2024年01月20日
リポート 北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二
[ロシア 対フェロー諸島関係悪化 漁業分野の協定維持目的で自国漁業者の利益を犠牲にしない]
駐デンマーク・ロシア特命全権大使ウラヂミル・バルビンは、フェロー諸島(デンマーク領)との関係が悪化、合意された漁業協定が存在するにもかかわらず、ロシア漁業者が差別的対応を受けていると言及、当該協定の維持を目的として、自国漁業者の利益を犠牲にするつもりはないとミディアからのインタァヴューで述べた。
フェロー諸島は、ウクライナ情勢から、ロシア船の入港を制限すると2023年5月に発表、ただし漁船については、これを適用除外とする方針を明らかにしたが、当該対象が2国間漁業協力協定合意参加船に限定すると追加した。
許可された船舶は、入港中の活動に制限が設けられ、乗組員の交代、燃料等の補給、上陸、積み替えに限定される。
これを受け、ロシア漁業庁は、2023年10月、フェロー諸島からの水産物輸入禁止を政府に提案した。
ロシア漁業庁は、フェロー諸島から輸入してきた水産物を、国産で代替できると説明した経緯がある。
但し、ロシアとフェロー諸島は、2023年12月、今年2024年の相互の海域における漁獲割当、操業条件等に関する漁業協定に基づく合意を更新している
フェロー諸島のロシアとの漁業協定は、ソ連時代の1977年に締結された。
フェロー諸島の漁業者は、合意に基づきバレンツ海でタラやエビを漁獲している。
一方、ロシア漁船はフェロー海域でブルーホワイティングを漁獲し、フェロー諸島の港で漁獲物を積み替えることが可能となっている。
バルビンは、水産物貿易を含む漁業分野での大規模な協力を維持する見通しは著しく悪化していると語り、当該分野は相互利益を基礎にしてのみ実施が可能で、協定の将来の運命はこれにかかっていると述べ、ロシア側は一方的に譲歩することはなく、漁業者の利益を犠牲にすることもないと加えた。
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