週末は、久し振りに「男はつらいよ」の新作を見てきました。テレビではよく見て
いましたが、映画館で見るのは約30年ぶりです。
大画面で見るのは、やっぱり気持ちいい。ストーリーは、寅さんの甥・満男のその後
を描いたもので、伯父・寅次郎と家族との過去の名場面がフラッシュバックで
挿入されていて、とても良かった。悩める満男と元彼女・泉の話は、名場面を繋ぐ
サブストーリ-のような感じでしたが、寅さんを見たくて、この映画を見に行った
わけで、ストーリーはこの内容で充分です。
シリーズに出演した懐かしい俳優達、現在の芸人(出川哲郎も20秒ほど出ていた)
も出演していました。最後の方で、マドンナ役で出た多くの女優達と寅さんの姿が
次々に現れると、懐かしくなって何故だかウルッときてしまいました。
笑いと涙、これがこのシリーズの良さだと思います。
また昭和の時代の人々、風景を知るための記録映画としての価値もあると思いました。
それにしても寅さんファミリーの俳優たちの演技は素晴らしい。
とても自然で、信頼し合っていて、普通の日常生活をそのまま映画にしたようです。
さくらと博は新作でも変わらないのですが、満男・吉岡と泉・ゴクミは、台詞を
言わされている感じがあって、ベテランに比べて多少演技がイマイチだけど、
まあ許せます。
因みに、自分は学生時代に松竹の映画館で3年ほどバイトをしていました。
男はつらいよを見たのは、その時が初めてでした。どう見てもオヤジ向けの映画で、
何が面白いのかと思っていましたが、一度見てからは病みつきになり、同じ映画を
毎日のように見て(バイトなのでタダで見られた)、この映画に嵌りました。
半年に一回、お盆と正月に公開されるこの映画は、地方の小さな映画館にとっては、
唯一の稼ぎ頭で、上映日程の事前連絡が来ると、社員も今回のロケ地がどこか、
マドンナが誰かを気にしていました。美人のマドンナだと、お客さんの入りも
違っていたようです。自分がバイトをしていた頃は、ちょうど30作目辺りで
既に「マンネリ化」と言われていて、美人マドンナも出尽くし感があり、
どちらかと言えば個性派女優がよく出ていた記憶があります。
大物演歌歌手のMHがマドンナだった時の、社員のガッカリ感は相当で、
もう寅さんも終わりだね、なんて言っていました。その後もシリーズは続きましたが、
渥美清の健康不安で、年1回に縮小され、関西の震災場面を最後に、渥美清が
ガンで亡くなって終了しました。
学生の頃は、寅さんのように全国を巡る人生に憧れましたが、今は時代も違うし、
彼のような人生を送るのは難しいかもしれません。
今は、老後不安、お金が全てみたいな風潮がありますが、この映画ではお金に困る
話はあっても、金の話はほとんど出てこない。それもこのシリーズの良さだと
思います。明るく楽しく皆が助け合えば何とかなる。そういう時代の話です。
おそらく次回作は無いと思いますが、もしあるとしたら満男が旅に出る話かな。
寅さんと似た人生を歩む話も面白そうですが、シャイな彼には難しいかも。