今月の『芸術新潮』がすごい。
創刊60周年記念特大号ということで、特集が「わたしが選ぶ日本遺産」。
各界を代表する方々68名が推薦する風景、美術、建築、神事、芸能、デザイン、食などが、美しい写真と「選んだわけ」を綴った文章で構成されているのだ。
「全地球カタログ」ならぬ「全日本カタログ」である。
ページをめくり、眺めていくと、やはり自分の興味・関心のある分野で手が止まる。
伊勢神宮や厳島神社、那智の滝や富士山もいいけど、みうらじゅんさん・小谷野敦さんが選んだ「怪獣映画」、坪内祐三さんの「テレビコマーシャル」なんてのが嬉しい。
他にも、津野海太郎さんが推す「神田古本屋街」、都築響一さんの「地方のスナック街」「秘宝館」なども好ましい(笑)。
「日本語というタカラモノ」というくくりの中には、片岡義男さんの「広辞苑」、鹿島茂さんの「あいさつ」がある。
「行ってきます」「行ってらっしゃい」「ただいま」「おかえり」・・・いいよねえ。
荒川洋治さんが「少し前まであったものなど」として挙げている「日本文学全集という書物」は、ちょっと泣ける。
というわけで、松家編集長が言うところの“驚きと納得の「日本遺産」”は、私たちの内なるニッポンやジャパンを大いに刺激するのであります。