2023年11月13日
リポート 北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二
[バレンツ海タラバガニ 個体数減少 ノルウエー科学研究機関 漁獲割当大幅削減を勧告]
ノルウエー海洋漁業研究所(HI)は今年2023年のタラバガニ資源調査の結果、当該資源個体数が大幅減少を示していることが確認されたため、来年2024年の漁獲割当を今年の2,375トンから966トン以下に大幅に削減することを勧告した。
また、当該資源は、個体数の減少に加え小型化が顕著で、長期的な漁業継続を維持するためには、今後数年間、漁獲割当は800トンから1,700トン以内とする必要があると指摘している。
バレンツ海のタラバガニは、旧ソ連によって極東海域から移植され、2000年代に定着、繁殖を続けた。
この繁殖により、隣接するノルウエーも年間約2,000トンのタラバガニをバレンツ海で漁獲しているが、2021年、スペイン紙”ラ・バングアルディア”はノルウエーの漁業者と環境保護団体が、生態系への影響、漁具被害を背景に警鐘を鳴らしていると報じた。
これに対し、ロシア漁業庁は、1990年代半ばから、ノルウエーのタラ漁業者らが”スターリンの赤軍”(Красной армией Сталина:クラスノイ・アルミエイ・スターリナ)と呼び、これを批判する動きがあったが、2010年頃から、ノルウエーは、堂々と”ノルウエーのタラバガニ”と称し宣伝、漁獲、販売しており、”ロシアの起源”であることさえ忘れているようで、この”侵略者”への主張の変化が全てを表していると批判、FAOのデータを引用し、漁具のデザインの変化等で問題は解決され、”期待されたタラ資源の急激な減少”は実現しなかったと皮肉に言及、移植事業が、今のノルウエー漁業に莫大な利益をもたらしていると加えた経緯がある。