『日刊ゲンダイ』の連載コラム「テレビとはナンだ!」。
今週は、フジテレビが12日(火)深夜に放送した「就職の神様」について書いた。
かつての就職氷河期を上回るとか、それよりはマシだとか、あれこれ言われているが、相当厳しい状況であることに変わりはない。
そんな中での“就活特番”だったのだ。
コラム見出し:
フジ「就職の神様」は役に立つ番組だった
本文:
厚労省と文科省が3月卒業予定の大学生の就職内定率を発表した。
何と73.1%!
4年生の4分の1以上は、就職先が決まらないまま社会人になろうとしているのだ。
すでに就職活動の主役が3年生に移っていることを思うと、就職難民どころか就職棄民である。
そうならないための老婆心なんだろうか。フジテレビが「就職の神様」という番組を放送した。
登場したのは3つの大学の学生と企業の人事担当。実際の採用試験で行われるような課題に学生たちが挑戦していく。
たとえば自己PRは、明大の「楽しませることを楽しむ」が高得点。
自分を草食系など「○○系」にたとえると何?という質問では、やはり明治が「雑草系」と答えてまたポイント獲得。
さらに「面接」を別な言葉で表現する課題が出て、桜美林大が「立体的なコミュニケーション」と答えて評価された。
その上で、トップとなった大学のメンバーが丸紅の人事担当者による模擬面接へと進んだ。
面接官が繰り出す質問の隠された意図に関する解説もあり、全体としては十分参考になる内容だった。この番組が年に一度の特番扱いではもったいないほどだ。
若者のテレビ離れは年々激しくなっているが、同工異曲のバラエティばかりではなく、こうした“役に立つ番組”をもっと流してみたらいい。
(日刊ゲンダイ 2010年1月19日付)