2025年01月22日
北海道機船漁業協同組合連合会内 一般社団法人北洋開発協会 原口聖二
[#110 洋上風力発電と漁業 海外の経験 トランプ2.0 欧州 洋上風力関連株が軒並み下落]
ロイター(Stine Jacobsen:コペンハーゲン)が、2025年1月21日の株式市場で、欧州の風力発電関連株が軒並み下落、米国大統領トランプが就任初日の1月20日、洋上風力発電事業向けに連邦政府管理の土地貸与を停止する大統領令に署名したためだと伝えた。
米国ホワイト・ハウスは、外縁大陸棚(Outer Continental Shelf *米国の大陸棚のうち連邦政府の管轄する部分)全域における洋上風力発電事業に対するリース契約を一時停止、許可の見直しを行うと発表した。
その理由として、①信頼できるエネルギーに対する国の増大する需要を満たすことのできるエネルギー経済を育成する必要性、②海洋生物の重要性、③海流や風のパターンへの影響、④米国人-特に最も経済的余裕のない人々へのエネルギーコストへの影響、そして⑤米国が将来の世代のために健全な漁業を維持すること等を指摘した。
ロイターによると、洋上風力発電業界は、二酸化炭素(CO2)排出量削減の取り組みで多くの国から期待された重要な役割を十分に果たせていない。
コスト増大や供給制約の問題、なかなか計画が進まないことなどが業界に痛手となり、プロジェクトの中止や延期が相次いでいる。
それでもバイデン前政権はグリーン投資促進政策を通じて洋上風力発電に支援の手を差し伸べてきたが、トランプはこうした方針を一変させた。
この日最も下げきつかったのはデンマークのオーステッドで株価は17%下落。
完成すれば米国最大の洋上風力発電施設になると予想されている“サンライズ・ウインド”プロジェクトのコスト増大と計画の遅れが主な理由だった。
アナリストの1人は「オーステッドは現在米国で価値のなくなっている幾つかの資産を保有している。売却もリース利用もできない」と指摘した。
その他の銘柄ではポルトガルのEDPレノバベイスが約1.6%、ドイツのRWEが約0.5%、ノルウエーのエクイノールが2.2%、風力タービン製造のベスタスが3%弱それぞれ値下がりした。
さらに、イタリアのプリズミアンは21日、洋上風力発電施設向けのケーブルを製造する米国工場の建設計画を取りやめると発表、前日過去最高値を更新したばかりの同社株価は一転して1%前後下落した。