キマグレ競馬・備忘録

競馬、MLB、スポーツ観戦、趣味など気になる事を書いています。

本「ある行旅死亡人の物語」

2024年12月19日 | Book
行旅死亡人とは、旅行などで行き倒れになり身元不明で死亡した人を指す法律用語。 こういう言葉があるということを、この本で初めて知った。大阪で亡くなった高齢の女性は、3000万円の大金を自宅に持ちながら近所付き合いもなく、アパートの契約も不自然で全く誰なのかわからない。新聞記者の著者は、この件に興味を持って調査を始める。紆余曲折の末、親戚が見つかり、身元が判明する。但し彼女がその後どのような人生を送ったのか、何故大金を持っていたのかは未だに謎。この本はノンフィクションだが、謎解きミステリーを読んでいるようで面白かった。
今後、高齢の独身者が増える社会になっていくと、このような事例が多くなると思う。常に
身元が判るものを持ち歩く習慣も必要だし、親戚知人がいない高齢の独身者は、自分の生きた証をどこかに残しておくことが必要だろう。
因みに、私がいつも贔屓にして見ていた女性のブログが10月からパタッと更新が止まっている。ブログ終い?のコメントも無い。彼女に何があったのかとても心配だ。

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本「白バイ隊員 交通取り締まり とほほ日記」

2024年12月09日 | Book
著者は、元白バイ隊員。警察組織の仕組みから白バイ隊員になるまで、日常の仕事や仲間とのエピソードなど、著者の経験を詳細に紹介した本。白バイ隊員の内情を知ると軍隊のようであり、公務員のようであり、会社員のようでもある。日常業務は交通違反の反則切符を切ること。ノルマもあって、それに苦しむ隊員もいるらしい。違反者との会話術も重要で、いかに相手の気持ちを抑えて反則金を取るかがテクニックになる。ノルマの達成度が内部公開され、競争心を煽る仕組みもある。これは会社員も同じ。白バイ隊員は、バイクへの憧れだけでは務まらない。 会社員同様、仕事であることには変わりない。ただバイクを使う仕事という違いだけ。著者は、それでも大好きなバイクに乗れる幸せを感じていたようだ。
他の手記と違って少し物足りなかったのは、組織内の話が多く、違反者との困った話や面白い話のエピソードが少ないこと。警察という職務上、それは明かせないのかもしれない。
因みに私は今までに交通違反の経験が3回あるが、白バイ隊員にはお世話になっていない。最初は、通行区分違反。通学時間帯に通ってはいけない道を知らずに通ってしまった。解除まであと2分だったのに、ニヤニヤ笑いの警官は見逃してくれなかった。次は、助手席の友人に指示された通りに交差点を右折したら、そこは右折禁止だった。右折待ちの時に、その先に警官が2人いるのが見えていたので、友人に「警官がいるけど、この道に曲がって大丈夫か」と聞いたら、「いつも使っている道だから大丈夫」と言われた。入っていくと案の定、警官が通せんぼして「君は、道路標識を確認したか」と聞かれ、「見ていない」と答えるとニヤニヤしながら反則切符を切った。それを見ていた助手席の友人の顔が引きつっていた。(^^) 最後は、駐車違反の代理。妻の車が駐車違反でレッカー移動されてしまい、妻に「もう残り点数が無い」と泣きつかれて(妻は私より運転が荒い)、渋々代理で警察署に出頭した。これで10年間無違反のゴールド免許から降格。結局、自己責任だったのは最初の違反だけ。あとの2回は、無実の罪。(泣)

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本「スペース・コロニー 宇宙で暮らす方法」

2024年11月12日 | Book
元宇宙飛行士、向井千秋さん監修のスペースコロニーの本。
スペースコロニーとは、地球上での人口増加や地球環境の変化などに対応するため、移住先として構築が検討されている宇宙空間の施設のこと。将来、宇宙に住むためには、どのような課題があるのかを、ISSの事例を取り上げて解説する。人が生きていくために必要な空気、水、エネルギー、食料などの調達、宇宙という環境の過酷さなど、宇宙の現実にはSF小説や漫画の世界とは別格の厳しさがある。この本では、図表などを使ってその状況を詳しく解説していてとても勉強になった。ただ本文、図表には普段あまり馴染みのない専門用語や物質名、細かい数字等で表現されている部分も多く、自分のような素人には理解が難しい部分もある。また、監修は向井さんだが、各項目については専門家が解説する構成になっているため、執筆者が多くて、解説のレベルが一定になっていない印象もあった。
因みに40年前、学生の頃に機動戦士ガンダムを見た時、このアニメに描かれたスペースコロニーの世界を、いつか体験できる日が来るのではないかという淡い期待があったが、この本を読むと現実はそう簡単ではないことが判る。自分が住む環境に閉塞感を感じたり、死を意識しながら行動するのは、精神的に辛そうだ。(^^;)

