このコーナーは、今年出版される予定の資格本の原稿の一部ををアップしていきます。出版予定の資格本は、年代別(ex20歳代・・)に有用な資格とその活用方法を解説していくものです。第12回は、20歳代の資格「ワークルール検定」です。
区分:民間資格(日本ワークルール検定協会が主催)
対象者:初級は誰でも可、労働法に詳しくなりたい方
受験者数:初級575人 合格率:71.3% (いすれも2016年5月、年に2回実施)
費用:初級 2,900円 ほかにテキスト代など
■ ワークルール検定とは
「ワークルール」とは、働くときに必要な法律や決まりのこと。全国の労働相談件数は、ここのところ落ち着いては来ているが、相変わらず、ブラック企業に代表されるように、ワークルールは守られていない職場は今でも多い。
なぜそうなるのか、労働者にも使用者にもワークルールの知識が乏しいためである。その原因は、知識を得る機会が少ないことや、相談する機会もあまりないためだ。企業にとっても、コンプライアンスを守り、働きやすい職場環境をつくるためにはワークルールの知識は欠かせない。それら知識を獲得するのがワークルール検定である。
検定は初級、中級があり、労働組合も協力しているのがこの検定の特徴である。
参考 ワークルール検定 http://workrule-kentei.jp/index.php
■ ワークルール検定の魅力
ワークルール検定は、同HPによれば、4つのメリットがある。①働く者一人ひとりにとって、②労働組合にとって、③企業にとって、④社会にとって、である。筆者は、このうち、特に働き始める前後の若い人にお勧めしたい。筆者は中小企業診断士として、人材育成を専門にしているが、研究会などでブラック企業の様子をよく聞く。若い方は、労働法を知らないで、損をしているケースが多いのである。知れば反論もできるだろうし、適切な人に相談もできる。
■ ワークルール検定への道
▶労働法
まず労働法の問題を少し紹介しよう。1)働き始める前に内定が取り消しされた場合、労働者はこれに従わなければならない→×内定取り消しには、客観的合理的と認められ社会通念上相当な事由が必要。卒業できなかったとか学歴を偽っていたとか、つまり簡単には取り消しはできない。 2)労働者が希望すれば1日12時間働くことができる。→× 原則として1日8時間週40時間まである。時間外労働をするには、36協定を結ばないといけない。 という風になる。就職前後の若い方はこれを知っているだろうか。
▶学習と受験
試験の学習は、テキスト、問題集が出版されているため、これを学習すればよい。筆者の場合は、問題を解いた後は、必ずその時点で得点を裏表紙などに記入する。現時点の実力を書いておくと、次回解いたときの伸びがわかる。つまり、ゴールが見えるというものだ。この試験も同様に得点が推定でき、自信を持って臨めた。
試験は、45分で20問。出題範囲は、労働基準法、労働契約法、労働組合法だ。試験の前には、ワークルール講習の受講が必要になる。筆者は第1回を受験したが、大学の先生の講習は面白かった。先生が言っていたことだが、試験に合格するコツは、労働法を好きになること、だそうだ。
もう一つ、東京会場は、連合会館であった。労働組合の方も大勢受験しているようだった。ワークルールの普及を望みたい。