碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

“特番の日” の「やらせ」報道

2010年01月31日 | テレビ・ラジオ・メディア

なんて間が悪いんだろう。

名古屋のCBC(中部日本放送)のことだ。

30日14時から、CBCが制作した“特番”が放送された。

西村雅彦が旅をする『赤道大紀行』の最終章だ。

「3年12万キロの旅、クライマックスへ!」ということで、もちろんTBS系全国ネットである。

この「大紀行」自体にどんな意味(意図)があるのかは知らない(笑)。

番組を見てみると、西村はアジアのジャングルを歩き、4千メートルの高山に登り、奇習ともいえる地元の葬儀にも参加していた。

ごくろうさま。

最近は、「地方局発、上りネット(全国放送)」という特番が減っている。

キー局は視聴率を気にして、あまり歓迎しないし(今回も土曜午後の枠)、地方局にとっては時節柄セールスが大変だったりするからだ。

CBCは地方局といっても、それなりに大きいし、TBSに対してもそれなりのチカラがある。

で、この特番だ。

今日の『朝日新聞』朝刊、テレビ欄のページには、カラー刷りの大きな広告も載っていた。

ところが、同じ紙面で、CBCの「やらせ取材」が報じられたのだ。


見出し:
やらせの街頭取材 TBS系局 答えた女性は関係者

記事本文:
TBS系のCBC(名古屋市)が情報番組で放送した街頭インタビューの映像が、実際には通行人ではなく関係者だったことが分かった。同社が29日、明らかにした。

番組は、23日午前に東海地区で放送された「なるほどプレゼンター!花咲かタイムズ」。

女性の通行人20人に女性向けフリーペーパーの認知度を聞く街頭アンケートで、このフリーペーパーの編集に携わっている、名古屋市内のモデル事務所関係者3人を回答者に含めた。

また、そのうち2人のインタビューなども放送したという。27日に視聴者から指摘があり、社内で調査して判明した。

3人は、担当ディレクターの社員がモデル事務所に依頼し、取材に立ち会ってもらっていたという。

理由について、同社広報部は「街頭インタビューで人を集める大変さから、安易な方向に走ったようだ。スタッフの再教育を徹底したい」と話す。

今後、社員らの処分を検討するほか、社内に調査委員会を設置し、原因究明や防止策を考えていくという。

番組内の「やらせ」を巡っては、昨年1月にもテレビ愛知(名古屋市)が、トークバラエティー番組で番組制作スタッフを通行人のように装わせてインタビューした映像を放送する問題が起きている。
(朝日新聞 2010.01.30)


・・・ほんと、なんてタイミンが悪いんだろう。

ハレの特番オンエアの日に、「やらせ」が伝えられるなんて。

しかも、記事の通りであるなら、なんとも安直な、まったくレベルの低い「やらせ」だ。

この手のものは、今までに何度も繰り返され、その都度テレビは信用を落としてきた。

その辺りを知らないのか(そんなはずはないが)、知っていても平気でやっちゃうのか。

最近だと、そう、一番近い「やらせ」は、同じ名古屋のテレビ愛知だったんだし。

プロのテレビマンなら、やらないでしょ、普通。

いや、もはや“普通じゃない”人々が、現場で番組を作っているということか。

なんとも情けない「特番の日」になったわけです。