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本「アンチ整理術」

2024年10月24日 | Book
整理整頓の効用について、否定的立場から考察した本。
一般論として、整理整頓すれば仕事の効率が上がり、新しい発想が生まれると言うけれど、著者はそういう意見には否定的。整理が必要なのは精神的な効果を求めるからであり、作業効率とはあまり関係ないらしい。何のための整理なのかを自問することが大切。整理することが目的になると、時間の無駄になりかねないと言う。著者の経験をもとに(理系の作家らしく)論理的に考察されており、共感する部分も多かった。物の整理より人間関係や気持ちの整理の方が重要かもしれない。 整理は他人を意識せず、自分が満足するやり方で良い。 自己満足でいいというのが著者の考え方だ。
因みに整理整頓と言えば、入社した時に先輩から「机の引出しの整理ができない奴は、仕事もできない」と言われた事がある。私への忠告のつもりだったのかもしれないが、しかしその後、その先輩が毎日、終業の30分前からせっせと引出しの整理をしていたのを、私は知っている。そういう事を言ってしまうと、自分が大変な事になる。思っていても言ってはいけない事もある。(^^;)

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本「蔵書一代」

2024年09月18日 | Book
文筆家の著者が、これまでに集めた蔵書について処分することになり、蔵書に関する考察やエピソードを綴ったエッセイ。
世の中には、様々な本を集める蔵書家と呼ばれる人達がいる。主に知識人が研究や著述のために本を資料として集めたり、一般人が趣味として集めるものがある。しかし、個人で収集していくと、いずれ物理的な限界(スペースの問題)が発生し、それをどうするかという問題が出てくる。近年は、図書館への寄贈も受け付けてもらえないし。廃棄するのも忍びない。古書店は貴重本や販売価値がありそうな本しか引き取らない。 著者も増え続ける蔵書に様々な手を打ってきた。 スペース確保のために地方への移住もやったようだ。歳老いた蔵書家には、収集した愛蔵書の扱いに様々な思いがある。本を収集する楽しみの果てには、終わりがある。蔵書にも「就活」が必要ということがよく判った。
面白かったのは、ウィリアム・ブレイズの本「書物の敵」に関する話。本の敵として取り上げられたのは、火や水やガスの暴威、埃、害獣害虫の襲撃、身勝手な書物蒐集家、本の価値が判らない無知な人、子供など。本好きには、敵の存在がよく判る。これは、書物の敵というよりも蔵書家の敵と言った方が良いかもしれない。
ちなみに私の現在の未読の蔵書は600冊ほど。退職後の引越しを機に既読本を処分し、蔵書を1/4に削減した。現役時代に老後の楽しみとして買い込んだ本だが、老眼で読書ペースが落ちて読めなくなってきた。私の書物の敵は、自分自身。要するに「老眼」です
。(^^;)

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本「スマホが神になる  宗教を圧倒する「情報革命」の力」

2024年09月12日 | Book
宗教学者によるスマホ社会の考察本。
スマホはイスラム教との相性が良いらしい。メッカの方向や祈りの時間など必要な情報が簡単に手に入る。意外な感じもするが、イスラム教で大切なのは型を実践することであり、他の宗教のように忠誠心は必要ないという事は知らなかった。 
著者は、ポケモンGOを事例としてスマホが与える影響を考察しているけれど、ポケモンをやらない人や知らない人には、良く分からない考察かもしれない。ポケモンの話だけで、本の1/3くらいのページ数を使っている。タイトルを見て、もっと鋭い洞察を期待したが、大体ニュースなどで知っていることが多かった。本の厚さ同様、中身も薄い感じ。(^^;)

