2023年10月23日
リポート 北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二
[第53回ロシア・ノルウエー漁業委員会 来年2024年の両国の操業条件交渉妥結]
2023年10月16日から、通信を利用して第53回ロシア・ノルウエー漁業委員会が開催され、来年2024年の両国の漁獲割当等、操業条件を決める交渉が妥結したと、新たなノルウエー漁業大臣セシリエ・ミルセス(Cecilie Myrseth)が発表した。
ロシア政府代表をロシア漁業庁長官イリア・シェスタコフ、ノルウエー政府代表を所管副大臣が務めた。
セシリエ・ミルセスは、今年も困難な状況にあるにもかかわらず、ロシアとの漁業協定に基づく交渉に妥結したことは意義があると語り、当該協定が北部地域における長期的かつ持続可能な海洋管理を保証し、バレンツ海のタラやその他魚種の保全管理と合理的利用に貢献するための基礎となると指摘した。
国際海洋探求会議ICESがウクライナの現状から昨年2022年から、ロシアに対し、バレンツ海のタラ、ピクシャ等の漁獲勧告の公表を拒否しているため、両国は、昨年に引き続きバレンツ海/北極北東部海域のタラ、ピクシャ等の両国の漁獲割当のための資源評価と配分を独自で設定した。
ただし、これらはICES が資源評価と勧告に使用する方法論と枠組みに従っている。
来年2024年のバレンツ海/北部海域の共同管理TACとノルウエー国別割当は別表のとおりとなった。
TACについては、タラが管理規則に従って20%減、ピクシャ(コダラ)が同様17%減となった。
一方、カペリンは、2018年以来最高で、今年2023年の3倍以上の19万6,000トンの設定となった。
(報告担当者 原口聖二:昨年2022年の第52回同委員会の交渉妥結にあたり、ノルウエーが制裁措置の一環としてロシア漁船の入港等に関するこれ以上の規制強化をした場合、当該協定は一時停止する旨の付帯条件がついた経緯がある。今年2023年5月、ノルウエー漁業省は、ロシアとの協力に反対する野党勢力を受け、ロシアと国境を接する国として、またNATO加盟国として、採択された制裁措置の義務を完全に果たすが、水棲生物資源の保全管理と漁業分野の協力を否定すべきではないと表明、むしろこの分野の協力の存在により、一定の交流をもつことで北部の状況が安定している側面があり、安全保障へ貢献しているとの見解を示していた。)