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Jun日記(さと さとみの世界)

趣味の日記&作品のブログ

うの華3 130

2021-03-22 10:52:08 | 日記
 家の居間には、玄関方向から居間の側面を突っ切って、かつては玄関から家の奥へと長く続いていただろう土間が在った。土間の入り口は畳一枚分を優に横にした広さで、差し違えの木戸に対応していた。それが居間の角から側面に掛けて半分程の幅になり、その儘奥へと続いていた。
 
 現在この土間は廊下に差し掛かった入り口で木の板壁で閉じられている。この壁の横反対側が廊下の入り口で、片側だけの引き戸になっていた。だから、廊下へ入る戸口の障子戸を開け放した時に、その戸が収まるスペースがこの木壁の前だ。木壁の奥はというと、既に台所まで続く廊下同様に床が張られていた。この床上にはこの家の、古めかしい過去の遺物といえる物品が種々雑多に積み重ねられていた。謂わば台所へ続く廊下の反対側半分は、家の物置スペースとして活用されていた事になる。かつては家の裏まで土間続きで抜けられる様になっていたのを、祖父母の代でこの様に改築した風情だ。

 普通の旧家では、土間の行き着く先が竈門等設置された台所部分になる。その先には更に便所が在り、家の勝手口、緊急時の避難路と、裏庭に抜けられるスペースが設けられていた様だ。この造りは商家としての旧家が大抵そうである様に、この界隈にでんと間口を構える店々においては、皆が共通に持っていた間取りだと言えた。

 さて、玄関から土間に入ると、一瞬気持ちが引き締まる。緊張した様な改まった様な心地になる。それはこれから家の奥へと進むという、その為に人が潜り、敷居を跨ぐという入り口の、木戸に格別の重厚さがあった為と、入った部屋の頭上、吹き抜天井の高さのせいだっただろう。

 人は木造屋の大造の家屋を視覚や肌で感じ取ると共に、嗅覚でも、湿った土間の空気と年代物の木の香を辺りの空間から捉えた。これは客商売上の来客と謂えども、この家では家族では無い事、ここは他所の家であるという自覚を齎た。それは訪問客に対して、安易と家の奥には侵入出来ないぞという、畏まって改まった気持ちにさせる効用が有った。この効果が木戸と居間に含まれるのは、この家に置いて、窃盗等、犯罪を拒む意味合いが多分に有ったのだろう。この戸自体がかなり重く、厳しかった。また戸に嵌め込まれた細かい格子の其々の根元には、金属製の小さな鋲等、花飾りの様に数多く打ち込まれていた。これは武士の鎧を連想させる設えで、見栄えも造りもがっしりとしていた。加えて表面には艶のある漆が塗られ、一対の扉に外見上も美しい光沢を与えていた。

うの華3 129

2021-03-22 10:04:21 | 日記
 個人的に態と注意を逸らしてみても、周囲の音声というのは否応なく自分の耳に入ってくるものだ。ちらちらとした雑音よろしく、時には返ってクローズアップされた感でもって、その後も私の耳へと廊下の声音は入って来る。

 お母さんに、お前は何て事を…。まぁまぁ、いいですよ、これであなたの教育方針も分かりました。そんな、お母さん。…。何です。何をみているの。この子はまぁ。お前達はもう帰りなさい。邪魔ですよ。…。どうして子供だけで来ているの?、あなた達のお母さんは。「叔父さんの奥さんの面倒をみてる。」「叔母さん泣いてて…。」…。もう、あなた達のお母さんも呼んで来なさい。どうして私だけ。…。

 と、廊下では雑多な会話が乱れ飛ぶ様に溢れていた。これではいくら私が耳を背けていても、背けた甲斐が無いというものだ。私は思った。そこで私は無理矢理にでもと、自分の意識を別の場所へ飛ばそうと試みた。それには自分の体をばたばたと動かして、何かしらそちらに自分の意識を集中させれば良いのだ。そうすれば耳もお留守になるというものだ。ここで私が思い付いたのが、つい先程祖母が自分にしてくれた事だった。私は自分の片腕を自分のもう片方の手で摩ると、盛んに体を動かしてみる。これは成功した。耳より腕に神経が集中した様だ。私の耳から人声は途絶えた。