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本「小説家という職業」、今日のMLB

2024年09月05日 | Book
森博嗣さんのエッセイをよく読んでいるが、これもそのひとつ。
小説家は元手がかからない職業で、彼もアルバイトとして小説を書き始める。ミリオンセラーを出すとか、有名になるなど余計なことを考えずに書くことが大切であり、長く小さいヒットを狙って書くのが彼のスタイルになっている。小説はそれほど人気のジャンルではないので、地道にコツコツと出して少ないファンを守ること。それが小説を職業とするための秘訣である。 売るためには、マーケティングの考え方も必要だし、出版社とうまく付き合うことも必要。読者との関係も大事にすること。でも著者は出版社に言いたい事がある。出版社は古い体質で昔ながらの営業であり、不手際があっても頭を下げるだけで、改善していくという考え方がないのが不満。 著者は理系なので全てロジカルに物事を進める。人間関係はドライで、ビジネスと割り切っている。色々な小説家の裏話が紹介されていて大変面白かった。 これも小説家として成功してるから言えるのだろう。
★今日のMLB
・エンゼルス、ドジャースに10-1で大勝
こんなに気持ちよく勝つエンゼルスを見るのも久し振り。エンゼルスの若手選手達が溌剌としていて、逆にベテラン揃いのドジャースが疲れているように見えました。主力選手は5回までにベンチへ退いて、3日前の大敗のデジャブのよう。大谷選手も4打席無安打で、同じく3日前のデジャブ。ア・リーグ西地区最下位のエンゼルスに完敗して、ドジャースの投手陣が本当に心配。これでプレーオフを勝ち抜けるのだろうか?
・カブス 今永投手快投
カブスの今永投手が、7回までノーヒットノーランの快投を見せました。その後のリリーフ投手も2回を完璧に抑えて、3人の継投によるノーヒットノーラン達成。本当に素晴らしかった。今日の試合中継はドジャース戦でしたが、こちらの試合の方が見たかった。結果論ですが。(^^;)
・パドレス ダルビッシュ投手復帰
ダルビッシュ投手が復帰登板しました。今日は3回3失点と打たれてしまいましたが、これはリハビリ登板みたいなもの。この先、きっと快投を見せてくれると思います。できれば、ドジャース戦以外で。

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本「世界の美しい博物館」

2024年08月30日 | Book
世界中の博物館でアート性が高い建物を集めた写真集。
収録された建物はどれも美しい。見ているだけで楽しくなる。 この本で紹介されている博物館の中で行ったことがあるのは、日本の国立博物館、科学未来館、イギリスの大英博物館、アメリカ自然史博物館くらい。
多くの素晴らしい建物、面白そうな博物館が紹介されていたが、行ってみたくなったのはフランスの「生きた馬の博物館」。 生体展示というのが大変珍しい。 どんな博物館なのだろう。
写真だけでは判らないけれど、きっと館内は少し臭いそうな感じもする。(^^;)

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本「Think right」

2024年08月14日 | Book
副題は、「誤った先入観を捨て、よりよい選択をするための思考法」。心理学のルールをまとめたノウハウ本で、この本の内容の半分くらいは、他の心理学本やテレビの情報番組等で断片的に知っていた。著者の失敗経験も含め様々な事例を挙げながら、簡潔にルールを整理しており大変判り易かった。
自分もこれまでの人生で数々の「しくじり」をしてきたが、この本のルールを知っていれば、その失敗経験も回避できた可能性がある。心理学的なルールを知って行動するのと、知らないで行動するのでは、結果は大違いだ。手短に心理学を学びたい人やノウハウを知りたい人には、入門書として最適だと思うけれど、自分自身について言えば、この本のルールをソツなく実践するのは難しいように感じた。もしこれを全て完璧に実践できる人がいたら、逆に魅力の無い平凡な人間に見えるかもしれない。

