ボールを先に送り出してからその後を追おうとした瞬間、誰かの足が僕の足にかかり、僕の体はふわり宙に浮く。自由を失った体は後はただ成すがままとなって地面に落ちる。「大丈夫?」誰かの声がかかり、僕は笑顔になる。膝に新しいすり傷が生まれる。それは前に進もうとした証し。 #twnovel
何の音だといって驚くJさんにただ電車が発車する合図だよと告げるとぎょっとした様子だ。「黙って出ると乗り遅れてしまうからね」Jさんが納得したのも束の間、「今度は何の警報音だ?」といって驚くので、携帯電話の充電が終わった知らせだよと告げると更にぎょっとした様子だ。 #twnovel
いつもの場所にいつものモカが見えなくなって数日たったある日、いつもの場所に見覚えのある影を見つけて近づいて行った。「おっす。もう、元気になったの?」私はモカの名前を呼びながら駆け寄っていくけれど、モカは下を向いたままだった。モカは、本当はモカではなかったのだ。 #twnovel