政府教育再生会議が、子育ての留意点や教えるべき徳目を盛り込んだ緊急提言「『子育てを思う』保護者そして皆さんへ」なるものを公表するらしい。 (連休明けと予想されていたらしいのですが・・・)
曰く
「子守唄を歌い、おっぱいをあげ、・・・抱きしめるだけでもいい云々」
「テレビはつけるな」
「ポルノなどの有害情報から子どもを守ろう」
「もったいない」「ありがとう」「おかげさまで「」等々
「PTAは父親も参加」
「5歳くらいまでは保護者の役割重要」等々だそうだ。
怒りがわいてくる・・・。
この『提言』をしている人たちは、何様で、どんな科学的な根拠でこの『提言』を導き出したのだろうか。
いじめをした子どもを出席停止にすることも含めて理解できない。
結局、大人がお手上げ状態であると、子どもたちに言い渡しているように見える。
「子守唄を歌い、おっぱいをあげ、・・・抱きしめるだけでもいい云々」というが、
私は、第一子出産後、一泊の予定で出張し、母乳が出なくなった。娘はミルクで育てた。
第二子は、出張を拒否した。2歳まで娘はおっぱいを飲んで育った。
この違いを、娘達は記憶として覚えていない。
子守唄も歌った。大好きだから・・・。でも、母乳が出ない、歌えない親は、子育ての資格がないとでも言うのか?
夫がひら社員の時、お迎えは自由に頼むことが出来た。
しかし、役職に着いた時、子育ては女の仕事にされた。
これは夫の意識とは関係なく、職場の環境が共同の子育てを認めない(事実上)状態になったということだ・・ 長時間労働で、帰宅すると食事を作り、食べさせて、風呂、就寝と、働く親は息をつく暇もない。
家事は仕事を休めない夫と自分で、出来る範囲でするしかない。
私は、職場が休みのときは、家庭の仕事は放り出して、子どもと遊んだ。 しかし、私自身、小学校に上がった子どもの勉強を見てやる時間はなかった。
子どもは勉強に遅れ、学校が嫌いになった。提言は、女性に仕事をやめるべきだと言いたいのか。
ポルノをわが子に見せたい親はいない。
しかし、儲けるために、女性の性を売り物にし、女性蔑視の考えを子どもたちに植え付けているのは経済界である。親の責任にしないでもらいたい。 子育て指南というなら、指南どおりに子育てを出来る条件整備にまず手をつけてもらいたい。
長時間労働はなくならず、保育園、学童クラブは不足、学力の遅れ等々、言われなくても、保護者はたくさんの不安を抱えて子育てをしている。一層不安を掻き立てるような提言はやめてもらいたい。
私は、母が離婚をし、母一人、子6人の家庭で小2より暮らした。長子であったから、早い時期から働く母親に代わり、家事一切を否応なく任された。
生活保護を受けていた。
それでも、母は、ガス炊飯器が普及すると、家事をする私の負担を思って、これを購入してくれた。
しかし、母子家庭の生活保護を受けている家庭にとって、当時は「認めてもらえない」贅沢だった。
でも、薪でご飯を炊くことは、洗濯掃除と、実際の生活で、あらゆることをしなければならない私にとって、大変な労力で、ガス炊飯器の購入は家事の省力化となり、大いに助かった。
貧しくても、我が家は、歌声も響き、明るかった。何を言いたいかと言うと、
つまり、「当事者の負担感を、軽くするための『公』の取り組みが、いまだに徳目の強調以外にない」ということが、私の母親の努力に劣ると言いたいのである。
提言は、こうした、子育ての大変さ (気分ではなく、物理的な) には、一顧だにしない。
昔も今も子育ては、個人に任され、
今回の提言も、まさに、『提言にそって個人で努力をせよ』といっているのである。
ならば、提言を公表する意味はどこにあるのか不明である。
働いている女も、働いていない女も
旧態依然とした、子育ての責任をおし付けられていることに疑問を感じているのに、社会は、その疑問に対して、
やっぱり、「子育ては女の責任である」「努力が足りない」としか言わない。
コレが、「子育て指南」の実態であるところに
女は(私)、教育再生会議の胡散臭さを感じるのである。