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本「東大教授 若年性アルツハイマーになる」

2024年08月02日 | Book
東大教授で脳外科医の若井普氏の妻による手記。若井教授は有名な脳外科医だったが、50歳代で若年性アルツハイマーを発症し早期退職する。その後、自らの病気を公表し、講演活動を行うが徐々に病気が進行して寝たきりになってしまう。この本は長年、彼の様子を見てきた妻によるアルツハイマーの病状を追った手記となっている。 脳外科医がアルツハイマーを患ったという話は、以前に聞いたことがあり、この人のことかと思って読んでみた。徐々に病状が現れて、自分自身の意思と行動が一致しなくなっている様子や家族との関わり方の変化がよくわかる。 脳外科で最先端の医療を行う優秀な先生でも、病気とは無縁ではない。アルツハイマー病は、本当に恐ろしい病気だ。 
ただ、この本について言えば、病状の進行とエピソードや話の流れに纏まりがなくて、時間の経過が行ったり来たりして判り難い部分があった。彼との思い出を思いつくままに書かれた感じがした。夫のことを「晋が…、晋が」という文章が多くて、自分の子供を呼んでるような違和感がある。(普通に"彼”又は”夫”で良いと思うが)自分の経験を伝える目的で、本にして読んでもらうのであれば 、もう少し時系列で整理してまとめて欲しかったと思う。 

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本「セカンドキャリア」

2024年07月26日 | Book
引退した競走馬とそれに携わる人たちの活動を追ったノンフィクション。
著者は動物愛護関連の著書がある作家で、競馬ファンではないが、引退した競走馬の共同オーナーになったことをきっかけに、競走馬のその後について調べるようになる。競馬業界の引退馬の現状とJRAの取り組み、JRAの角居元調教師の活動などを中心に、引退馬のその後のキャリア構築に地道に取り組む人たちの姿をインタビューや体験を通じて紹介する。引退競争馬を引き取って生涯面倒を見る馬主もいるが(それも素晴らしい事だが)、引退馬を再トレーニングして仕事を与え、人々の生活に役に立てる活動を目指す人達がいる。長年、競馬ファンを続けているが、競争馬の引退後の様々な取り組みについては知らないことが多く、いろいろ勉強になった。引退馬に関心がある人は勿論、競馬ファンにも一読する価値がある本だと思う。
因みに、競馬を始めた頃、競争馬の引退後が気になって、競馬を教えてくれた知人に聞いたら「馬は経済動物なので、引退した後の事なんて知らない」「人間に喰わせてもらって、レースに出るだけで幸せだろう」と宣った。毎週、パドックを廻る馬を見ながら随分冷めているなと思った事がある。彼にとって、競争馬は「走る機械」なのだろう。大方の競馬ファンにとって、競争馬が引退したらそこで終わり。その後については関心が薄い。(G1馬やアイドルホースは別として)でも目の前の1頭の馬と向き合うと、安易に「経済動物」と言えなくなると思う。

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本「僕はあと何回、満月を見るだろう」

2024年07月19日 | Book
音楽家 坂本龍一の自伝。2009年の自伝「音楽を自由にする」以降の活動を口述筆記したもの。
若い頃は、気力体力に自信があって、健康も問題なく活動していた彼が、2014年に最初の癌に犯され、その後寛解して復帰したものの、2021年に転移再発して2023年3月に亡くなってしまう。前回の自伝上梓後の音楽活動とこれまでの節目となった出来事、地震や原発反対活動及び自身のルーツ、癌との闘病生活など、これまで語られてこなかったエピソードや思想を綴る。
テレビで見る彼の姿は、いつもすごく冷静で頭脳明晰な芸術家のイメージがあったけれど、実際は熱い心の持ち主だったようだ。様々な出来事に対する喜怒哀楽の感情が文章から伝わってくる。2011年の東日本大震災以降は政治的な活動も行ったようだが、これは怒りの感情が原動力になっている。また感情が高ぶってよく号泣することもあったようだ。自身の作品、演奏や共演した人達に対する彼の本音も語られていて、とても興味深かった。素晴らしい作品を発表し、良い友人知人や出会いもあって、羨ましくなるような充実した人生に見えるけれど、本人には道半ばでやり残したことも多かったのだろう。ただ仕事一途で人生を全うできたことは、幸せだったかもしれない。日本の偉大な作曲家の一人だったと思う。
ちなみに、アメリカの作家マークトウェインの言葉で、人の死について、「死んだ時に葬儀屋まで悲しんでくれる。そういう人生を送りたい」という言葉を思い出した。 彼の人生もその言葉に相応しい人生だったと思う。

