きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

デジタル円 日銀が研究開始 「民間銀行介した供給」厳守必要

2020-03-06 13:27:04 | 経済・産業・中小企業対策など
デジタル円 日銀が研究開始 「民間銀行介した供給」厳守必要
デジタル通貨という言葉を頻繁に見かけます。
かつてはビットコインなどの電子的技術を活用した貨幣は仮想通貨と呼ばれていました。ところが、ビットコインは、投機的性格が強く、通貨としての利用が進まなかったことから、暗号資産と呼び換えられるようになりました。それが再び通貨機能に注目して、デジタル通貨と呼び換えられるようになりました。
ここでは、デジタル通貨を「ブロックチェーンといった電子的技術を基礎に生み出される通貨」と理解しておくことにします。
日本銀行は「現在のところ、一般の支払い決済に広く使えるようなデジタル通貨を発行する計画は持っておりません」と説明してきました。

ところが、1月に、世界の六つの中央銀行が連携して、中銀が発行するデジタル通貨(CBDC)に関する調査・研究のための組織を立ち上げました。日銀もこれに加わっていることが話題を集めています。
組織名は「CBDCの活用可能性を評価するためのグループ」。参加するのは日銀のほか、欧州中央銀行(ECB)、イングランド銀行、スウェーデンのリクスバンク、スイス国民銀行、カナダ銀行。国際決済銀行(BIS)も加わっています。米連邦準備制度理事会(FRB)や中国人民銀行は参加していません。
こうした動きの背景には、フェイスブックによる民間デジタル通貨としての「リブラ」や、中国人民銀行によるCBDCとしてのデジタル人民元の発行計画があるとされます。
それでは、遠い将来に、日銀がデジタル円を発行すると仮定した場合、どのような原則が守られるべきでしょうか。



20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で記者の質問に答える日銀の黒田東彦(はるひこ)総裁。デジタル通貨はG20の主要テーマの一つです=2月22日、サウジアラビア・リヤド(ロイター)

第一に、日銀は企業や個人に向けてデジタル円を直接に発行するべきではありません。
そうなれば、個人や家計は民間銀行にではなく日銀に預金口座を保有することになります。つまり、個人や家計のお金の動きがすべて日銀に筒抜けになるわけです。
第二に、日銀は民間銀行を仲介者として、企業や家計に向けてデジタル円を発行するべきです。
そうなれば、企業や家計は現在と同じようにATM(現金自動預払機)を介して、預金を銀行券で下ろすのではなく、スマートフォンにデジタル円を入金し、それを使うことになるでしょう。
デジタル円の供給を、民間銀行を介した2階建てにすることは、日銀による金融政策の有効性を維持するためにも必要です。というのは、金融政策の本質は、金利操作を通じて、民間銀行による企業や家計に対する貸出額に働きかける側面に求められるからです。
第三に、デジタル円を発行したからといって、現行の銀行券の発行を中止するべきではありません。デジタル円を使いこなせない高齢者が依然として残るからです。
日銀もこうした点については配慮しているようですが、それを原則にまで高める必要があると思います。
建部正義(たてべ・まさよし 中央大学名誉教授)

「しんぶん赤旗」日曜版 2020年3月8日付掲載


民間が発行する仮想通貨と違い、デジタル円となれば国が責任をもって発行することになる。
仮にデジタル円を発行するとしても、今の日本銀行券の発行の仕組みと同じように、日本銀行は銀行の銀行としての役割を果たすべき。