日本のマスコミ、とくにテレビは、何を伝え、何を伝えていないのか。
最近、どうも「知っているべき社会の動き」が、私たちにきちんと届いていないように思うのだ。
『日刊ゲンダイ』が、その辺りを取り上げており、私もコメントしている。
以下、記事の引用です。
見出し:
フランス全土の大規模ストをまったく無視した日本のテレビ
記事本文:
中国の反日デモがあるとはいえ、日本はお気楽な国……。
旅行者や帰国した人にはそう映るらしい。テレビも新聞も無視状態だが、フランスでは10月に年金制度改革法案に反対するデモが国内全土で起きて大騒ぎ。このことはBBCをはじめとする海外メディアが盛んに伝えたが、日本は対岸の火事、他人事としてスルーし続けている。
「フランス全土のデモは連日、数百万人単位。中学・高校生まで駆り出され、石油の供給がストップし、電車も間引きで半分しか走らないという大混乱でした。パリ市内なんか歩けなかった。理由は定年退職が60歳から62歳に伸びて年金受給年齢が引き上げられるというもの。労働者は今も権利の侵害として猛反発している」(現地事情通)
日本のニュースは特別会計の事業仕分け、解決の糸口をつかめずモタモタしている日中関係の横並びで、もっとも時間を割くのは気象情報や災害騒ぎ、再び大問題のアルカイダに注目している程度で他国の労働問題など眼中にあるわけがない。
「日本のテレビは政治とカネとか、見せ物としての事業仕分けとか、目先のわかりやすいことだけを取り上げ、一方で官僚に都合が悪いことを意図的に避けているとしか思えない時がある。
中国のような露骨な情報統制は問題外だが、日本のメディアの見えにくい情報統制もタチが悪い。情報の蛇口をわざと絞ろうとしている最近の姿勢は大いに疑問ありです」(上智大教授・碓井広義氏=メディア論)
庶民が財源を心配するのは日本くらい。マスコミに毒され、まったくおめでたい話だ。
(日刊ゲンダイ 2010.11.03付)