彫刻家・五十嵐威暢さんの“公開制作”の現場を取材するため、京都から信楽へ。
しかし、見学ツアーのバスは、真っ直ぐ五十嵐先生の仕事場に行かずに、山の中へと入っていった。

うねねと続く山道をだいぶ走った後、現れたのが「MIHO MUSEUM」。
ここは、神慈秀明会の会主・小山美秀子のコレクションを展示する私立美術館だそうだ。

設計者は世界的な建築家、I.M.ベイ。

ここのコンセプトはシャングリラ(桃源郷)であり、坂になったトンネルを抜けると、まさに世界の趣きがある。





館内で開催されていたのは「創立者生誕100年記念特別展」。

各室には、展示物と共に、小山美秀子の言葉が日本語と英語で紹介されている。


展示を見て回った。
紀元前1700~2100年のエジプト中王国時代の河馬像、中国・漢時代の亀形香炉、古墳時代初期の土師器丹彩壺、平安時代の十一面観音坐像、鎌倉時代の金銅香水杓、桃山時代の枝垂桜蒔絵徳利など、コレクションの充実ぶりに、かなり驚いた。
中でも、伊藤若冲の「象と鯨図屏風」や、蕪村と応挙の合作による「蟹蛙図」は、目が喜ぶような感じを覚える逸品だった。


美術館から2キロ離れたところに見える「教祖殿」も気になった。
何しろ、基本設計は、あの9.11の「ワールド・トレード・センター」で知られるミノル・ヤマサキである。
いつか見学したいものだ。
いくつもの刺激的な美術品に触れて、五十嵐先生の制作現場を訪れる前のウオーミングアップとしては、これ以上ないようなプログラムでした(笑)。

陶磁器の信楽焼で知られる信楽は、今、甲賀市信楽町となっている。
町のメインストリートには、焼物屋さんが軒を連ねる。
店の前には「たぬきの焼物」がいっぱいで、まるで“たぬき街道”である(笑)。




ようやく、五十嵐先生の仕事場が近づいてきた。