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本「独学のすすめ」

2024年07月11日 | Book
世界最高齢プログラマーとして知られている若宮正子さんのエッセイ。
これまでの自身の生き方を振り返りながら、老後の学びについて指南する。著者の基本姿勢は、何事にもチャレンジすること、好奇心を持つこと。年齢が何歳であれ、学ぶ気持ちが重要ということのようだ。タイトルを見て、独学のノウハウ本と思っていたが中身は自伝に近い。著者がこの歳(83歳)までにどのようなことをやってきたかを紹介しており、独学のノウハウ的な事はあまり書かれていない。どちらかと言えば、自身の学習体験談 のような感じがした。著者が老後にプログラミングを始めたと聞いて凄いと思ったけれど、実は若い頃から読書が好きで、海外旅行に親しみ、仕事は大手都市銀行の管理職を務め、英語は英検準一級、人との付き合いも上手く、もともとベースになる素養はあったのだと思う。一般家庭の主婦ではない。
著者の学び方は、知らない事は人に聞く、それを基に自分でやってみるという方法で「独学」と言うより「独習」に近い。また、「人・本・旅」に学ぶことが重要として、自身のエピソードを交えながら推奨しているけれど、若い人ならともかく、高齢者には厳しい言葉だ。(エンディングノートも書くなと言う)高齢者には、「人・本・旅」の前に「健康・お金・時間」の制限がある。健康でお金があって人生が永遠に続くなら、著者の指南も理解できるが、高齢者は残された時間を意識しながらの学びになる。その中でどう学ぶべきか、その辺りのアドバイスの方が欲しかったと思う。

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本「大学教授こそこそ日記」

2024年07月06日 | Book
著者は、関西の有名私大に勤務する大学教授。日米の大学を卒業後、カナダ留学、銀行勤務を経て短大講師になる。その後、国立大学から私立大学教授へという経歴の流れで今に至る。
大学の先生と聞くと、高学歴、高収入と思われがちだが実際はそうでもない。特に若い講師は、副業がないと暮らせないほどであり、著者も国立大に勤めるようになってまともな生活ができるようになる。最初に勤めた短大は高校の延長のような感じで、日頃の生活指導や、本来は学生が主体でやるべき学園祭を仕切ったり、学生を海外ホームステイに連れて行ったり、高校を訪問して学生を勧誘する営業活動などもあり、講義以外でも雑多な仕事がある。また試験では論文のコピペなど学生のモラルが低かったり、単位を取るために親から温情を求められたり、今時の学生の気質についても色々な苦労があるようだ。教授達にもそれぞれ個性があり、彼等に纏わる出来事やエピソードも面白かった。大学教授と言えども、一旦講義が終わってしまえば普通の会社員とそれほど変わらない。悩みもいろいろ。大学の裏事情が紹介されていて、なるほどと思う事も多かった。
私は38年前に大学を卒業したけれど、当時の私の学科は学生に緩かったように思う。学科定員が少なかったので、単位を落として留年すると「後から入る後輩達が迷惑する」と言って、"甘口の採点"をしてくれ、出来が悪い自分は何度も救われた。当時の先生方に大いに感謝したが、実は学生に言えない裏事情もあったのだろう。この本を読んで、当時の先生方に大学の実情を聞いてみたくなった。(当時の教授は定年間近だったので、おそらくこの世にいないと思うけれど)

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本「飛行機ダイヤの仕組み」

2024年06月27日 | Book
著者は、元JAL のパイロットで航空評論家。 航空関係の本と言えば、航空理論、航空機本体や空港設備、航空会社のサービス等について書かれたものが多いが、それをどのように運行しているかについての本は少ない。この本では、普段あまり一般の搭乗者が気にすることが無い、航空会社のダイヤがどのように組まれているか、定時運行を阻害する様々な要因について、具体的な事例や著者の体験エピソードを踏まえながら解説する。
軌道を走る鉄道と違って、航空機には気象現象や空港の運用、航空協定や国の制度、運行ルールなど、安全性に影響を与える様々な要因が存在する。時刻表はあるけれど、これはあくまで 目安であり、その時刻に出発到着を保証するものではない。時間よりも安全性が優先される。その中で、パイロットを含む航空関係者が定時運行のために、ルート選択、高度調整、コストを考慮しながら、安全な定時運行に努力している。 
これまで数多く搭乗してきたが、時々いつものルートと違っていたり、突然高度の上げ下げを行ったり、旋回を始めたりして疑問に思うことがあった。空の上での航空機の振る舞いには全て理由がある。今まで客として乗ってると気がつかないけれど、パイロットがどれほど複雑な手順を踏んで、運航調整を行っているかがわかった。
この本を読んでおけば、パイロットの意図が感じられ、空の旅も一層楽しくなると思う。

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