碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

京都から信楽へ

2010年11月27日 | 日々雑感

彫刻家・五十嵐威暢さんの“公開制作”の現場を取材するため、京都から信楽へ。

しかし、見学ツアーのバスは、真っ直ぐ五十嵐先生の仕事場に行かずに、山の中へと入っていった。




うねねと続く山道をだいぶ走った後、現れたのが「MIHO MUSEUM」。

ここは、神慈秀明会の会主・小山美秀子のコレクションを展示する私立美術館だそうだ。




設計者は世界的な建築家、I.M.ベイ。



ここのコンセプトはシャングリラ(桃源郷)であり、坂になったトンネルを抜けると、まさに世界の趣きがある。












館内で開催されていたのは「創立者生誕100年記念特別展」。



各室には、展示物と共に、小山美秀子の言葉が日本語と英語で紹介されている。






展示を見て回った。

紀元前1700~2100年のエジプト中王国時代の河馬像、中国・漢時代の亀形香炉、古墳時代初期の土師器丹彩壺、平安時代の十一面観音坐像、鎌倉時代の金銅香水杓、桃山時代の枝垂桜蒔絵徳利など、コレクションの充実ぶりに、かなり驚いた。

中でも、伊藤若冲の「象と鯨図屏風」や、蕪村と応挙の合作による「蟹蛙図」は、目が喜ぶような感じを覚える逸品だった。






美術館から2キロ離れたところに見える「教祖殿」も気になった。

何しろ、基本設計は、あの9.11の「ワールド・トレード・センター」で知られるミノル・ヤマサキである。

いつか見学したいものだ。

いくつもの刺激的な美術品に触れて、五十嵐先生の制作現場を訪れる前のウオーミングアップとしては、これ以上ないようなプログラムでした(笑)。




陶磁器の信楽焼で知られる信楽は、今、甲賀市信楽町となっている。

町のメインストリートには、焼物屋さんが軒を連ねる。

店の前には「たぬきの焼物」がいっぱいで、まるで“たぬき街道”である(笑)。










ようやく、五十嵐先生の仕事場が近づいてきた。


京都(駅)散歩

2010年11月27日 | 日々雑感

志賀の信楽へ行くことになり、まずは京都駅に到着した。

久しぶりの京都だけど、今回は通過するだけで残念。

駅構内を歩いていて、ちょっと楽しいものを見かけたので・・・・


マクドナルドなんだけど、通路側の壁面の空間を使って、上手に“おひとりさま”スペースを作り出していた。


こちらはケーキ屋さん。やはり通路側の壁を利用してケーキを展示。おしゃれで美しいディスプレイになっていました。

これは「八ッ橋」のお店のポスター。生八ッ橋のクレープのPRで、「知ってはる?」が妙に良かった(笑)。

あ、北海道の「白い恋人」を売ってる、と思ったら、「面白い恋人」でした。

珈琲ショップでは、奈良の「せんとくん」を発見。カプチーノとアイスカフェラッテに。


いやあ、京都、なかなかやるなあ~、でした(笑)。


『民間放送』に、ドラマ「モリのアサガオ」について寄稿

2010年11月27日 | メディアでのコメント・論評

日本民間放送連盟(民放連)の機関紙『民間放送』。

その11月23日号で、「メディア時評」を書かせていただいた。

取り上げたのはテレビ東京のドラマ「モリのアサガオ」である。

この秋のドラマの中で、いい意味で異彩を放っているからだ。

「死刑制度に挑んだ意欲作」とタイトルが付けられた文章を、私は以下のように書き出している・・・・


連続ドラマを見るというのは、ある期間、登場人物たちとつき合うことだ。

彼らと並走しながら、自分とは違う人生を垣間見ることだ。

いや、それはオーバーか。

「あいつ(かれら)はどうしているだろう」と気にすることかもしれない。

気になるから、見る。

いつものクールと同じように、10月に始まった連ドラも初回は全部見た。

その中の何本かは、残念ながら翌週から見ていない。

私が「気にする」必要もないまま、登場人物たちは彼らの日常を生きていることになる。



・・・・「モリのアサガオ」は、ヘビーだけど、見てしまう(笑)。

彼らが気になるから。

一人は凶悪犯ばかりの死刑囚舎房に配属された新人刑務官・及川直樹(伊藤淳史)。

もう一人は自分の両親を殺害した男とその娘を殺した死刑囚・渡瀬満(ARATA)だ。


実際に、裁判員裁判で死刑判決が出始めている現実。

死刑制度は、すでに私たちと遠い存在ではなくなっているのだ。