BREAKING 2023年11月28日
リポート 北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二
[EU 主要スケトウダラ製品を含めロシア産水産物の自主的関税割当(ATQ)制度から除外を決定]
EU理事会は昨日2023年11月27日、改定による2024年から2026年の新たな自主関税割当(ATQ)制度から、ロシア産の主要なスケトウダラ等の白身魚を含め水産物製品を除外することを全会一致で決定した。
ベラルーシ産も同様の扱いとなる。
このことにより、2024年1月から、現在のEUの輸入免税はなくなり、13.7%の標準関税が課されることになる。
EUの食品業界は、これらを原料としてフライ等冷凍食品を生産していたため、猶予期間の設定を求めていた。
さらに、関税は原産国に応じて課されるため、この変更は、中国等、第3国加工を通じてEU市場に供給されるロシア産とベラルーシ産の水産物製品にも適用されると見込みとされている。
ロシアのスケトウダラ漁業は、洋上でH&G(ドレス)を生産し中国へ輸出、中国が陸上でフィレ加工してEUへ再輸出することで成立してきた。
また、一方、“投資クオータ”を活用して高次加工戦略により付加価値産業化を目指し、ここ数年、自ら洋上と陸上でフィレ加工を行い、直接、EU市場へ製品供給を拡大する試みを行ってきた経緯があり、双方のルートにとって関税障壁が設定されることになる。
今年2023年1月-10月、前年2022年同期比で輸出数量は11%増加しているが、金額ではわずか1%で、10%のラグが発生している。
一方で、競合他国製品価格は上昇しており、実質的にロシアの輸出価格は下落していると評価されている。
これらの主な要因は、非友好国による制裁措置の影響とされている。
2022年7月、米国はロシア産水産物製品の輸入を全面禁止した。
2022年3月以降、EUはロシアの水産物製品輸出者リストを更新していない。
2022年7月、英国ではロシア産白身魚の輸入関税を引き上げ、35%を設定した。
今回、EUの自主的関税割当(ATQ)制度改定からのロシア産水産物除外が設定され、2024年1月1日から、13.7%の標準関税が課されることになる。