 腕を摩りながら、私が廊下の入り口からも離れようと数歩進んだその場所は、先程私が一つ上の従兄弟と話し合っていた場所だった。そこはほぼ居間の中央に当たる。私は腕を摩りながら、視線を廊下とは反対方向の玄関、その場所に存在していた格子の引き戸の隙間へと送った。明るい光線が満ちた往来がぼんやりと目に入って来た。私の意識は暫しその光景に視線を合わせる努力をしていた。

今日の思い出を振り返ってみる

2021-03-22 09:37:11 | 日記

今日の思い出を振り返って見る

 親交 19 何処の宇宙船に着任しようと、シル達感応者は大の人気者でした。何故なら彼等感応者達は宇宙船にとって必要不可欠の人材になるからでした。シル達自身にすると、......

    これは、一昨年の物です。昨年、一昨年を振り返って載せたものです。ジャンルはSFでした。これだけぽつんと出しで脈絡無く、作品前後が続かなくて申し訳ありません。
    こういった、昨年の「今日の思い出を…」は、今迄もよく通知が有りましたが、私は省いて載せずに来ました。今日はこれに合わせて、ここでお知らせを書きたくて特別に載せました。この作品のこの回が、特に気に入っている訳ではありません。
   
    さて、今日のお天気は曇り。先程まで晴れていたのですが、お日様が雲に隠れて暗くなって来ました。
    先週末にも書きましたが、肩の凝りが酷いようです。作品は暫く短めになります。宜しくご了解ください。

うの華3 128

2021-03-19 13:22:40 | 日記
 急にピシャっという音と、どん、どすん、という大きな音がした。それは何か物がぶつかり床に落ちる様な音だった。恥を知りなさい。という甲高い声。お前は、小さい子に…。具合が悪いと知っていたでしょう。と言う女性の声。でもでもと言う、取り乱した別の女性らしい声が聞こえて来た。この人がさっき、元気になったって言うから…、心配ないと言う話だったもの。最後は怒った様な声になっていた。

 「この人⁉︎」、びっくりした声だ。祖母の様だ。廊下では一体何が起こっているのだろうか?。少なくとも、穏やかな話の場ではない様子だ。私は思った。

「何ですかその態度は、」

私の推し量れない女性達の声だ。「そんな調子では今日の晩御飯は抜きにしますよ。」へー、何処ぞのお上さんと女中さんかしら。そんな感じだと私は思った。そうして私は、そろそろこの廊下の喧騒に聞き耳を立てるのは止めようと思った。女中さんが、お上さんの権力任せに叱られているのだと思うと、使える身の不憫さを感じ、責められている女性が気の毒になったのだ。

 私はそれ以上廊下の話を聞く事が厭わしくなった。『大人の話だ、子供の私が聞いてもどうせ分からない。』。そう自分を言い包めると、私は態と廊下から注意を背けた。

今日の思い出を振り返ってみる

2021-03-19 13:00:05 | 日記

うの華 184

 父のこの説明は、私には理解し辛い所が多々あった。名前で分かるという生まれ順は、いちにいさん…と、父から教えられるとそうかなと、曖昧なまでも何となく理解出来たが、学校を卒業?養子?......

 良い天気です。風邪も良くなってきたし、明日明後日と連休なので、人混みを避けて午前中買い物に出掛けて来ました。
 さて、なかなか記事書き込み出来ない理由について、パソコンが壊れてから新しい物を購入していない、というのがあります。携帯や端末でこのページに書き込みしていますが。キー操作と違いスムーズに行えません。ここ数日は、風邪もあるのでしょうが頭痛、次に肩が痛くて。熱がそうないのに、体調が悪いと思っていたのですが、昨日気付きました。肩こりですね。以前にも肩こりの酷いものになりました。その時は頭痛がとても酷く、ズキズキしていました。それが2週間ほどスッキリせず、お医者様の言う通り本当に肩こりだろうか?と、この儘治らないのでは無いかとかなり心配しました。
 今から思えばお医者様の診断通りでした。その後はこりが酷くならないよう気を付けていたのですが、昨年からのコロナで、肩こりの事をすっかり忘れていました。今回はそれほど酷くないのですが、端末操作もほどほどにしようと思います。また、毎日治るまで肩こり体操しなければね。