碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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「未内定4年生」と資格・留学・大学院

2010年01月22日 | 大学

研究室の4年生たちの“卒論提出”が終わった。

後は“卒論発表会”である。

発表会では、研究室の指導教員が「主査」で、他の研究室の先生が「副査」を務める。

自分の研究とは別ジャンルの先生が副査となったりもするわけで、初めて聞く人にも分かるように発表しなくてはならない。

つまり、自分がよく分かっていないと、十分な説明ができないのだ。

4年生は、ただ今、その準備中。

その一方で、発表会の準備をしながら、引き続き“就職活動中”というメンバーもいる。

何しろ、日本の大学4年生全体の4分の1以上が、就職先が決まらないまま卒業しようとしているご時世だ。


『日刊ゲンダイ』(1月22日付)で、実に明快な記事を見かけた。

見出しは、「わが子が資格、留学、大学院を言い出したら、親はNO!と言え」。

記事の中身は、まんまタイトル通りだ。

就職の決まっていない4年生が、<専門学校入学>とか<留学>に走り始めている。

特に、専門学校に進む学生には、3つのパターンがあるという。

「公務員・教員志望」・・・民間同様に採用者を絞っているから厳しい
「資格取得」・・・資格をズラズラ並べても評価は上がらない
「緊急避難」・・・最悪のケースだが一番多い

留学に関しては、企業が求めるような語学力が、1年やそこらで身に付くとは考えにくい。

また、大学院進学は修士1年の途中で就活をこなさなければならず、学部生より忙しい。

そして、これらに比べて「まだマシ」なのが<留年>、という結論だ。


・・・うーん、確かにマシだと思う。

卒業してしまえば「既卒者」であり、採用に関しては「(仕事の)経験者」と一緒の扱いとなる。

あるジャンルで仕事をしてきた人たちと比較されるわけで、結構しんどい。

留年すれば、2回目とはいえ、あくまでも大学4年生であり、「新卒」枠に挑戦できるのだ。

もちろん、留年も、親の負担を含め簡単なことではないが、ずるずると卒業して“無職の若者”になったり、安易な専門学校進学などよりは、「まだマシ」かもしれない。

しかし、留年策のリミットも来ているのだ。

悩ましい「過去最悪の就職氷河期」は、まだまだ続く。