11月04日 | 

(うりしかと もんで19の ながきひざ)

  友人が「倉庫を整理していたら、昭和35年9月9日の朝日新聞が出てきて、朝日俳壇が載っていたので、持ってきました」とのこと。なんと54年前の新聞であった。

 選者は、石田波郷、中村草田男、星野立子の3氏。その中の波郷・草田男両氏の「第一句」に選ばれたのが、掲句。新聞をスキャンしたので、解説をお読みください。

但し、不思議に思ったのは、「長き膝」は変だ、ということ。膝(ひざ)とは、腿(もも)と脛(すね)を繋ぐ関節であって、長い短いとは表現できないと思う。

来客中の映画監督T氏夫妻は、「膝から下ではないか」と好意的であった。私は「だったら、脛にすべきではないか」と思う。

「足、脚、腿、膝、脛」などから、何故わざわざ膝を選んだか。選者両氏が何故疑問を持たなかったのか。又一つ、疑問が増えた。

 

 

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1361   秋茄子を忘れて帰るお嫁さん

2014年11月03日 | 

  8月にたった畳一枚ほどの畑に苗を植えたが、ようやくキュウリ(胡瓜)とトマトは終わって、ナス(茄子)がまだ生き残っている。今日は4個採れたので、仕事を手伝ってくれた女性にあげた。ところが、彼女が帰った後に気付いたのだが、茄子が置き去りになっていた。

 ところで諺の「秋茄子は嫁に食わすな」の意味は、①秋茄子は美味しいので、姑がいじわるで嫁に喰わさない、と思っている人が多いらしいが、実際は②秋茄子を沢山食べると体が冷えて、特に妊娠中の女性に良くないから食べさせるなという、嫁へのいたわりの諺なのだそうです。だから彼女は、この諺を守ろうとしたのだろうか。

ヨメナ(嫁菜)

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1360   ひらひらと大仏打てる落葉かな   鞠

2014年11月02日 | 

 落葉(らくよう)は、既に中秋には始まっている。台風など強風が吹けば相当の落葉(おちば)が吹き溜まる。だから、この句が10月の句会に出されても、誰も違和感は感じない。強風に煽られて舞い上がった落葉が、鎌倉の大仏を打つのは、秋の日の明るい昼が相応しい。

けれども、枯れ、枯る、枯葉、落葉などは、冬の季語である。

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1359   虫時雨隣の夕餉ライスカレー  歩智

2014年11月01日 | 

(むししぐれ となりのゆうげ ライスカレー)

 文明開化と共にやって来たカレー。ご飯にかけて「ライスカレー」として日本に登場したようだが、次第にカレーライスと呼ばれるようになった。又、

〇ライスカレー …… 御飯とカレールーが同じ皿に盛られているカレー

〇カレーライス …… 御飯とカレールーが別々になっているカレー

と、区別することもある、という。

 最近では、ライスカレーと呼ばれることはほとんどないというから、この句、作者が昔の呼び方にこだわって、意識的に作ったことは間違いないだろう。

リュウキュウアサガオ(琉球朝顔)

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