2023年11月21日
リポート 北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二
[ロシア 深海カニ資源利用契約切れ対象漁獲割当オークション不成立と外国人投資法]
資源利用契約が終了した深海カニの残枠4ロットを対象とするカニ漁獲割当オークション第1弾の追加として、2023年11月22日、当該オークションが実施される予定だったが、参加申込期限となる同17日までに応札申請者がなく、不成立となったことをロシア漁業庁が明らかにした。
上場が発表されたのは極東海域のベニズワイガニとトゲズワイガニの漁獲割当4ロットだった。
オークションの漁獲割当落札者にはロシア国内造船所において全長50m以上のカニ漁船の建造が義務付けされることとなっていた。
今回、オークションが設定された背景には、沿海地方のテフィダ(Тефида)社が、“国防•安全保障戦略産業に対する外国人投資手続法” (外国人投資法)に抵触し、ロシア漁業庁から資源利用契約が打ち切られ、残枠が発生したものと見られている。
2020年10月30日に開催された当該第1弾のオークションで、テフィダ(Тефида)社が深海ガニ4ロットに応札申請、他に応札者がなく、規則に基づき、スタート・プライスでこれらを獲得していた。
しかし、2022年3月、ロシア独占禁止庁が、同社が米国資本により不当に管理されていると認定、その後、訴訟判決結果等、一連の経緯を受け、ロシア漁業庁は、2023年7月、資源利用契約を打ち切った経緯がある。
ロシアでは2022年10月7日付連邦法No.389-FZで、外国人投資法が改正され、漁業活動への外国人資本参加が完全事前承認制となっており、これは漁獲割当配分を受ける漁労事業ばかりでなく、加工、積替え、荷揚、輸送、保管等、漁業活動にかかるすべてを対象としている。
これより先の2021年7月にも、やはり“外国人投資法”の改正が行われており、漁業分野の外国人資本参加の事前承認の義務付け上限を、50%から25%とする規制強化がなされていた。