眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

日だまりのライブ

2024-08-19 08:00:00 | ナノノベル
「みなさんおはようございます。本日も朝のひと時をかわいい鳥たちの映像と共にお送りしたいと思います。早速ゲストをご紹介いたしましょう。鳥観察界の重鎮、内田さんです。今日はよろしくお願いします」

「どうも。よろしくお願いします」
「内田さん、今日はまたさわやかな朝になりましたね」
「そうですね。大変喜ばしく思っております」
「だいたいこの時間ですね」
「ええ」

「いつもの時間、いつも決まってここに鳥たちがやってきます」    
「鳥たちはルーティンがしっかりしてますからね」
「ちょうどこの木の下辺りが日だまりになるんですよ。画面の向こうのみなさんにも伝わってますでしょうか」
「鳥たちはみんな日だまりを見つけるのが上手です」

「さあ、そろそろかと思われます」
「もう声が聞こえてきそうですね」

「日だまりというのは、鳥たちにとってはどのような存在になるのでしょうか?」
「そうですね。心地よく暖かい場所と言えるかと思います」
「なるほど。鳥たちにとってホット・スポットと呼ぶに相応しいところかもしれません。内田さん、鳥たちの魅力を一つお聞かせいただいてもよろしいでしょうか」

「色々ありますけど、まず仕草がかわいいですね」
「仕草ですか。大事ですよね。好きな人の仕草は真似したくなったりもしませんか」
「ああ、私はスパイ映画など見て劇場から出てきますと行動が少し機敏になっているように感じることがあります」
「はは。主人公の仕草が移ってしまうと。なるほど、CMなんかもそんなとこがあるのでしょう。あの人が食べてるのだったら、私も食べてみようかなとなったりもしますよね」

「なりますなります。ビールとかね。すぐ影響されちゃいます。弱いのかな」
「いやーそれが人間ですよ。だから好感度が重視されるというのもわかりますね。嫌いな人のは真似したくないじゃないですか」
「逆効果になるかもしれませんね」
「ビール以外にも何かあります?」
「ラーメンとか。テレビでやってるとすぐ食べたくなっちゃいます」
「また美味しそうに見えるんですよね」
「昨日はチキンラーメン食べました」
「チキンラーメン」
「チキンラーメンはずっと好きですね」

「結局、何でもはじまりは好きからなのかもしれません」
「好きでないと続きませんしね」


「ということで今日はかわいい鳥たちは来てくれませんでしたけれど」

「生き物というのは気まぐれですから」

「そうですね。番組のために生きているわけではありません。ということでお許しいただきたいと思います。また明日に期待することにいたしましょう」

「放送は終わっても日だまりは待ってますから」

「いやー、残念。それではこの辺りで失礼いたします」


「私は待ってますから」

「さようなら」








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