2018年08月28日
北海道新聞
[スケソウすり身高騰 カマボコ、ちくわ…価格に影響か]
■米国産値上がり、道内漁獲も減少
カマボコやちくわなど、練り製品の原料となるスケソウダラのすり身価格が高騰している。最大の調達先となる米国産は欧州から魚のフィレ(切り身)の引き合いが強まり、国産も最大産地の道内でスケソウダラの漁獲量が落ち込んでいるためだ。練り製品製造会社の一部は今月、平均10%の値上げに踏み切っており、おでんなど冬の最需要期に向けて、消費者の懐に響く可能性がある。
すり身は国内使用量のうち、輸入品が約8割を占める。2017年の輸入量は24万4764トンで、その約半分が米国産だ。
アラスカ沖を漁場とする米国のスケソウダラ漁は、春と夏が漁期で、日本の商社や大手水産会社は年2回、米国のすり身メーカーと交渉して輸入価格を決めている。全国蒲鉾(かまぼこ)水産加工業協同組合連合会(東京)によると、春の交渉では、昨夏に比べて輸入価格が1キロ当たり10%程度上昇した。
漁獲量は安定しているものの、健康志向の高まりを背景に欧州で魚のフィレが人気を集めるなど世界的に拡大している需要が、値上がりの背景にある。
一方、輸入すり身を補う国産スケソウダラの漁獲量は減少傾向だ。道内では東胆振などで不漁が続き、17年の漁獲量は前年比2%減の11万9千トン。輸入価格が上昇しても、すり身の調達先として米国に頼らざるを得ない事情がある。
こうした原料の値上がりを受けて、水産練り製品製造会社で価格を引き上げる動きが相次ぐ気配だ。小樽市に工場を持つ大手の一正蒲鉾(新潟市)は8月20日出荷分から、練り製品や総菜を平均10%値上げ。かま栄(小樽)は年内にも、カニを使ったカマボコなど一部商品の値上げに踏み切る可能性がある。コスト削減などの企業努力で販売価格への転嫁を最小限に抑える考えだが、カニ価格も上がっており「ダブルパンチを受けている」(同社)。
すり身価格を左右する米国産スケソウダラについて、全国蒲鉾水産加工業協同組合連合会は「今後も高値傾向が続くだろう」とみている。(加藤千茜)
(関連配信済情報)
2018年08月14日
北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二
[ロシア スケトウダラ価格が上昇する]
今年2018年、ロシアのスケトウダラ価格は、中国市場の拡大とヨーロッパ市場の需要から急激に上昇している。
ロシア農業省によると今年2018年8月上旬のスケトウダラの極東地方での卸売価格は1kgあたり約78ルーブルとなった。
前年2017年同期は約63ルーブルだった。
これにより、ロシア中央部でのスケトウダラの価値も高まり、卸売価格は2017年8月から2018年8月までに25%増加し、1kgあたり76ルーブルから94ルーブルに上昇した。
スケトウダラはロシア人の中で3番目に人気がある魚である。
1人あたりの消費量は、ニシン2.81kg、太平洋サケマス2.73kgに次いで2.59kgとなっている。
ロシア産スケトウダラは主に輸出品であり、国内市場での価格は国際市場価格によって決定される。
ロシアのスケトウダラ価格の上昇は、中国市場の拡大とヨーロッパ市場での需要の増加の影響を受けている。
ロシアは世界最大のスケトウダラの供給者で、2017年、ロシア漁業者によるスケトウダラの漁獲量は180万トンであり、そのうち80万トンが製品輸出された。