碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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「ATP賞」に見る、民放とNHKの“格差”

2010年11月18日 | テレビ・ラジオ・メディア

先日、テレビ界の大きな賞の一つである「ATP賞テレビグランプリ
2010」が発表になった。

おめでとうございます!


ATPとは「全日本テレビ番組製作社連盟」のこと。

「ATP賞」は、制作会社が作った番組の中から、優秀な番組を、”作り手”同士で選び合うところに特色がある。

今年の受賞作を見てみよう。


【グランプリ】
<ドラマ部門>
NHK ドラマ10 「八日目の蝉」
テレパック/NHK総合

【最優秀賞】
<ドラマ部門>
NHK ドラマ10 「八日目の蝉」
テレパック/NHK総合

<ドキュメンタリー部門>
特集番組 「二本の木」
NHKエンタープライズ/NHK総合

<情報バラエティ部門>
「タイムスクープハンター」スペシャル
幕末決死行! - 江戸牢獄・限界長屋の実態 -
NHKエンタープライズ・ピクス/NHK

【優秀賞】
<ドラマ部門> (4本)
テレビ東京 開局45周年記念ドラマスペシャル 「白旗の少女」
共同テレビジョン/テレビ東京

ドラマW「一応の推定」
テレパック/WOWOW

土曜ドラマ「外事警察」
NHKエンタープライズ/NHK総合

ハイビジョン特集
「少女たちの日記帳 ヒロシマ 昭和20年4月6日~8月6日」
テレビマンユニオン・NHKエンタープライズ/NHK BShi

<ドキュメンタリー部門 >(5本)
ハイビジョン特集「津軽」
~生誕100年 太宰治と故郷~
テレコムスタッフ・NHKエデュケーショナル/NHK BShi

ザ・ノンフィクション「康子のバラ」
~19歳、戦禍の日記~
ドキュメンタリージャパン/フジテレビジョン

ハイビジョン特集「プリズンドッグ」
~僕に生きる力をくれた犬~
テレビマンユニオン・NHKエンタープライズ/NHK BShi

ノンフィクションW「闇を歩く」
~ダイアログ・イン・ザ・ダーク~
アミューズ/WOWOW

「頂の彼方に…栗城史多の挑戦」
コスモ・スペース/BSジャパン

<情報バラエティ部門 >(3本)
「あべ一座旗揚げ公演 ~あべ上がりの夜空に~」
NHKエンタープライズ/NHK BShi

ハイビジョン特集「太宰治 人間失格 裁判」
テレコムスタッフ・NHKエンタープライズ/NHK BShi

「アナタの名字SHOW」
~新型ネームエンタテインメント~
ハウフルス/讀賣テレビ

【総務大臣賞】
ハイビジョン特集
「少女たちの日記帳 ヒロシマ 昭和20年4月6日~8月6日」
テレビマンユニオン・NHKエンタープライズ/NHK BShi


このラインナップを見て、一番驚いたのは、「NHKの番組」の多さだ。

これは一体どういうことなのか。

いくつか考えられる。

まず、「賞」に値する「いい番組」は、NHKで放送されているということ。

受賞作は、いずれも納得がいくような、いい番組が並んでいる。

視聴率うんぬんはいざ知らず、今や「質」の面では、圧倒的にNHKに軍配が上がるわけだ。

次に、番組制作会社が“活躍”する舞台として、NHKの存在が非常に大きくなっている、という事実である。

民放が制作費削減を推進し続けた結果、制作会社が“まともな制作費”で番組を作れる「場」は、NHKしかなくなっているのだ。

もちろん制作会社によって比率は違うだろうが、全体として、NHK抜きに制作会社の“経営”は成り立たないようになっている。

そんな実態を突きつけられたような気がする。

民放とNHKとの“格差”が、ここまで目に見える形で加速化しているということだ。