碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

北海道テレビ制作のスペシャルドラマ「歓喜の歌」に拍手

2008年09月08日 | テレビ・ラジオ・メディア
昨日(7日)、午後2時から、スペシャルドラマ『歓喜の歌』が放送された。

HTB北海道テレビ40周年記念番組であり、テレビ朝日系全国ネットだった。

『歓喜の歌』といえば、立川志の輔さんの創作落語。今年2月には、この落語を原作とした同名の映画も公開された。監督は『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』の松岡錠司さん。

小林薫さんが、市民ホールの主任で、二つのコーラスグループの発表会をダブルブッキングしてしまうのだ。映画は、松岡監督らしい優しい目線で作られていた。

そして、今度のドラマ版である。

主演は大泉洋さん。そして演出は、大泉さんたちを道内随一の人気者へと押し上げた番組『水曜どうでしょう』の藤村忠寿ディレクターだ。

見始めて、まず驚いたのは、このドラマが、バラエティのノリとかシャレとかではない、堂々たる正攻法のドラマだったこと。原作の落語にも映画にもない新たなエピソードを加えつつ、笑って泣ける、実にウエルメイドな1本になっていた。このあたりは、鄭義信さんの脚本の力も大きい。

大泉洋さんはじめ、田中裕子さん、大滝秀治さんといった役者陣も大奮闘だ。特に、北海道で制作のドラマに大滝秀治さんが出ているのを見ると、もうそれだけで無性に嬉しくなる。『北の国から』だけでなく、かつてHBC北海道放送(TBS系)が「日曜劇場」の枠で制作・放送した『うちのホンカン』までが思い出されるからだ。

藤村ディレクターは、へんに奇をてらわず、しかし、映像や編集にきっちり情感を込めて、また、決して長くはない時間を目いっぱい使って、急ぎすぎずに物語を展開させていた。見事だった。

そして、このドラマで何よりもいいのは、<北海道の雄大で美しい自然>とやらに頼ってなどいないことである。<人間のドラマ>をきっちり見せてくれたのだ。

ああ、それにしても、『水曜どうでしょう』の大泉さん主演で、『水曜どうでしょう』の藤村さんの演出で、こんな素敵なドラマが見られるとは。北海道の多くの「どうでしょうファン」も喜んでいるだろうなあ。

今年度のドラマの上位に挙げてもおかしくない快作でした。拍手。

志の輔らくごのおもちかえりDVD 1 「歓喜の歌2007」

角川エンタテインメント

このアイテムの詳細を見る


今日(8日)は、午前中の便で札幌へ。午後、3月までいた千歳科学技術大学で授業がある。

ずっと担当してきた「メディアリテラシー」の授業だが、毎週、東京から講義に出向くことは無理なので、「eラーニング」を活用する。ただし、3回ほどは「対面授業」として教室で講義を行うことになっていて、今日はその1回目。

卒業式以来で、久しぶりのキャンパスであり、教室だ。私がいた頃はまだ建築中だった「10周年記念棟」の建物の内部も、じっくり見てみたい。

そして、明日9日(火)は、いつもの番組で、いつものように生放送のゲスト・コメンテーターを務めさせていただく。

●午前9時54分~北海道文化放送「のりゆきのトークDE北海道」

●午後3時45分~北海道テレビの「イチオシ!」

例によって、道内の皆さん、よかったらご覧ください。