キマグレ競馬・備忘録

競馬、MLB、スポーツ観戦、趣味など気になる事を書いています。

本「サラブレッド・ビジネス―ラムタラと日本競馬」

2012年06月10日 | Book

90年代末の競馬業界事情について。 
英国ダービー、欧州競馬の最高峰である凱旋門賞など、わずか半年で3つのG1を制覇した名馬ラムタラが種牡馬として導入された頃の競馬事情を紹介している。著者はJRAの編集者からスポーツのフリーライターで、競馬の歴史や競争馬ビジネスの裏事情に詳しい。この本では、欧州での競馬の成立から競争馬の取引の歴史、日本競馬の歴史と今後についても併せて解説している。
競馬には、庶民が親しんでいる賭けの対象としての競馬のほかに、出走させる側にも名誉と賞金獲得の対象としての競馬がある。生産者にとっては、競争能力の高い馬を獲得するために、良い種馬を導入して繁殖させることが最も効率的な方法であり、その取引がサラブレッドビジネスと呼ばれている。この本は90年代末に書かれたこともあって、当時のビジネス状況を解説しているが、今となってはやや内容が古い。当時、タイトルにあるラムタラが購入されたばかりで、今後への期待の言葉も書かれている。しかし結局、3000万ドルの高額で購入したにもかかわらず、子孫は期待したほどの成績も残せず二束三文で買い戻されたようだ。サラブレッドビジネスも賭けに近いものがあって、良い種馬から優秀な子孫が生まれるとは限らない。その難しさは、この本が出た後の現実が示しているように思う。


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