東村山市の保育施策の推進に関する基本方針(案)への考察

2013-11-17 11:59:40 | 東村山市の政治、議会
東村山市は、今後の市の子育てに関する方針「保育施策の推進に関する基本方針(案)」(以下「基本方針」という)を策定。
11月22日までパブリックコメントを実施しています。
子育て中の市民の積極的な参加を願うものです。

以下基本方針を読んでの私の考えについて述べます。

子ども子育て3法の推進

基本方針は、2015(H27)年から始まる子ども子育て3法の正式実施にあわせ、今後の子育て支援への考え方を示したものです。
資料も含めると87ページに及ぶ長文です。

基本方針は、
1~2章で市内保育施設や待機児の現状などの分析、
福祉関連予算に占める子育て分野の経費などを明らかにしています。

その上で、
3章=保育施策に関する考え方
4章=公立保育園のあり方
5章=私立保育園・幼稚園・在宅子育ての支援のあり方 を示し、
6章=人材や財源確保、民間活力の活用、待機児対策等 を示しています。

『最小の経費で最大の効果』で子育て支援が後退する

第3章は、就学前の子育て施設の重要性を謳い、充実を掲げます。
が、「最小の経費で最大の効果を挙げる」ことを基本とし、
公立保育園の民営化への布石としています。

もちろん、支出の適正化は、いつでも図られなければなりません。
だからと言って、子育てや医療介護などの福祉の現場にそれを当てはめれば、
労働者の処遇を悪化させ、牽いてはその分野に働く人がいなくなるという結果に結びつきかねません。
福祉の増進ではなく、後退につながりります。
実際に、介護の分野でも、保育の分野でも
新卒の若者の就職率が減っています。
面接には来るものの、給料の安さに就職を拒否すると言う事態が起こっているのです。

公立保育園は足りないとの指摘も

第4章は、公立保育園の設置とあり方を示しています。
その内容は、公立保育園の役割として
①市内の保育スタンダードの確立
②保育環境のセーフティネットの確立
③特別な配慮が必要な児童への対応
④新規事業の実践⑤緊急保育の需要に応える
⑥安全・安心な保育の提供⑦他施設との連携の要
⑧地域の子育てへの支援
を挙げています。
これらは、何れも重要な役割です。

問題は、公立保育園のこうした重要性を掲げつつ、市内を5つのエリアに設定し、その中の公立保育園を1園にするとの考えが示されたことです。
市民参加の公立保育園のあり方検討会では、「公立保育園への市民の信頼は高く、7園では足りない」との指摘もありました。

民営化の対象はどの保育園?



上記地図は、基本方針P51から転載したものです。
各エリアへの公立保育園配置は以下のとおりです。
中部エリア=第1保育園、第6保育園
北部エリア=第3保育園
東部エリア=第5保育園
西部エリア=第4保育園
南部エリア=第2保育園、第7保育園

エリア内に2つの保育園があるのは、中部と南部です。
各エリア1園とするなら、中部と南部の何れかの保育園が対象ということになります。

第2保育園は、かつて民営化が提案され、保護者の強い反対で凍結されました。
しかし、すでに民営化を前提に募集がされています。
そのこと事態が大問題です。

今後、民営化を巡って、厳しい議論がなされることは必定です。
第2保育園の民営化が問題になった時にも、
子どもたちへの心理的な影響を考えれば、民営化は絶対してはならないと、保護者の皆さんが、全国で、すでにたくさんの問題が明らかになっていることを示して反対しました。
事態は全く変っていません。

なぜ民営化?

なぜ民営化なのでしょうか。
公立保育園の老朽化です。
東村山市が、施設改修をすれば、国や東京都から補助金がこないが
民間にして建替えれば、国、東京都、東村山市が補助金を出せるからと言うのがその理由です。

こうした補助金制度の改悪は、
自民党・公明党政権下で実施されました。
保育の分野を、不況の民間企業に明け渡し、儲けの対象にさせるためです。
こうした方針は、公立保育園の廃止を目指しているとしか思えません。

公立保育園は、基本方針で東村山市が示しているとおり、
どの園も地域の子育ての重要な要となる施設です。
そうしたところにこそ、市民の税金は投入すべきではないでしょうか。

高齢化が悪いことのように喧伝されていますが
少子がつくからこそ、悪いイメージと結びつきます。
子育てを本当に応援する施策が進めば少子化は克服できる
と言うことが、北欧やフランスなどのとりくみではっきりしています。

保育園の保護者も、在宅での子育てをしている保護者も、かつて子育てをした人も、子どものいない市民も、挙げて公立保育園を守らなければならないのではないでしょうか。

子育て支援の新たな施策も提起

もちろん、基本方針には、
幼稚園の保護者への施策も含め、積極的な施策もあります。
こうした、子育て支援策を良しとしつつも、
子どもの育ちに重大な影響を与える民営化には、「否」と言わなければならないのではないでしょうか。


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