2021年総選挙 目で見る経済⑦ 賃上げ減税 賃金格差 広がる恐れも
岸田文雄首相は8日の所信表明演説で「賃上げを行う企業への税制支援を抜本強化します」と述べました。制度の詳細は今のところ不明なものの、賃上げした企業に法人税を減税する政策だともみられます。
法人税減税によって多くの労働者が賃上げされるのでしょうか。そもそも、法人税は売り上げから諸経費を引いた利益にかかる税金なので赤字になった企業(欠損法人)は納める必要はありません。
4割に届かず
国税庁の会社標本調査によると、2019年度に利益を上げ、法人税を納めた企業(利益計上法人)は集計対象となっている274万5437社のうち105万4080社にとどまります。全体に占める割合は38・4%と4割に届きません。(グラフ①)
法人税減税で恩恵を受けるのは法人税を払っている企業だけですから、6割以上の企業には関係のない話ということになります。
どのような企業が法人税を払っているのか。資本金規模別に利益計上法人と欠損法人の割合をみると、資本金規模が大きな企業ほど、利益計上法人の割合が高くなる傾向があります。(グラフ②)
資本金100億円超の企業のうち、法人税を納めている利益計上法人は79・1%を占めています。一方、資本金1000万円以下の企業では36・3%にしかすぎません。逆にいえば、規模の小さい企業ほど赤字に陥りやすいことを示しています。
業種別に欠損法人の割合をみると「出版印刷業」で73・9%、「料理飲食旅館業」73・6%、「繊維工業」73・3%などが高くなっています。今回の調査は19年4月~20年3月に決算期を迎えた企業が対象なので、新型コロナウイルス感染拡大の影響はほとんどありません。「料理飲食旅館業」などは足元で、さらに苦しい経営に陥っていると考えられます。
もともと経営状態が良くなかった上に、コロナ禍も重なり、賃金が低く抑えられている中小・零細の企業に法人税減税はなんの恩恵もありません。それどころかますます賃金格差が広がり、労働者間の分断を招く恐れもあります。
消費税減税を
岸田首相は賃上げについて「労働分配率向上」に向けたものと述べています。企業の利益から人件費への配分を増やし、労働者の所得を増やすことで、「成長と分配の好循環」を実現するというのです。しかし14年4月、19年10月と2度も消費税率引き上げを強行し、国民の多くから所得を奪ったのは自公政権そのものです。消費税減税こそ、「成長と分配の好循環」を実現する最良の政策です。
日本共産党は総選挙政策で消費税減税に加え、賃上げの実現、最低賃金1500円への引き上げなどを掲げています。そのために、▽460兆円を超える大企業の内部留保の一部を使い、賃上げや正社員化を実現する▽大企業による下請け・納入単価の切り下げを規制し、中小企業に賃上げ条件をつくる▽社会保険料の事業主負担軽減など中小企業に手当てしながら最低賃金全国一律1500円以上を実現する―などを提案しています。(清水渡)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2021年10月19日付掲載
「賃上げした企業に減税をする」って言うと、いかにも労働者に恩恵が及ぶように思えますが…。
資本金の少ない企業は大半が赤字決算で税金を納めていない。賃上げしても恩恵はないのです。
▽460兆円を超える大企業の内部留保の一部を使い、賃上げや正社員化を実現する▽大企業による下請け・納入単価の切り下げを規制し、中小企業に賃上げ条件をつくる▽社会保険料の事業主負担軽減など中小企業に手当てしながら最低賃金全国一律1500円以上を実現する。
共産党の提案している施策の方が、よほど現実的で効果がある。
岸田文雄首相は8日の所信表明演説で「賃上げを行う企業への税制支援を抜本強化します」と述べました。制度の詳細は今のところ不明なものの、賃上げした企業に法人税を減税する政策だともみられます。
法人税減税によって多くの労働者が賃上げされるのでしょうか。そもそも、法人税は売り上げから諸経費を引いた利益にかかる税金なので赤字になった企業(欠損法人)は納める必要はありません。
4割に届かず
国税庁の会社標本調査によると、2019年度に利益を上げ、法人税を納めた企業(利益計上法人)は集計対象となっている274万5437社のうち105万4080社にとどまります。全体に占める割合は38・4%と4割に届きません。(グラフ①)
法人税減税で恩恵を受けるのは法人税を払っている企業だけですから、6割以上の企業には関係のない話ということになります。
どのような企業が法人税を払っているのか。資本金規模別に利益計上法人と欠損法人の割合をみると、資本金規模が大きな企業ほど、利益計上法人の割合が高くなる傾向があります。(グラフ②)
資本金100億円超の企業のうち、法人税を納めている利益計上法人は79・1%を占めています。一方、資本金1000万円以下の企業では36・3%にしかすぎません。逆にいえば、規模の小さい企業ほど赤字に陥りやすいことを示しています。
業種別に欠損法人の割合をみると「出版印刷業」で73・9%、「料理飲食旅館業」73・6%、「繊維工業」73・3%などが高くなっています。今回の調査は19年4月~20年3月に決算期を迎えた企業が対象なので、新型コロナウイルス感染拡大の影響はほとんどありません。「料理飲食旅館業」などは足元で、さらに苦しい経営に陥っていると考えられます。
もともと経営状態が良くなかった上に、コロナ禍も重なり、賃金が低く抑えられている中小・零細の企業に法人税減税はなんの恩恵もありません。それどころかますます賃金格差が広がり、労働者間の分断を招く恐れもあります。
消費税減税を
岸田首相は賃上げについて「労働分配率向上」に向けたものと述べています。企業の利益から人件費への配分を増やし、労働者の所得を増やすことで、「成長と分配の好循環」を実現するというのです。しかし14年4月、19年10月と2度も消費税率引き上げを強行し、国民の多くから所得を奪ったのは自公政権そのものです。消費税減税こそ、「成長と分配の好循環」を実現する最良の政策です。
日本共産党は総選挙政策で消費税減税に加え、賃上げの実現、最低賃金1500円への引き上げなどを掲げています。そのために、▽460兆円を超える大企業の内部留保の一部を使い、賃上げや正社員化を実現する▽大企業による下請け・納入単価の切り下げを規制し、中小企業に賃上げ条件をつくる▽社会保険料の事業主負担軽減など中小企業に手当てしながら最低賃金全国一律1500円以上を実現する―などを提案しています。(清水渡)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2021年10月19日付掲載
「賃上げした企業に減税をする」って言うと、いかにも労働者に恩恵が及ぶように思えますが…。
資本金の少ない企業は大半が赤字決算で税金を納めていない。賃上げしても恩恵はないのです。
▽460兆円を超える大企業の内部留保の一部を使い、賃上げや正社員化を実現する▽大企業による下請け・納入単価の切り下げを規制し、中小企業に賃上げ条件をつくる▽社会保険料の事業主負担軽減など中小企業に手当てしながら最低賃金全国一律1500円以上を実現する。
共産党の提案している施策の方が、よほど現実的で効果がある。
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