2023年10月03日
北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二
[ロシア 日本接続極東海域水産物放射線量等検査2,285件 規制値超えゼロ]
ロシア動植物衛生監督局は、2023年8月末以来、日本に接続する自国極東海域の水産物の放射線量等の検査を、767サンプルを対象に2,285件実施した結果、規制値超えの検出はゼロだったと発表した。
この検査は、当局の沿海地方支部とサハリン州支部の傘下研究所で行われ、エビ、カニ、活ウニ、ホタテ、カラフトマス、シロザケ、スケトウダラ、タラ、その他魚種製品に加え魚卵についても行われ、サンプルは、サハリン州と沿海地方ばかりでなく、カムチャツカ地方、ハバロフスク地方、マガダン州等から広く取り寄せられた。
また、検査は、ヨウ素 131、ストロンチウム90、セシウム 134、セシウム137を対象にして行われ、規制の基準は、ロシアで採用されている技術的要件と、水産物製品を輸入するための規制要件に基づき実施された。
2023年10月02日
リポート 北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二
[2023年8月 また急騰したロシアのフィッシュミール価格]
今年2023年1月-2月のロシア漁業のフィッシュミールの平均価格は、トンあたり9万1,120ルーブルで前年2022年同期を10%下回っていたが、3月に急騰して10万6,010ルーブルとなり、その後も上昇を続けて、4月に11万1,210ルーブル、5月に12万2,700ルーブル、そして6月には12万3,280ルーブル達した。
7月、11万8,670ルーブルとなって、ようやく上げ止まったことが確認されたものの、翌8月、また、急騰、過去最高値の13万9,320ルーブルに達した。
2023年6月13日付日刊みなと新聞は、世界のフィッシュミール生産の20%強を占める主要生産国ペルーの当局が同年6月8日、北中部海域のカタクチイワシの第1漁期(例年4月-8月)、試験操業による幼魚の混獲率が86.3%と高く、操業を開始しないと発表したことを受け、当該製品の価格高騰は必至だと伝え、動向が注目されるところとなった。
その後、フィッシュミール、オイルおよび関連製品などの水産原料産業を代表する国際貿易機関IFFOは、2023年1月-7月、ペルーのフィッシュミールの生産量が前年同期比で76%減少、この影響で、世界の当該製品の総生産量が31%減少しているとリポートしていた。
ロシア漁業のフィッシュミール生産量は、資源に対する漁業製品歩留まりの向上、出現した極東海域のイワシ資源の利用、残滓の不法投棄問題の解決等を目的に、中国の水産養殖向け飼料市場ほかをターゲットとして近年拡大、昨年2022年、前年同期を12%上回り、16万600トンに達しており、今年2023年1月-7月についても、前年同期3%増の10万900トンが生産されている。
なお、昨年2022年4月から今年2023年初めにかけての価格の乱高下の背景は、ウクライナ情勢によるものと分析されている。
2023年10月03日
リポート 北海道機船漁業協同組合連合会内 一般社団法人北洋開発協会 原口聖二
[2023年漁期 40°N以北-180°E以西沿岸 ロシア・北海道 シロザケ漁獲量比較(10月1日)]
近年、北海道に隣接するサハリン州では太平洋サケマス増殖事業において10億尾内外の稚魚放流を実施しており、昨年2022年、初めてシロザケのみで10億粒を超える採卵が行われていて、その内容を問わなければ、数量的に、双方は、ほぼ、同等の増殖事業を展開していることになる。
一般社団法人北洋開発協会(北海道機船漁業協同組合連合会内 担当 原口聖二)は、一昨年2021年漁期から、シロザケの生産において増殖事業に依存度が高い北海道とサハリン州、そして野生の割合が高いその他のロシア極東地方の各沿岸の当該資源漁獲量の比較を行っている。
日本の科学研究機関は、今年2023年漁期の北海道沿岸でのシロザケの漁獲予想量を約8万5,000トンと、先に発表している。