2023年10月04日
北海道機船漁業協同組合連合会内 一般社団法人北洋開発協会 原口聖二
[宮城県南三陸 シロザケ不漁深刻 北海道 前年比4%増の予想に対し4割減で進捗]
2023年10月4日付河北新報は、今漁期の宮城県南三陸の深刻なシロザケの不漁を伝えている。
南三陸町地方卸売市場で、旬を迎えているシロザケがほとんど水揚げされておらず、海水温の上昇などでここ数年極度の不漁が続いていたが、今漁期は9月25日に刺し網漁が解禁されて1週間たってもまだ6尾(計16キロ)で、1日1尾にも満たない状況に、市場には驚きと諦めが交錯しているとリポートしている。
南三陸町の主力魚種だったシロザケの年間水揚げ量は東日本大震災後、2,143トンを記録した2013年をピークに減少、ここ数年は更に激減し、2021年は24トン、2022年はわずか19トンだったとしている。
南三陸町佐藤仁町長は、同2日の定例記者会見で、海の状況は厳しいが、放流しなければ資源は帰ってこないとした上で、貴重な種卵を大切に育てたいと説明、放流事業を続ける考えを示したとしている。
宮城県水産技術センターは2023年8月、今漁期のシロザケの来遊予想を前年2012年の6割減となる2万9,000尾と発表していた。
また、岩手県水産技術センターも2023年7月末、6割減の記録的不漁の継続予想を発表していた。
一方、今漁期のシロザケの来遊予想について、北海道の科学研究機関は前年より4%増の3,483万尾と発表している。
昨年2022年の北海道沿岸での漁獲量(2023年1月24日付みなと新聞 道調べ/水産研究・教育機構とりまとめ)が8万3,310トンであったので、当該予想によると、今漁期は約8万5,000トンの生産が見込まれることになるが、10月3日現在の漁獲実績は2万4,200トンで、前年比4割減の進捗となっている。