碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

「私の生き方そのものが作品だ」とマンガ家は言った

2008年09月30日 | 本・新聞・雑誌・活字
版画による強烈な色合いの表紙。3.7センチと分厚いが、中身もかなり熱い。

『私 まるごとエッセイ』(交遊社)は、『まんだら屋の良太』で知られるマンガ家・畑中純さんの初エッセイ集である。

伊藤整から高倉健まで、マンガは「手書きの総合作業」だという畑中さんが影響を受けた物語、評論、映像などがジグソーパズルのようにはめ込まれている。

中でも、伊藤整が出てきたことには、ちょっと驚いた。そして、嬉しかった。私が今、正面からその門を叩こうと思っているのが(ちゃんと読んでみようってことだけどね)伊藤整なのだ。

畑中さんは、自分はマンガ家に向いていないのでは、と自分を疑い始めたとき、伊藤整の文章に助けられたという。

   「伊藤氏から最大に教わったことは、
    創作に絶対の約束などなく、
    どんな人にもその人に合ったスタイルが必ずある、
    といったようなものだった」

その結果(ってわけじゃないが)、この本の「あとがき」にはこんな一節が・・・。
   
   「私の生き方そのものが作品だ、
    と言ってしまえば鼻じろむ人が多い事も、
    反発を招くことも知っています」

畑中さんの「私」へのこだわりが、この温度の高い文章を生み出しているのは明らかだ。

私―まるごとエッセイ
畑中 純
文遊社

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  <「テレビメディアの現在」文庫展のお知らせ>

図書館が特定のテーマで新たに収集した書籍を、すべて閲覧できる展示会を開催しています。

今回は、<テレビの現在を知る>をテーマに、私が約420冊の選定をさせていただきました。

本学の学生や教員だけでなく、市民の皆さんにも見ていただくことが可能です。

ぜひ、東京工科大学図書館へ足をお運びください。


   専門書籍で探る最新メディアの世界 
       「テレビメディアの現在」文庫展


  期間 : 2008年9月29日(月)~10月17日(金)
       8:45~19:50(土曜 9:00~16:50)

  会場 : 東京工科大学図書館(図書館棟4階)

  主催 : 東京工科大学メディアセンター(図書館)

  連絡先 : (TEL) 042 - 637 - 2033 / (E-mail) library@so.teu.ac.jp

  協力 : メディア学部教授 碓井広義

  「テレビメディアの現在」文庫展 WEBサイト:
               http://www.teu.ac.jp/lib/event/tvmedia/
                 (展示図書リストなども閲覧できます)