本屋で偶然見つけた ルポ『保育崩壊』
9日、電車の中で一気に読んだ。
背筋が寒くなった。
保育現場が想像以上に崩壊しているらしい。
とりわけ小泉内閣の保育「改革」以来、
株式会社の参入が可能になり、営利が目的とされ、結果、人件費が削減され、
保育現場で働く多くの人が非正規となり
あるいは 子どもが可愛がられることのない現場にいることに嫌気がさして
保育士がバーンアウトしていく。
全ての保育現場がそうであるというわけではないだろうが
少なくとも 子育てを応援する施設
とりわけ乳児期から幼児期の
子どもの発達にとって重要な時期を過ごす子育ての現場に
一つでもあってはならない現場の実態を読んで途方に暮れた。
本書は
第1章で親子の視点から現場で何が行っているかをルポ
第2章で、保育士の労働実態に焦点を当て
第3章で、上場企業の決裁書や有価証券報告書、現場の園長や業界関係者などの証言から保育所の経営実態に迫る
第4章で、共働き時代の親子関係の質を問い
第5章で子どもの人生のスタートが豊なものになるか、貧しいものになるかを決定する保育の構造問題を改めて問う
という論だてになっている。
示された現場の実態を少しだけ紹介する
朝お母さんと別れて泣き叫ぶ子どもが誰にも声もかけられず放置されている。
給食時 早く早くとせかされ 挙句に 保育士が子どもの口にいやおうなしに食事を運び込む
登園の遅い子は散歩に連れていかず置いてけぼりにされる
子どもの動作が遅いことを「何年たってもできない子ね」と保護者の面前でいう
等々である
保護者の側と 保育士の側からの告発である。
保育関係者(経営者、保育士等)、保護者、自治体の担当所管、議員などに
必ず読んでほしい本である。
わが娘は 保育士である。
この娘が先日 うちの現場は年休取得率100%で
そのために 施設長が努力してシフトをくんでくれている
そのことを知った本部の役員が
そんなに暇なら ヘルプで他の現場に応援をよこせ
と怒ったらしい
お母さん変でしょ と娘は言う
こうした娘の保育園の現状を聞く度に
やっぱり
営利を目的とした団体の参入を子育ての施設に許してはならない
ということを痛感する。
また、本書を読めば
公立保育園の持っている重要性をより認識できる。
東村山市が計画している公立園の民営化は
絶対に許してはならない
なぜなら
公立の民間化は 経費の削減が大目的だからだ
保育士の処遇問題は子どもの処遇に連動する
他の民間保育施設の子どもと保育士の処遇にも連動するのである。
待機児を生まないために
緊急に保育が必要な子どもと保護者のために
その受け入れ態勢を確保しておく上でも
公立保育園は、7園すべて残すべきである。
いや、不足している認可園は公立でこそ作るべきである
そのことも 本書は教えてくれる。
福祉関係諸氏の一読を期待するものだ