憲法施行70年 憲法は国民の総意で守ろう

2017-05-03 10:33:56 | 政治
憲法記念日の今日
東京新聞は 1面に朝日訴訟、2面に憲法記念日に掲載してきた記事について振り返っている。

その中で、福祉を学んだものとしてまず目に飛び込んできたのが朝日訴訟である。
生存権を問うた朝日訴訟について、
一審判決を書いた浅沼裁判官が
「健康で文化的な」とは修飾語ではなく「人間の生活といいうるもの」
最低限度の水準は予算の有無で決定されるものではない
として原告勝訴の判決を書いたと紹介している。

今生活保護行政について、不正受給をことさら取り上げ
利用者の人権を貶めるようなキャンペーンが張られたり
自民党国会議員などの攻撃に端を発し
全ての利用者が不正受給をしているかのような印象がふりまかれた。
そして、
いわれなき攻撃や
生活保護行政に携わる行政職員の制度の理解の薄さによって
利用者の保護が打ち切られ自殺をしたり、
また制度利用を認められず餓死に追い込まれることも起きている。
しかし、
一方では子どもの貧困を憂えて、国民的な支援の輪が広がってもいる。
為政者と国民との乖離を覚えずにはいられない。

そして、2面には小さな帯で沖縄県の翁長知事のコメントも載っている。
記事は翁長氏の談話として
「本県に憲法が適用されて45年。わが国の平和と安全に大きな役割を果たした」
と評価し、その上で
「安全で安心な沖縄の未来を自らの意思で描くため、地方自治を保障する理念を十分に理解し、尊重することが重要だ」
と語ったことが掲載されている。

憲法94条は、地方公共団体の権能として「行政を執行する権能を有する」としている。
沖縄県における基地の建設に住民が反対し、その意思を知事の選挙で示した。
その意思に基づいて行政を執行する知事に対し、
基地建設をごり押しする国のありようは、
国家の政策を押し付け、戦争の動員に自治体職員を駆り立てた戦前のやり方とそうは変わらないと私は思う。

翁長知事の談話の隣には
最高裁長官の記者会見の内容として
「憲法が保障する国民主権や基本的人権の尊重との関係が問われる訴訟が増えてきた」理由として
「社会のさまざまな現象を憲法の観点から考える社会的な議論が深まってきたのではないか」との考え。
そして、戦後の裁判所の役割について冒頭
「憲法の基本理念である『法の支配』の実現が普遍の使命」
「これまで以上に社会の変化に対応していきたい」と述べたと書いている。

その割には、
裁判の行方も憲法の判断を避け、国の政策を推進するような判決が多いと感じるのは私だけであろうか。
沖縄の基地問題、反対する住民の長期間の交流決定
原発事故の責任を問い、再稼働に対する住民の反対を棄却するなど
三権分立に立脚した司法の独立より
時の政府の意向に沿う裁判所の姿勢が今問われているとも考える。

今、憲法を変えなければ国民の人権が守られないという事態にはない。
改憲を言う勢力は、9条を変えなければ世界平和に貢献できないという。
しかし、9条は戦争の厳しい反省の下で、二度と国民と世界の人々を戦火に巻き込んではいけないという国民の願いに基づくものであり、
これは、我が国国民の命を守るという基本的人権を保障する何よりの拠り所でもある。

今、時の政府の都合によって改憲が行われることのないよう
憲法は国民の総意で守り抜かなければならないのではなかろうか。
世界中の人々の幸福のためにも・・・