ロシア漁業ニュースヘッドライン

北海道機船漁業協同組合連合会
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一般社団法人北洋開発協会

2023年9月 ロシアのフィッシュミール価格 記録的ペースで上昇 続くペルーショック  リポート 北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二 

2023-11-05 01:48:03 | 日記

 

2023年11月05日 Шок!

リポート 北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二

[2023年9月 ロシアのフィッシュミール価格 記録的ペースで上昇 続くペルーショック]

今年2023年1月-2月のロシア漁業のフィッシュミールの平均価格は、トンあたり9万1,120ルーブルで前年2022年同期を10%下回っていたが、3月に急騰して10万6,010ルーブルとなり、その後も上昇を続けて、4月に11万1,210ルーブル、5月に12万2,700ルーブル、そして6月には12万3,280ルーブル達した。

7月、11万8,670ルーブルとなって、ようやく上げ止まったことが確認されたものの、8月、また急騰、9月には過去最高値を更新し15万7,760ルーブルに達した。

世界のフィッシュミール生産の20%強を占める主要生産国ペルーの当局が同年6月8日、北中部海域のカタクチイワシの第1漁期(例年4月-8月)、試験操業による幼魚の混獲率が86.3%と高く、操業を開始しないと発表、フィッシュミール、オイルおよび関連製品などの水産原料産業を代表する国際貿易機関IFFOは、2023年1月-7月、ペルーのフィッシュミールの生産量が前年同期比で76%減少、この影響で、世界の当該製品の総生産量が31%減少しているとリポートした。

更に、2023年11月2日付みなと新聞は、ペルーが同年10月26日、北中部海域のカタクチイワシ第2漁期(例年11月-翌年1月)の本操業に入ったが、12cm以下の幼魚が中心のため部分禁漁措置が相次ぎ、フィッシュミール生産企業、漁業者が政府の方針に反発、漁獲物サイズ規制の見直しを要求して10月30日以降、無期限の全面ストライキを実施していると伝えており、引き続き動向が注目されるところとなっている。

ロシア漁業のフィッシュミール生産量は、資源に対する漁業製品歩留まりの向上、出現した極東海域のイワシ資源の利用、残滓の不法投棄問題の解決等を目的に、中国の水産養殖向け飼料市場ほかをターゲットとして近年拡大、昨年2022年、前年を12%上回り、16万600トンに達しており、今年2023年1月-8月についても、11万6,252トンで前年2022年同期を4.8%上回っている。

なお、昨年2022年4月から今年2023年初めにかけての価格の乱高下の背景は、ウクライナ情勢によるものと分析されている。

 

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#65 洋上風力発電と漁業 海外の経験 欧米 不採算で誰もいなくなる洋上風力発電事業者

2023-11-05 01:05:28 | 日記

2023年11月05日

北海道機船漁業協同組合連合会内 一般社団法人北洋開発協会 原口聖二

[#65 洋上風力発電と漁業 海外の経験 欧米 不採算で誰もいなくなる洋上風力発電事業者]

日本での先行する欧米の洋上風力発電の漁業分野との共栄、相乗効果等の成功体験は、ほとんどが開発事業者による切り抜き発信で、実際に漁業分野の情報にアクセスしていくと様々な問題が報告されている。

世界中の漁業者は共通に、洋上風力発電プロジェクトについて、自らが知らない間に選定地が決まって唐突に説明会が始まり、漁業当局に十分なヒアリングを行うことなく、他の部局が主導する地方自治体の前傾姿勢による拙速な取り組みが行われ、事業開発者から漁業分野の科学的知見を理解しようとしない姿勢を感じていると指摘している。

“Wedge”誌において国際環境経済研究所所長:山本隆三様は、欧米での洋上風力発電開発プロジェクトからの事業者の相次ぐ撤退をリポートしている。

当該リポートによると、米国では、原材料費、工事費、金利の上昇により当初予定した売電価格では事業の目途が立たなくなったため、洋上風力の事業者が締結済みの風力発電設備の売電契約書を違約金の支払によりキャンセル、あるいは、事業から撤退している。

欧州でも事業に逆風が吹いている。

スウェーデンの大手エネルギー企業は世界で最も風況が良いとされる欧州北海の事業を中断した。

新規事業でも英国政府による事業者募集の入札に応募者が現れなかった。

コスト上昇により、入札条件では採算が確保できないと事業者が判断した。

洋上風力設備を製造している欧米メーカーも原材料費の値上げに加え発注減に見舞われている。

洋上風力設備の導入が最初に進んだのは、風況と遠浅の地形に恵まれた英国、ドイツなどの欧州北海地域諸国だったが、ここ数年は中国における導入量が急増し、世界の洋上風力設備の累積導入量に占める中国のシェアは約50%になった。

先行した欧州メーカーに追いつき追い越し、今は欧州メーカーブランドの設備を受託生産するほどになった。

洋上風力の“ナセル”と呼ばれる基幹部品の製造能力は、中国メーカーがシェア約6割に達する。

米国ニューイングランド地方の各州、カリフォルニア州では海域の入札により事業者が募集されたが、今年になり、事業者の撤退、落札条件の見直し要請が相次いでいる。

資機材が高騰、金利も上昇、欧州の事業では借入金比率が80%、米国では55%とされている。

事業者は当初見込んでいたコストでは事業を進められなくなった。

米国の大手エネルギー企業アバングリッドは、マサチューセッツ州の洋上風力事業について同州の3電力会社との間で売電契約を昨年締結したが、今年7月に4800万ドル(約72億円)の違約金の支払いによる契約解除に合意した。

シェルの合弁事業も同州のプロジェクトに関する売電契約の解除を申し出ているが、了解をとることはできず、同様に違約金の支払いによる解除が予想されると報道されている。

風力発電事業では世界最大手のデンマーク・オーステッドは、米国で現在進められている洋上風力事業の半分に関与している。

ロードアイランド州で進めるプロジェクトについてはロードアイランド州の電力会社から、価格が高いとして売電契約の締結を拒否された。

ニュージャージー州の事業についてコストアップにより事業継続が困難と訴えたところ、州政府が受け取る予定の税額控除による還付金をオーステッドが受け取る措置が講じられた。

しかし、11月1日にオーステッドは、同州の事業について中断を発表した。

最大56億ドルの減損が生じるため、株価は大きく下落した。

オーステッドはニューヨーク州で進める事業については、同州で事業を進める英エネルギー大手BPの合弁事業と歩調を合わせ売電価格の引き上げを要求した。

BPはノルウェーのエクイノールと共同で進める同州の3事業について、契約期間の延長と合わせ3事業の売電価格の引き上げを要請した。

州政府公共事業委員会は要請を拒否したが、同委員会によると見直しによる消費者の負担増は267億ドルで、家庭用電気料金に影響がある。

8月に米国では新たにメキシコ湾岸の3地区の入札が行われたが、落札されたのは1地区のみで、2地区には入札がなかった。

スウェーデンの大手エネルギー企業バッテンフォールは、英国沖で進めるノーフォーク・ボレアス洋上風力の差額保障契約(CFD)を昨年英国政府と締結したが、今年7月にバッテンフォールは事業の中断を発表した。

バッテンフォールはあらゆる選択肢を検討すると発表したが、事業を売却すると噂されている。

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