♬ 歌・唄・詩の日々

いい歌、いい歌手と出会いたい・・・
そんな気持ちを込めて綴る気ままな雑記帳です

「室津のあなた」での感情表現

2005年10月10日 | 演歌・歌謡曲
竹川美子の繊細な歌唱力は、『江釣子のおんな』で十分に立証されているのだが、今度の新曲『室津のあなた』でもそれはもちろん遺憾なく発揮されている。
『江釣子のおんな』での「待つ女」から「遠く想いを馳せる女」へと、感情的にはニュアンスの違いがある。でも繊細な感情表現はさすがで、他の歌手の追随を許さないと言っても過言ではない。

1番の歌詞を順にたどってみれば、「瀬戸の入り江を 陽が染める頃」のところは、美しい港の情景が浮かぶようにすっきりと歌い上げ、「あなたは小舟で 港へ帰るのね」は、優しく情景をなつかしむような感じである。そして「風よ運んでよ 片恋千里」では、風に願いを託す切なさがぐっと出てきて、次の「はやく はやく・・・ はやく行きたい あなたの側に」で感情がほとばしり出る。ここでは二つ目の「はやく・・・」の部分の表現が、竹川美子の真骨頂だと思う。ここにこの曲の切なさの感情が集約されているかの感がある。そしてもう一つの積極的な感情が、「あなたの側に」から「海峡ひと飛び」のきりっとした力強さで表現されていて、「わたし逢いにゆく」は自分に言い聞かせている感じ。ラストの「室津のあなた」は、ていねいに呼びかけるように歌っている。
低音はしっとりと、高音はまさに鈴の音のように心地よく響く。天性の美声と歌唱力である。
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